三菱カーナビゲーションシステム

NR-MZ300PREMI-2key Function

クルマでの音場の再現に欠かせない
「タイムアライメント」とは何か。

車内では、ホームオーディオのようにリスナーと各スピーカーの距離を均等にすることができません。調整せずに音楽を再生すれば、左右のスピーカーから同時に発した音が、リスナーの耳に異なるタイミングで到達。ピントがぼけた一体感や実像感の乏しい音に聴こえてしまいます。そのため、各スピーカーから音が耳に届くタイミングを均一に補正し、バランスの良い音場を再現するタイムアライメント機能が不可欠になります。

ホームオーディオの場合
左右のスピーカーからリスニングポジションまでの距離が同じなので、音がバランスよく聴こえ、理想の音場が再現できます。
カーオーディオの場合
各々のスピーカーから音が届くタイミングがそれぞれ異なるため、すべての音がバラバラに聴こえてきます。

■通常のタイムアライメントとの違い

通常のタイムアライメントは1つの出力線で、1つのスピーカーしか調整できません。しかし、マルチウェイ・タイムアライメントは1つの出力線にパッシブネットワークを間に入れた2つ以上のスピーカーが接続されていても、それぞれのスピーカーを個々に最適に調整することが可能。そのため、通常のタイムアライメントとは異なり、スピーカーシステムに関係なく理想的な音場を生み出すことができます。

■マルチウェイ・タイムアライメントの原理

音楽信号は低音域から高音域までが入り交じっています。マルチウェイ・タイムアライメントは、チャンネルごとに任意の周波数を基準にフロント最大3分割することができます。例えば、高音域用スピーカーが低音域用スピーカーよりも遠くに設置されている場合、高音域を基準に低音域側を任意の時間だけ遅らせて帯域を合体し、ひとつの音楽信号にしてパワーアンプから送り出します。そのため出力時の信号はひとつとなり、出力線も1本で済みます。2Wayスピーカーシステムであれば、パッシブネットワークで再生帯域を分割して各スピーカーでタイムアライメント調整された信号を再生します。また、時間軸の異なる複数の帯域をひとつの信号として合体させるので、そのままフルレンジスピーカーでも仮想2Way/仮想3Wayとしての再生が可能です。通常のマルチアンプ方式のタイムアライメントでは不可能だった調整を実現した革新的なテクノロジーです。

2Wayスピーカーが持つ
再生周波数帯域と音の指向特性

音楽を構成するボーカルや楽器の周波数帯域はそれぞれ異なり、これらが複雑に絡み合って音楽を形成しています。下のグラフからもわかるように、ボーカルや楽器などの主な再生周波数帯域は中音域から低音域にかけて集中しており、大半はトゥイーターではなくウーファーで再生されています。ただし、基準となる周波数(基音)の整数倍の周波数(倍音)も音として存在するため、高音質再生では中音域だけではなく高音域も重要な要素になります。

■音楽を構成する「音」と2Wayスピーカーの再生周波数帯域(当社調べ)

車内のオーディオ再生でもうひとつ大事な要素としてあげられるのは、音の指向特性のコントロールです。ホームオーディオであれば、すべてのスピーカーをリスナーに向けることができるため、再生周波数帯域やスピーカーごとの指向特性は問題になりません。しかしカーオーディオの場合、すべてのスピーカーの取付位置や角度をリスナーと正対させることも等距離に設置することもできないため、車内で確実に指向特性をコントロールすることは非常に難しい問題でした。特にフルレンジスピーカーや2Wayスピーカーの場合、ひとつのスピーカー(低音域側)が受け持つ再生周波数帯域内であっても、ある周波数を境界線として異なる指向特性を有します。2Wayスピーカーを何も調整せずに再生すると、リスナーに近いウーファーからの低音域の音が中音域に比べて大きく、こもって聴こえてしまいます。この一般的なソースユニットでは解決できない難題に、DIATONE SOUND. NAVIがひとつの答えを導き出しました。それが、DIATONEの特許技術「マルチウェイ・タイムアライメント」です。

■2Wayスピーカーの音が持つ指向特性

仮想3Wayタイムアライメントが創り出す、
リアルなフォーカスの立体音場。

DIATONE SOUND. NAVIに搭載されている特許技術「マルチウェイ・タイムアライメント」は、フルレンジスピーカーや純正2Wayスピーカー、ネットワークレスのハイエンドスピーカーなど、さまざまなスピーカーシステムの性能を最大限に引き出します。
音楽の骨格となる低音域、ボーカルを中心とした中音域、音楽に華やかさやツヤを与える高音域を厳密に調整。
「仮想3Wayタイムアライメント」によって生み出される、バランスの整った音場を再現します。

業界唯一
仮想3Wayタイムアライメント

※2019年3月時点、当社調べ。国内市販向けカーナビゲーションにおいて。

フロント2Wayスピーカーの再生周波数帯域を3分割し、
低音域と中音域、高音域を個別に調整し音場を整える

マルチウェイ・タイムアライメントは、パッシブネットワークが付属する純正スピーカーや市販のセパレート2Wayスピーカーのウーファーが受け持つ再生周波数帯域を中音域と低音域に分割。あたかも3Wayスピーカーと同様な調整を可能とする仮想3Wayを設定できます。仮想3Wayは、トゥイーターの再生周波数帯域はそのままに、ウーファーの再生周波数帯域を指向性がある中音域と指向性がない低音域に分け、それぞれを個別にタイムアライメントやゲインを綿密に調整。音圧レベルやリスナーとスピーカー間の距離を揃えることで、2Wayスピーカーでありながら3Wayスピーカーと同等の、バランスが整った音場を再現します。さらにクロスオーバーによる調整で音質も大幅に向上。
グラフィックイコライザーの使用を最小限に抑えた劣化の少ない音楽再生を楽しめます。

■仮想3Wayタイムアライメントの調整実例

純正2Wayスピーカーの再生周波数帯域を低音域と中音域、高音域に分割し、仮想3Wayスピーカーとしてタイムアライメントとゲインを調整します。また、フルレンジスピーカーも再生周波数帯域を3分割した仮想3Wayスピーカーとして扱うことも可能です。

スピーカーシステムの設定
システム構成は「パッシブ」を選び、フロントスピーカー構成の項目は「3Way」を選択します。これにより、高音域と低音域に加え中音域を独立して調整ができるようになります。リアスピーカーを使用しない場合は、リアアンプの設定は「なし」にします。2Wayスピーカーだけではなく、フルレンジスピーカーでも、仮想3Wayの設定が可能で、音場をより綿密にコントロールすることができます。
タイムアライメントの設定
すべてのスピーカーの距離を測り、その距離を入力。同一チャンネルの低音域と仮想中音域は同じ数字を入力します。ここでポイントとなるのは、同じスピーカーから発せられる中音域と低音域のタイムアライメント調整は、同じ数字を入力することです。純正2Wayセパレートスピーカーの場合、ウーファーが高音域まで音を出してしまっているので、高音域のタイムアライメントを左右同時に1ステップ程度増やすと良い結果を得られます。
クロスオーバーの設定
純正2Wayスピーカーの場合、高音域と中音域の分割周波数を5kHz、パッシブネットワーク付属の市販2Wayスピーカーの場合は3.15kHzに設定。どちらも中音域と低音域との分割周波数は315Hzに設定し、低音域側は50Hzで-12dBオクターブで減衰させます。右ハンドル車の場合、右側の低音域のゲインを下げ定位位置を左に修正。中音域は左右の音圧バランスが同じになるように調整。高音域は右スピーカーのゲインを上げ修正します。
  • ※上記の調整実例はあくまでも一例です。

DIATONE独創のDSPテクノロジーだけが成し得た、
音場コントロール機能「マルチ+パッシブ設定」。

取付スペースの問題から、多くの車載用セパレートスピーカーシステムは2Wayで構成され、3Wayはごく一部となります。
DIATONE SOUND. NAVIは、パッシブネットワークが付属しない市販2Wayスピーカーを3Wayスピーカーのように扱える「マルチ+パッシブ3Way/L」と、市販3Wayスピーカーを対象とした「マルチ+パッシブ3Way/H」を搭載。
音楽ソースに忠実な高音質再生と、左右の広さと高さ、奥行きの整った立体的でリアルなステージを創出します。

業界唯一
マルチ+パッシブ設定3Way/L

※2019年3月時点、当社調べ。国内市販向けカーナビゲーションにおいて。

2Wayスピーカーが再現する
3Wayスピーカーと同等の音像と音場

マルチアンプ方式は、パッシブネットワークを使わずDSPで再生周波数帯域を分割する方式で、1台のスピーカーに対して1chのアンプを割り当てます。DIATONE SOUND. NAVIは2Wayのマルチアンプ方式に対応。システム構成の「マルチ」を選択すればフロント出力をウーファー用出力として、リア出力はトゥイーター用出力として使用が可能です。さらに、マルチアンプ方式の2Wayシステムで「マルチ+P(パッシブ)3Way」を選択することで仮想3Wayとしてよりきめ細かく調整することができます。「マルチ+P(パッシブ)3Way」はマルチアンプ方式とマルチウェイ・タイムアライメントを組み合わせた、DIATONE独創のタイムアライメント機能で、3Way/Hと3Way/Lの2つの設定があります。3Way/Lは、2Wayセパレートスピーカーの能力を最大限に引き出し、仮想3Way同様に3つの再生周波数帯域で調整できます。ウーファーとトゥイーターは、DIATONE SOUND. NAVIのクロスオーバーネットワークで再生周波数帯域を分割して独立に駆動。さらにウーファーの再生周波数帯域をマルチウェイ・タイムアライメントによって、指向特性がある中音域と指向特性がない低音域に分割。それぞれを最適に調整することで、リスナーと左右のウーファーの角度差によって生じる中音域と低音域の音圧変化の問題を解消し、フォーカスの合った広大な音場を再現します。「マルチ+パッシブ設定」は内蔵の4chアンプだけでスピーカーを駆動することができ、シンプルなシステムでありながら優れたパフォーマンスを発揮します。

■市販の3Wayスピーカーを自在にコントロールする「マルチ+パッシブ3Way/H」

マルチ+パッシブ3Way/Hはウーファーで1ch、スコーカーとトゥイーターで1chを割り当てるシステム。DIATONE SOUND. NAVIのクロスオーバーネットワークでウーファーとスコーカーの周波数帯域を分け、トゥイーターとスコーカーはパッシブネットワークで分割。市販の3Wayスピーカーを理想の音で楽しめます。

■「マルチ+パッシブ3Way/L」の調整実例

市販2Wayセパレートスピーカーで、ウーファーを低音域と中音域に分けた仮想3Wayとして、タイムアライメントとゲインの調整ができます。クルマならではの再生周波数特性の乱れも調整でき、イコライザーの使用を最小限にとどめることができます。また、高音質内蔵パワーアンプを使用することも可能です。

スピーカーシステムの設定
システム構成は「マルチ+P」を、フロントスピーカー構成の項目は「3Way/L」を選択します。これにより、現実には存在しない中音域を再生するスピーカーが存在すると仮定した設定となり、ウーファーの中音域と低音域を個別に調整することが可能。内蔵アンプを使用する場合、フロント用アンプがウーファー用に、リア用アンプがトゥイーター用に使用され、リアスピーカーの再生はできなくなります。
タイムアライメントの設定
実在するスピーカーの距離を測りその距離を入力。同一チャンネルの仮想中音域は低音域と同じ数字を入力。左右スピーカーの定位を合わせ、その後、高音域の数値を高域の音像が一番高く上がるまで左右同時に増やします、通常数ステップ増やした所で良い所が見つかります。
クロスオーバーの設定
マルチアンプ方式のクロスオーバー周波数は、スピーカー付属のパッシブネットワークのクロスオーバー周波数か、推奨クロスオーバー周波数付近に設定します。トゥイーターは低音域側の信号を入力すると破損する可能性があるため、極端に低い周波数は避けます。低音域と中音域を分割する周波数は315Hz付近にして中音域側を広めに取り、低音域側のゲインを下げることで定位感が格段に向上します。
  • ※上記の調整実例はあくまでも一例です。