北海道支社 ×
道東における
カーボンニュートラル
実現に向けた地域貢献活動

北海道東部に位置し、東西約110kmにわたって広がるオホーツク圏最大の街として、豊かな自然と都市の利便性を併せ持つ、北見市。2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言、地域全体で連携しながら、脱炭素を目指しています。この北見市の取り組みに共感し、省エネ、効率化につながる製品・ソリューションの提案を通じて、脱炭素実現と地域貢献に資する活動を展開する三菱電機とパートナー企業のつながりを、北見エリアの魅力とともに紹介します。

北海道東部に位置し、東西約110kmにわたって広がるオホーツク圏最大の街として、豊かな自然と都市の利便性を併せ持つ、北見市。2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言、地域全体で連携しながら、脱炭素を目指しています。この北見市の取り組みに共感し、省エネ、効率化につながる製品・ソリューションの提案を通じて、脱炭素実現と地域貢献に資する活動を展開する三菱電機とパートナー企業のつながりを、北見エリアの魅力とともに紹介します。

REPORTER

三菱電機株式会社 北海道支社
道東営業所 所長
久野 康晴

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十勝出身で、生まれ故郷が担当エリアでもあるので、地元愛は強いですが、実は寒いのが苦手(笑)。今回、改めて道東をまわりながら、エリアの魅力とその持続可能な未来について考えてみたいと思います。

三菱電機株式会社 北海道支社
事業推進部 企画課兼総合営業課
中野 陽介

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北海道生まれで、小学校から大学卒業、就職も北海道という生粋の道産子です。でも、北見エリアに足を運ぶのは初めて(笑)。見どころスポットを巡りながら、道東エリアの魅力を自分なりに発見してみたいと思います。

HIGHLIGHT AREA

北海道支社

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北海道エリアの営業拠点として、社会インフラ・交通、電力・エネルギー、情報通信・セキュリティー、産業用機器など、幅広い分野において製品・システムを提供しています。

北海道支社 地域ビジネス活動

掲載されている情報は、2022年12月時点のものです

道東エリアにおいて、地域のカーボンニュートラル実現に資する提案活動を展開しながら、主力産業の持続的な発展を支える道東営業所の活動とそれぞれの故郷である北海道に寄せる想いについて伺いました。

豊かな自然環境に根ざした食糧基地として

久野/道東営業所が担当するエリアは広範囲にわたり、北海道の面積の約4割を占めています。関東の1都6県に匹敵する広さですが、この面積に比して人口は少なく、豊かな自然環境を生かした第一次産業が主軸です。日本の中でも重要な食糧基地の役割を担う地域として、広大な牧草地を活かした酪農や穀物の生産、そして、オホーツク沿岸の豊かな海の恩恵を受けた漁業も盛んです。食品加工も同様の産業カテゴリーに含めると、私たちの道東エリアでの活動は、農業向けの設備や建屋、食品工場や乳業メーカーといった製造業のお客様に向けたソリューションの提案がメインとなっています。

カーボンニュートラルに資する提案活動

久野/2022年2月に北見市は、市政執行方針の中で2050年のカーボンニュートラル実現に向け、二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。私たち三菱電機としては、さまざまな事業分野において多彩な製品・ソリューションを揃えていますが、そのほぼすべてがカーボンニュートラル、省エネ、効率化につながる製品群であることから、そうした製品・ソリューションを製造業、農業関係のお客様に提案することが、この地域のカーボンニュートラル実現に資するという意識で提案活動に取り組んでいます。北見市は、玉ねぎの生産量が日本一で、漁業ではホタテ養殖のトップランナーです。

そうした基幹産業の設備投資に対して、当社の製品を広く採用いただくことが、北見市のゼロカーボンシティ宣言の主旨に沿った活動につながるものと考えています。

中野/三菱電機には省エネ関連の製品がたくさんあるので、そういうものを積極的にご紹介することで、可能性はもっと広がっていくように思います。

久野/三菱電機のFA(Factory Automation)を採用されているお客様に、高天井用のLED照明の話をした際、“三菱電機さんもLED照明をやられていたんですね”と言われたことがあります。そこで、実は当社の製品を十分に提案できていないのではないかと、そう感じました。優れた製品ラインナップがあるのに、そのすべてをお客様に提案できていない現状に対して、最前線の営業にいる私たちが、しっかり埋めていかなければなりません。できる限り多くのお客様に、三菱電機の製品群を広く紹介することが、私たちに課せられた一番の役割でしょう。

中野/当社の製品を一つでも多く紹介し、実のある提案に結びつけていくには、お客様のニーズ、特にこのエリアならではのニーズというものを探らなければなりません。この点をしっかり意識して取り組んでいきたいです。

最北が意味すること

久野/今回、対談でお話を伺う桑原電工株式会社様は、北見に根ざした地場の企業で、電気工事を生業とする会社として創業し、当社とは、ビルシステムの地域代理店として三菱電機ビルソリューションズ製の昇降機を扱うパートナー企業という関係にあります。桑原電装株式会社、桑原冷熱株式会社という桑原グループ各社とも関わりが深く、エレベーターのみならず、空調、冷熱プラント関連を含めた幅広い商材を販売していただいています。2022年7月には、北見市がICT(情報通信技術)関連企業の集積地と位置づける「北見ハイテクパーク」に、桑原グループの新施設「KIT FRONT(キットフロント)」がオープンしました。

ここは、桑原グループが扱っている産業用ドローンや3Dプリンタ、ロボットなどを展示する拠点で、三菱電機がZEBソリューションの導入をお手伝いし、現在、日本最北のNearly ZEB認定施設として承認されています。

中野/最北のNearly ZEB施設という意義は大きいですね。

久野/寒冷地ゆえに、冬場は外気温がマイナス20℃になります。暖房に電気が必要になるため、省エネにとっては過酷な環境にありながらも、Nearly ZEBの条件を満たす技術を提供できることが、国や北海道、各市町村がめざすカーボンニュートラルの実現に向けた施策に貢献することになります。
今後も、ZEBソリューションを広め、カーボンニュートラルの実現に貢献していくこと、さらには、製造関連に対して、IoTをベースとした生産効率化を広めていくこと、この2点に積極的に取り組んでいきます。

中野/カーボンニュートラルの取り組みを広げていくために、まずお客様に対して、製品やソリューションを積極的にご紹介していくのが第一と思います。

長年、北見の地に根ざし、三菱電機のパートナー企業として地域の発展に貢献してきた「桑原電工株式会社」。創業75年を記念して建設された新施設「KIT FRONT(キット フロント)」には、ZEBソリューションが導入され、最北のNearly ZEB事例として注目を集めています。3代目として新しい価値創造に挑む桑原賢史朗社長に、施設に込めた想いと新事業への取り組み、地域の発展に向けた貢献活動などについて伺いました。

桑原電工株式会社
代表取締役社長
桑原 賢史朗さん

三菱電機株式会社 北海道支社
道東営業所 所長
久野 康晴

三菱電機ビルソリューションズ株式会社
北海道支社 営業部 営業一課 課長
今井 僚太郎

三菱電機とともに

今井/桑原電工様と三菱電機は、長年、パートナーとしてお付き合いさせていただいています。そもそもの始まりは、いつ頃からなのでしょうか。

桑原/当社は、2021年に創業75年のメモリアルイヤーを迎えました。その記念として「KIT FRONT」を着工したのですが、もともと祖父母がバッテリーの交換を生業とする会社として、1946(昭和21)年に創業し、以来、この地に根ざして、私が3代目となります。三菱電機さんとの関わりは、祖父の代に、三菱電機製品取り扱いのお願いに伺ったところからスタートしています。昭和20〜30年代の当社の写真にも、三菱電機の看板を掲げている様子が写っています。祖父も父も、三菱電機という会社に対する思い入れや愛着が強く、感謝と共に、その愛情を代々引き継いでいます。

一次産業を支えるために

桑原/ここ北見エリアは一次産業が強い地域です。玉ねぎ、ホタテ、鮭、イクラなどは日本でも有数の取扱量を誇ります。この強い一次産業が元気なことに関連して機械系、車両系、設備系、その他サービス業を含め、この地域の7〜8割の人は一次産業の恩恵に預かっており、当社も例外ではありません。桑原グループは電気工事を手掛ける「桑原電工」、自動車電装部品などの車両電装を得意とする「桑原電装」、食品の低温貯蔵庫や冷蔵冷凍ショーケース、製氷プラント構築などの冷暖房設備を主とする「桑原冷熱」がありますが、グループ各社が手掛ける仕事のすべてが、一次産業関連からスタートして事業を行っています。一次産業を陰ながら支えている仕事がたくさんあり、私たちもそのうちの一つと考えています。

新しい価値創造の場として

久野/「KIT FRONT」の狙いは、どのようなところにあるのでしょう。

桑原/創業75年のメモリアルイヤーの取り組みとして、当社が長年、お世話になってきた地元に対して、地域の人たちが集える憩いの場所をつくりたい、そして、桑原グループ3社の拠点として、新しい事業が生まれる場所をつくりたい、そんな想いで造った施設です。グループ3社の新規事業を集約し、3Dプリンタ、ドローン、ロボット(産業用蓄電池)を実際に展示するショールーム、リアルなコミュニケーションを通じた新しい価値創造の場と考えています。

「KIT FRONT(キット フロント)」という名前は、目の前に最北の国立大学があることから、“北見工業大学(Kitami Institute of Technology)の前”という立地に由来したものです。

今井/施設ができたことで、変化はありますか?

桑原/グループ3社が手掛けるドローン、3Dプリンタ、ロボットという新規事業の担当を同じオフィスに配することで、何かしらシナジーが創出できないかと考えています。3Dプリンタによるものづくりがスタートしたことで、ドローン事業と連携し、ドローンのリペア用パーツを3Dプリンタで製造しています。目の前の北見工大と距離が近くなったことでコニュニケーションの回数が増え、共同研究もスタートしています。大学の先生たちは、コーヒーを飲みがてら、気軽に立ち寄っていかれます(笑)。そういう雑談コミュニケーションが、新しいアイデアやアクションにつながり、打ち合わせも、“今から行きます”という感じで進む。距離が近くてやりやすいというだけで、こんなに話が早く進むものなのかと驚いています。そういう新しいものを生み出す発信基地、コミュニケーションの場にもなっている。産学連携というと、どうしても入口のハードルが高くなり、先生とアポイントを取るにしても、窓口を通して時間調整していただき、会議室を取って、というプロセスを経る必要がありますが、ここができてからは、コーヒーブレイクでラフに話ができて、その距離感から得るものがすごく大きい。3Dプリンタの機種選定でも、機械工学科の先生からアドバイスを受け、大学と機種被りしないようにして、研究室から委託製造を受注できる環境を整えています。先生からメールでデータを送ってもらい、ここで出力して届けるというのが簡単にできます。

できることを増やしていくために

桑原/大学の先生がしみじみ語ったことですが、“コロナ禍で、対面ではなくリモートによるコミュニケーションで数年間を過ごしてきたけれども、実際に近い距離でコミュニケーションを取ることで得るものは大きいし、対面で会って、仕事の無駄話をする楽しさもあるよね”と。まさに、その通りだと思います。当社は研究開発を手掛ける会社ではありませんが、最先端のものを、いつまでもユーザーに安心して使ってもらえるよう手助けしていきたい。それは、祖父も父もそうでした。三菱電機さんの製品が正しく性能を発揮し、ユーザーに長く使ってもらうためのアフターサポートを担う修理サービスが当社の祖業であり、扱う機械は変わっても、その役割をずっと担っていきたい。だからこそ、私たちはできることを増やして、アフターサービスを担える技術レベルをしっかり身につけていかなければなりません。その意味でも、大学と連携していくことが重要と考えています。

快適性を損なわず、
環境性能を高めるZEBソリューション

久野/施設にZEBソリューションをご採用いただきました。現在ZEB認定を取得しており、ロスナイ、ズバ暖、LED照明を組み合わせることで、「Nearly ZEB」相当の設備が導入されています。

桑原/こういう場所に施設を造るなら、当然、SDGsや脱炭素を意識し、そうした取り組み抜きでは造れないだろうと考えました。もともとここは北見市の土地です。少なからず、北見の自然の恩恵に預かっている一企業として、環境に資する取り組みをして、長く活用できる施設にするためにZEBの導入を決めました。

今井/ZEBを導入されて、実際の体感的にどうでしょう?

桑原/違和感がないくらい、快適ですね。環境に良いことというのは、どこか我慢が伴うイメージがあって、上着を一枚多く着ることとトレードオフなのかなと思っていましたが、そんなことはなく、快適性はまったく損なわれていません。視察・見学のお問合せがすでに40件くらいあって、ZEBの取り組みについて、皆さんの関心の高さを感じます。

北の防人(さきもり)として、
三菱電機とともに

桑原/一次産業が強くても、この地域の人口減少は進んでいます。水揚げ量も取扱高も収穫量も増えているのに、人口は減っている。そうなると、この課題を解決するにはロボットしかないと考え始めました。でも、お客さんはロボットによる自動化を望んでいても、どう進めていけばいいのか分かりません。また、何かあった時に、誰が駆けつけてくれるのか、という不安もあります。そういう話を聞くと、私たちの役割というのは、お客さんの望む最先端の機械等をしっかりと修理できるようにしておくという修理屋としてのレベルを上げていくことです。それがないと、たとえどれだけ受注しても、修理できないことになります。

人口減少により産業の担い手が減っていく中で、地域の一次産業のロボットによる自動化や省力化を後押ししていくには、私たちがベースキャンプ(根拠地)になっていかねばならないと考えています。引き続き勉強しながら、三菱電機さんに良い製品・ソリューションを開発していただき、それをお客さんに届けるお手伝いをしていきたいと思います。かつて父が“三菱電機さんのシェアを守るため、代々、北の防人としてやってきた”と、酔った勢いで話していました(笑)。今の私も同じ気持ちです。北見における三菱電機さんのシェアを高めながら、北見エリアの環境と発展に貢献していく、そういう想いで続けていきたいと思います。

今井/心強いお言葉を、ありがとうございます。

先進的なカーリング専用競技場
〜 アルゴグラフィックス北見カーリングホール

北見市は、「ロコ・ソラーレ」の活躍で一躍有名となったカーリングの街。ジュニアからプロまで、数多くのチームがあり、北見市から多くの日本代表の選手を輩出しています。アルゴグラフィックス北見カーリングホールは、2020年に誕生したカーリング専用屋内競技場。国立大学法人北見工業大学との連携により、冬季スポーツの科学研究成果を駆使した競技力向上支援システムが導入された先進的なカーリングホールです。トップチームの練習や各種カーリング大会、リーグ戦のほか、一般の利用やカーリング体験も可能です。

豊かな自然に恵まれた道東エリアには、数多くの魅力的なスポットが点在しています。オススメの見どころを訪ね歩いたので、ご紹介します。

湖面を渡る心地よい風に和んで〜阿寒湖

道東を代表する観光地として名高い、阿寒湖。釧路市の北部に位置し、北海道の淡水湖としては5番目に大きく、マリモで有名です。マリモは淡水性の緑藻の一種で、阿寒湖のマリモは他の地域のものよりも美しい球状になるため、特別天然記念物に指定されています。湖の水はとてもきれいで、冬季は凍結した湖面でワカサギ釣りも楽しめます!湖畔には温泉街が立ち並び、湖沿いの木立には遊歩道が伸びていて、鳥たちのさえずりと湖面を流れる風を感じながらのウォーキングはとても気分爽快です。湖越しに望む、雄阿寒岳、雌阿寒岳の雄大な眺めも見どころです。

癒しのスポット〜弁慶の足湯

阿寒湖沿いの遊歩道の途中には、湖を眺めながら、湯に浸かれる「弁慶の足湯」があります。その昔、弁慶が足を休めたという湯だという言い伝えから名付けられたそうで、散歩の途中に疲れた足を休めることができる癒しのスポットです。程よい温度に、心まで温まります。

湖の色が変化する魔法の湖〜オンネトー

阿寒湖の東側の雌阿寒岳の西の山麓にある湖が「オンネトー」です。オンネトーとは、アイヌ語で“老いた沼”“大きな沼”といいい、湖の色が季節などによって変化することから、五色沼ともいわれます。雌阿寒岳の噴火で川が堰き止められた湖で、湖水が酸性のため、魚が棲むことができず、ザリガニとエゾサンショウウオが棲息する美しい湖です。周囲を深い森に囲まれた湖畔からの眺めは、とても神秘的。湖越しに望む雌阿寒岳と阿寒富士の並び立つ絶景は、静かな湖面にも映り込んでいます。

オススメ寄り道スポット紹介
〜ワッカ原生植物園

北見市の常呂町にあるサロマ湖畔の東側に約20kmにわたって広がる原生花園。オホーツク海とサロマ湖を分ける細長い砂洲にあり、300種類を超える草花が自生し、野鳥の繁殖地にもなっている日本最大級の海浜植物の群生地です。四季折々の美しい花が一面に咲き誇ります。

久野/改めて、自分の故郷でもある道東エリアを巡り、長年、北見に根ざし、地域とともに生きる桑原社長のお話を伺ったことで、道東エリアの現状や未来について考えるいい機会になったと思います。この豊かな自然環境と地域の発展のため、道東エリアの新しいページを開き、未来を創ろうと動き出している人たちがいて、そうした地域の発展を支える人たちをサポートし、共に未来を創っていくことが、私たち三菱電機の役割であることを再確認しました。

中野/今回、初めて北見エリアを訪れ、雄大な自然の奥深い魅力に触れたことは、北海道出身の自分にとっても刺激的な経験でした。この豊かな自然とそこからの恵みが地域にとっての大切な財産であり、この地が育む実りを未来へつないでいくためにも、カーボンニュートラルの実現に貢献する三菱電機の製品・サービスを広めていく提案活動を続けていくことの意義を感じました。