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快適と省エネを両立するオフィスビル空調

シナジーコラム「快適と省エネを両立するオフィスビル空調」 ライター 市原淳子 × 三菱電機冷熱システム製作所 営業部 西浦友馬シナジーコラム「快適と省エネを両立するオフィスビル空調」 ライター 市原淳子 × 三菱電機冷熱システム製作所 営業部 西浦友馬

オフィスビルの消費電力の半分近くを占めているのが“空調”だ。一般的なビル空調では、マルチエアコンがその内部を流れる冷媒の“量”を増減するだけで室内の温度を調整しているが、この方法では室内温度をそれほど下げなくてよいときでも一定の電力が消費されてしまう。
しかし、「三菱電機ビル用マルチエアコン×業務用ロスナイ『外気処理ユニット』」を組み合わせると、さまざまな面から省エネができる。このシステム導入には補助金が利用できるため、初期投資を抑えられる点もメリットだ。

INDEX

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  • 快適と省エネを両立。「潜顕スマート除/加湿空調システム」によるオフィスビル空調
  • オフィスビル空調の省エネは国を上げての取り組み
  • オフィスビルの快適=温度×湿度×換気
  • 通常のビル空調の仕組み
  • ロス(損失)が少ないロスナイ「外気処理ユニット」がエアコン側の負荷を抑制
  • 空調負荷に合わせて自動で冷媒温度を変動させる「三菱電機ビル用マルチエアコン」
  • 導入時には補助金の活用も

快適と省エネを両立。
「潜顕スマート除/加湿空調システム」による
オフィスビル空調

オフィスビル空調の省エネは
国を上げての取り組み

電力需要のピークを迎える夏は各家庭に節電が求められるようになって久しいが、企業に対して、国は省エネとともにCO2削減の厳しい要請を課している。さらに毎年電気使用量を減らすための補助金を出し、省エネ政策を進めている。
企業が入居するオフィスビルの多くでは、大量のエネルギーを消費する。なかでも、消費電力の半分近くを占める空調設備の省エネ対策は喫緊の課題といえる。

出典:経済産業省「ZEBの実現と展開に関する研究会報告書」(2009年11月)

オフィスビルの快適=温度×湿度×換気

オフィスビルには、「建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)」に基づいて二酸化炭素含有率などの基準値が定められている。その基準値を満たすためには新鮮な外気を取り入れて二酸化炭素量を下げる必要がある。
また、室内の快適性を維持するには、適切な温度と湿度の管理も不可欠だ。つまりビル空調には、温度×湿度×換気のバランスをとりながら省エネと快適性を両立することが求められているのだ。

それを実現できる空調システムが「潜顕スマート除/加湿空調システム新しいウィンドウが開きます」。
これについて、HVAC&R JAPAN 2018冷凍・空調・暖房展の三菱電機ブースで冷熱システム製作所営業部 西浦友馬さんに解説してもらった。

実際の室外機を使って説明してくれた西浦さん。

通常のビル空調の仕組み

まず、ビル空調の基本的な仕組みを見てみよう。ビル用のエアコンは「マルチエアコン」と呼ばれ、1台の室外ユニットに複数の室内ユニットがつながって構成されている。ビルの規模によっては、複数のマルチエアコンが使われることもある。

ビル用マルチエアコン。1台の室外ユニットに複数の室内ユニットが接続されている。

近年のビルの多くは気密性も断熱性能も高い。そのため以前ほど電気を使わなくても、快適な環境を保ちやすくなった。しかし、ガラス窓の数や向きによって、同じオフィス内でもかなりの温度差が生じてしまうビルもある。

西浦:このようなビルでは、通常のマルチエアコンは内部を流れる冷媒の温度は一定のまま、冷媒の量を増減することで温度調整をします。そのため、ビル全体の温度をあまり下げなくてもよいとき、つまり『空調負荷が下がったとき』も冷媒の温度は一定なので、エアコンの心臓部である圧縮機(冷媒の温度の上げ下げを行なう部分)は、一定の電力を消費してしまいます。

通常のマルチエアコンでは冷媒温度は一定で、流量の増減によって部屋ごとに温度調整をしている。

また、湿度については、通常のマルチエアコンには湿度センサーがないため、温度情報のみをもとに空調をコントロールする。では、換気はどうなっているのか。

西浦:「外気処理ユニット」とよばれるビル用の換気扇が行なっています。一般的な外気処理ユニットは外気を室内にそのまま取り入れるため、室内で適温になった空気と適度な湿度が逃げてしまいます。つまり、換気でもエネルギーのロスが発生していたのです。

ロス(損失)が少ないロスナイ
「外気処理ユニット」が

エアコン側の負荷を抑制

三菱電機ビル用マルチエアコン新しいウィンドウが開きます業務用ロスナイ「外気処理ユニット」新しいウィンドウが開きますを組み合わせた「潜顕スマート除/加湿空調システム新しいウィンドウが開きます」は、こうしたエネルギーのムダをさまざまな工夫で削減する。

例えば冷房の場合、エアコンは通常、「温度を下げる運転(顕熱処理)」と同時に「湿度を下げる運転(潜熱処理)」を平行して行う。この両者を合わせて“全熱処理”と言う。

西浦:業務用ロスナイ「外気処理ユニット」新しいウィンドウが開きますは、外部から取り入れた空気に室内空気の熱と湿度を伝えることで、エネルギーのロスを減らします。とくに外部と室内の温度・湿度の差が大きい冬と夏には、より大きな省エネ効果が得られます。

さらに、業務用ロスナイ「外気処理ユニット」新しいウィンドウが開きますには、湿度センサーと除湿/加湿機能がついているため、湿度もコントロールできる。そのため、エアコンが行なう「温度を下げる運転」と「湿度を下げる運転」の両方が少なくて済むという仕組みだ。

業務用ロスナイ「外気処理ユニット」新しいウィンドウが開きますは最適な換気方式に自動で切り替えができる。
業務用ロスナイ「外気処理ユニット」新しいウィンドウが開きますの実物を示し、「ここで熱交換をしています」と、西浦さん。

空調負荷に合わせて
自動で冷媒温度を変動させる

「三菱電機ビル用マルチエアコン」

マルチエアコン側にも省エネのための仕組みが備わっている。
その一つが、三菱電機ビル用マルチエアコン新しいウィンドウが開きます業務用ロスナイ「外気処理ユニット」新しいウィンドウが開きますにある湿度センサーの情報を受け取れるという点だ。マルチエアコンは湿度の情報に基づいて、「湿度を下げる処理」を少なくし、「温度を下げる処理」を優先できる。その結果、エアコン全体にかかる空調負荷が下がるのだ。

三菱電機ビル用マルチエアコン新しいウィンドウが開きますには、そのほかにも優れた省エネ機能が搭載されている。西浦:通常のマルチエアコンは、空調負荷が下がっても冷媒の温度は一定のまま、冷媒が流れる量を増減することで温度調整するしかありません。しかし三菱電機ビル用マルチエアコン新しいウィンドウが開きますの場合、エアコン全体にかかる空調負荷が下がると自動的に冷媒温度を上げることができます。そのため室外ユニットの圧縮機の動きを抑えることができ、省エネにつながるのです。

潜顕スマート除/加湿空調システム新しいウィンドウが開きます」は、冷媒温度を上げて室外ユニットの働きを抑える仕組み。

西浦:三菱電機ビル用マルチエアコン新しいウィンドウが開きます業務用ロスナイ「外気処理ユニット」新しいウィンドウが開きますの組み合わせが単なる“+(プラス)”ではなく“シナジー「×」”なのは、二つの連携によって「快適」と「省エネ」の両方を実現できるからです。
業務用ロスナイ「外気処理ユニット」新しいウィンドウが開きますの機能だけでも、外気に対して湿度コントロールしてから給気するため、運転効率が高くなります。さらに、三菱電機ビル用マルチエアコン新しいウィンドウが開きますの湿度感知機能が加わった『潜顕スマート除/加湿空調システム新しいウィンドウが開きます』になると、通常のシステムよりも約26%の省エネとなります。

空調負荷に合わせて自動で冷媒温度を変動させるので、低負荷時の室内ユニットの働きを最小限に抑えられ、省エネ性が向上。

導入時には補助金の活用も

潜顕スマート除/加湿空調システム新しいウィンドウが開きます」を導入する際、補助金が活用できればコストを大幅に抑えられる。実際、クレジット会社とエネルギーマネジメント事業者の協業により「初期投資ゼロ」といった事例もあったという。

また、三菱電機ビル用マルチエアコン新しいウィンドウが開きますはカスタマイズにも対応している。室内ユニットが外部からの信号に応じて冷媒温度を変化させることもできるので、例えばCO2センサーなどの情報を元に、冷媒の温度を制御して省エネにつなげることもできる。

ビルの環境や利用状況に合わせたシステムに柔軟に対応できるという点は、大手ゼネコンにも好評だ。もし今のオフィスの空調があまり快適でないなら、その原因や対策を考えるうえで、この「潜顕スマート除/加湿空調システム新しいウィンドウが開きます」が参考になるかもしれない。

市原淳子の写真
取材・文/市原淳子
雑誌の編集者・記者を経て独立。食やヘルスケア、医療・介護から最前線のビジネスフィールドまで幅広いジャンルにわたり、Webメディア、雑誌、新聞、また単行本の企画・構成などを手がける。企業人や職人、アーティストへのインタビュー多数。発信者と読者をつなぐ、わかりやすくて面白いメディア作りの達人。
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