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待ち時間のストレスを軽減する「エレ・ナビ」の驚きの効果を体感
~エレ・ナビ(後編)

シナジーコラム 「エレ・ナビ」後編シナジーコラム 「エレ・ナビ」後編

前編をお読みでない方は、
まず以下からご覧ください。

「エレ・ナビ」前編

エレベーター行先予報システム「エレ・ナビ」を導入後、エレベーター渋滞のせいで遅刻者が出るほどの大混雑が一気に解消された。その効果を体感すべく、通勤ラッシュ時の東京ビルへ向かった。多くの人が詰めかける時間帯にも関わらず、エレベーター付近はリラックスした雰囲気。各駅停車から快速電車に変わったかのような快適さが印象的だった。

INDEX

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  • 待ち時間のストレスを軽減する「エレ・ナビ」の驚きの効果を体感
  • エレベーター待ちのせいであわや遅刻
  • エレベーター渋滞の行列が消えた
  • 「エレ・ナビ」の効果のほどを体感
  • エレベーターが各駅停車から快速運転に
  • 伝わりにくい「エレ・ナビ」のよさ

待ち時間のストレスを軽減する
「エレ・ナビ」の驚きの効果を体感

エレベーター待ちのせいであわや遅刻

朝の出勤ラッシュは、イライラする人の割合がもっとも高くなる時間帯だ。三菱電機ビル事業部の玉谷憲史さんも、エレベーター待ちに悩まされた経験がある人の1人だ。

2009年末まで、玉谷さんの職場がある東京・丸の内の「東京ビルディング」(以下、東京ビル)には毎朝、“エレベーター渋滞”による長い行列ができていた。始業時間の9時近くがそのピーク。エレベーターホールに入りきれない人が、セキュリティーゲートの外にまであふれ出し、向かい側の壁に達するほどだった。

玉谷憲史が話をしている写真

玉谷:その頃は、エレベーター渋滞のせいで遅刻しそうになったことが何度もありました。

エレベーター渋滞の行列が消えた

そんな朝の光景が一変したのは2010年1月。ゲート前の行列は雲散霧消し、到着したエレベーターに殺到する人もいなくなった。この劇的な変化をもたらしたのが、エレベーター行先予報システム「エレ・ナビ」だ。

玉谷:東京ビルに「エレ・ナビ」が導入されると聞いたときは正直、「そんなに変わるものだろうか」と、あまり期待はしていませんでした。それが正月休み明けに出社してみたら、セキュリティーゲート前から人が消えていたんです。驚きました。

エレ・ナビ導入前と導入後の比較写真
「エレ・ナビ」導入前は出勤ピーク時に60人ほどの行列ができていた。

驚いたのは玉谷さんだけではない。このシステム導入によって、通勤ピーク時のエレベーターの5分間輸送人数は約150人から約174人に増え、約16%向上した。

セキュリティー連動・エレベーター行先予報システム「エレ・ナビ」

「エレ・ナビ」の効果のほどを体感

はたして「エレ・ナビ」とはどんなものか。玉谷さんにご案内いただき、体験してみた。

通勤ピーク時の9時前に東京ビルへ。出社する人がセキュリティーゲートのカードリーダーにIDカードをかざし、スムーズにエレベーターホールへと吸い込まれていく。遅滞する様子はまったくない。

続いてゲストカードを受け取り、玉谷さんとともにゲートを通過する。まず、ゲートに設置されたカードリーダーが玉谷さんのIDカードの情報を読み取る。その情報から玉谷さんの目的階を瞬時に判断し、その階に行くために最適なエレベーターの号機がセキュリティーゲートの前方にパッと表示される。これが「エレ・ナビ」の基本的な仕組みだ。

エレベーターを待つ人の様子を観察してみる。乗るべきエレベーターが決まっているため、周囲をキョロキョロ見回す人はいない。到着したエレベーターに殺到することもなく、知り合いに挨拶しながらリラックスした様子でエレベーター待ちをしているのが印象的だった。

エレベーターが各駅停車から快速運転に

私たちが乗るエレベーターは10秒ほどで到着した。乗り込んだカゴ内の操作パネルを見ると、私たちの目的階である「6階」のほかに2つのフロアがすでに登録されている。

エレベーターの室内はほぼ満員だが、すし詰め状態というほどではない。自分で階数ボタンを押そうと腕を伸ばしたり、「○階を押してください」といった声が飛び交ったりすることもなく、のんびりスマホ操作をする人もいた。

玉谷:以前は、乗り込んだ人がそれぞれ自分の目的階で止めるため、エレベーターに乗ってからもオフィスにたどりつくまで、すごく時間がかかったんです。今は「エレ・ナビ」が行き先階ごとに利用者をまとめるので、停止するのは多くても3ヶ所程度。エレベーターが各駅停車から快速運転になったような感じです。

ちなみに、セキュリティーゲートで表示を見逃すなどして、指定されたエレベーターに乗れなかったら、エレベーターホールに設置された「乗場操作盤」を利用すればよいので安心だ。

伝わりにくい「エレ・ナビ」のよさ

東京ビル利用者へのアンケート調査によると、東京ビルでは「エレ・ナビ」導入前後を比べて、約8割の人がエレベーターの便利さを実感しているという。「ほかのビルでは?」と玉谷さんに尋ねると、

玉谷:「エレ・ナビ」を導入したビルでは竣工段階から「エレ・ナビ」を使っていただくことのほうが多いので、混雑していないのが当たり前なんです。営業担当者としては、便利さを実感していただく機会がないのがちょっと残念ですね。

と、苦笑。縁の下の力持ちは、あくまで縁の下にいるのだ。

市原淳子の写真
取材・文/市原淳子
雑誌の編集者・記者を経て独立。食やヘルスケア、医療・介護から最前線のビジネスフィールドまで幅広いジャンルにわたり、Webメディア、雑誌、新聞、また単行本の企画・構成などを手がける。企業人や職人、アーティストへのインタビュー多数。発信者と読者をつなぐ、わかりやすくて面白いメディア作りの達人。
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