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CLUB DIATONE

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DIATONE®車載用スピーカー
DIATONE Car speakers

DIATONEのこだわりによってソリッドライン構造が誕生

DS-G500の技術的なポイントを教えてください。

寺本

DS-G500とDS-G50の最大の違いは、ウーファーもトゥイーターも振動板の構造を変えたことです。DS-G50でNCV振動板を開発したときに、それで満足しきったわけではなく次の課題もあげていきました。その中で一番大きかったのがウーファーの振動板が周囲方向で振動モードが揃ってしまうということだったのです。NCVは非常に軽量で硬く剛性が高くて振動板素材としては理想的なのですが、逆にそれが災いして均一な厚みで円形の振動板を作ると、同心円状で振動モードが一緒になって共振点が揃ってしまい、きれいな再生周波数特性を出しづらくなってしまうのです。紙などの比較的軟らかい素材では、振動板のあちこちで分割振動が適当に発生したり、周囲方向で厚みのばらつきがあるために振動モードが分散されます。そのため再生周波数特性としてはクセの少ないきれいな特性が出やすかったりするわけですがが、NCVは高剛性ゆえに難しい部分がありました。

どうやって解決したのでしょうか?

寺本

二年くらい前から先端技術研究所を交えてブレインストーミングを繰り返しました。実際に振動モードの分散の手段として、コルゲーションをつけるといったエッジやダンパーで工夫する方法や、振動板に直線的なリブを付けたり渦巻き状に補強を入れるなど、振動板そのもので対策する方法などいろいろとアイディアを出しました。しかしこれまでの経験上、振動板が一番音に効くということはわかっていたので、NCVが持つ一体成形できるというメリットを生かし、コストを上げずに最大の効果を出す方法を追求することにしました。そしていろいろな仮説を立ててシミュレーションを繰り返し、やっとこの振動板にリブをつけた「ソリッドライン構造」にたどりついたのです。ただしここに至るまでは、アイディアをいくつも試しながらよりいいものを探すことを繰り返しています。リブの本数や長さ、高さ、厚みなどをいろいろシミュレーションし、その中で良さそうな特性のものをいくつかを試作して試聴を繰り返し、分割振動の打ち消し合いをする一番いいポイントを探した結果、今回採用した5本リブのソリッドライン構造を見つけ出したのです。なぜリブが5本なのか、リブの長さや厚みがなぜこのサイズなのかといったことも地道な研究が導き出した成果なのです。ちなみに振動板自体の厚みも最適化し、DS-G50とDS-G500では厚さは違っています。

高剛性化によりさらにナチュラルでダイナミックなサウンドを実現

ソリッドライン構造の効果を教えてください。

寺本

ソリッドライン構造を採用したことにより、大きなふたつの効果を得ました。ひとつは剛性が格段に増したことです。リブが付いた部分だけで比較すると、硬さに相当する断面2次モーメントは厚さの約3乗で効きますので、単純計算で1㎜と2㎜とでは約8倍違うということになります。つまりリブの付いている部分というのは、そうではない部分に比べて非常に剛性が高いということがお分かりいただけると思います。その部分的に剛性が高いところができたことによって、課題だった振動モードの適度な分散化を実現しました。
もうひとつは、この最適化されたソリッドライン構造によって、再生周波数特性が非常になだらかになり、歪みも大幅に低減したことです。
剛性が高くなったことでレスポンスもアップし、口径がひと回り大きくなったかのようなダイナミックな音になり、我々が理想としている音にさらに近づきました。

振動板以外についてはいかがでしょうか?

寺本

フレームと磁気回路はDS-G50と同じ構造や素材、デザインを踏襲しています。
スピーカーはボイスコイルで機械的な力を発生させて振動板を押すのですが、作用反作用の関係で同じ力が振動板の後ろ側にも発生します。そうすると振動板後方はその力が振動となって伝わり、振動した状態を基準にして振動板が動くことになってしまいます。スピーカーは本来振動板だけが動いて、それ以外は動かないというのが理想の姿です。そこで振動板以外を動かさないためには、力を受け止めるためにフレーム自体の重さが必要で、さらにフレームの共振を抑える必要があります。機械共振を抑える方法はふたつあります。ひとつはブチルゴムなどのダンプ剤をフレームに貼り付け、機械エネルギーを熱に変える方法です。ただしこの方法ではダンプ剤自体が余計な音を出すことになり、たいてい音が悪くなります。もうひとつは、まったく共振ポイントの違う異種の金属をくっつけてしまうという方法があります。これはAという金属がBの共振を抑え、Aの共振をBが抑える効果があり、一般的にはこちらの方が音への影響が少なくて済みます。DS-G500がDS-G50に引き続き採用しているNew DMM構造は、高剛性アルミ鋳造フレームと重量亜鉛ダイキャストの異種金属を組み合わせた構造で、双方の共振を効果的に抑え、解像度とスピード感を両立させています。

音質と高い取付性の融合

取付性もいいのですね。

寺本

フレームサイズはDS-G50と同じで、音に対して妥協せずクルマへの取り付けやすさも充分に吟味したものとなっています。DS-G50開発時に多くのクルマを調査した結果、黄金の数字というものが出てきました。まず内径ですが、これは139.8㎜にするとドアに16㎝径のウーファーが付いているクルマならばほとんど問題なく取付が可能であることがわかりました。またMDFやシナ材を使ったメーカー別の市販インナーバッフルも使えます。加えてバッフル面とスピーカーの奥行きは60㎜に抑えれば、一部の軽自動車以外は問題ないこともわかりました。車載用スピーカーはこの奥行きが薄ければ薄いほど汎用性が高まりますが、その代わりに振動板のストロークが取りにくくなり、簡単に歪んでしまうと音量を出せなくなってしまうのです。取付性と音のバランスを考えると、奥行き60㎜という数字はかなり重要な数字で、その部分はDS-G500でも踏襲しています。またDS-G50と同様に、フレームと音の広がり方をコントロールするためのダイレクターを別体化しているので、インナーバッフルでもアウターバッフルでも取付が可能です。

取付穴が6穴なのもDS-G50と共通ですか?

寺本

車体側にしっかりと固定し振動板に余計な振動を伝えないために、一般的なトレードインスピーカーのような4穴ではなく、他の車載用DIATONEスピーカーと同様に6穴にしています。ねじ穴の位置はDIATONEスピーカーはすべて共通ですから、DS-G50やDS-G20のバッフルにそのまま取付けることも可能です。

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