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CLUB DIATONE

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DIATONE®車載用スピーカー
DIATONE Car speakers

新しいDIATONEサウンドを生み出す
Wサイド・ソリッドライン構造

仲田

「カジュアルなんだけれども明確なDIATONEサウンド」を実現するために、ウーファーには振動板とフレーム、磁気回路に新しい技術を投入しました。スピーカーの音色に関して、特に大きく影響するのは振動板ですが、ダンパーやボイスコイル、磁気回路など、すべてのパーツのバランスで音色は決まります。DIATONEスピーカーのウーファー振動板の特長としては、DS-SA1000やDS-G500で採用しているソリッドライン構造があるのですが、DS-G300ではそのソリッドライン構造をさらに改良しています。従来はソリッドラインのリブが振動板の内側の端から外側の端までの長さはなかったんです。今回DS-G300の開発にあたり、研究所とも連携してさまざまなシミュレーションを行いました。軽量で高剛性を突き詰めていったときに、最終的に行き着いたのが端から端までリブが繫がっていながら、その一部を振動板の表側に出したこの形状でした。単純に考えれば、片面にリブをたてればいいだろうとなるのですが、シミュレーションの結果、裏からリブを表に出しても狙った効果が得られるということがわかりました。実際にはシミュレーション無しではこの形状にはたどり着けませんでした。この形状のおかげで、分割振動はDS-G500よりも抑えられています。Wサイド・ソリッドライン構造と呼んでいますが、この形状のおかげでエッジを振動板の裏側に貼ることができ、振動板を外周いっぱいまで使うことを可能にしました。また、Wサイド・ソリッドライン構造に加え、振動板自身も新規形状にしており、双方の最適化により相乗効果で音質特性が良くなりました。結果として、ウーファー単体として高音域側を広く使えピーク感を抑え、デッドニングや音響的なチューニングをしなくても、簡単にDIATONEのポリシーである、ソースに忠実な再生音を実現しています。

須田

DS-G500やDS-SA1000のウーファーのソリッドライン構造も、我々が求める再生周波数特性に合致した最適な特性を実現していますが、さらに研究が進みDS-G300ではその最先端の研究成果を盛り込んだ振動板を開発しました。取付で手間をかけなくても、しっかりとした低音域が出せるというのは、このWサイド・ソリッドライン構造の効果と言えます。

スピーカー開発の高効率化と最適化を実現した
モデルベース最適設計

仲田

スピーカーを開発するにあたって、音圧や再生周波数の帯域幅だとか、低音域の制動や振幅をどのくらい取るのかといったことを、うまいバランスを選択する必要があります。スピーカーの性能を示す指標としてTSパラメーターというものがあり、このTSパラメーターから、そのスピーカーがどんな性能かある程度予測ができます。電気的なパラメーターと機械的なパラメーターは測定で調べるとわかるので、DS-G300の開発にあたっては、DS-G500やDS-G20のパラメーターを見ながら、DIATONEサウンドを受け継ぐカジュアル路線がどの方向でいけばいいのかを考えました。スピーカーの設計時には、共振の度合いを示すQや共振周波数を示すf0というパラメーターが重要なのですが、この設定値を実際の設計を開始する前に音の方向を見据えて設定し、シミュレーションによって確認しています。DS-G300の設計にあたり、エッジの硬さやダンパーの硬さ、振動系の質量、コイルの変形、インピーダンスなど、さまざまな要素が関わってきますが、それらを目標とするQやf0になるように、必要な要素すべてを決定していくシミュレーションの手法として、より最適な数値を導き出せる「モデルベース最適設計」を導入しました。

須田

「モデルベース最適設計」を活用した例を紹介します。DS-G300はエッジを従来のモデルから大きく物性値を変えた素材を採用しました。かつては、車載用で使いたくても、耐候性や耐久性に難があるため使えない素材がありました。しかし、現在では、車載用に適した素材も存在するようになりました。DS-G300開発時には我々が達成しようとした音のために最適な硬さや強度、質量といった要素のバランスを含めて、検討をくり返してきました。

仲田

例えば、f0を低くしようとするなら、エッジの質量を重くすればいいのですがそうすると音圧が下がってしまう。でも音圧は下げたくない。でもf0は下げ過ぎない範囲で下げたい。そうなると質量でコントロールするというのは難しいわけです。DS-G300の場合、音圧は下げないというか、スピーカーのコンセプトからするとむしろ音圧は上げたい。しかしそうするとf0は高くなってしまう。そこでエッジはできるだけ軽くしてf0をできるだけ下げるように素材のパラメーターを変えました。その設計値に合致したのが今回採用したエッジ素材というわけです。

須田

補足しておきますと、車載用スピーカーは高温高湿の過酷な環境を考慮する必要があり、エッジの素材によっては水分による影響を受けやすく、水と結合して素材の物性値変化が起きやすい傾向の素材があります。それでは車載用としては使用できないので、DS-G300のエッジ素材は、水と結合しにくい耐候性に優れた素材を採用しています。また、このエッジは単に耐候性に優れているというのだけではなく、温度や湿度、振動など、車載用としてのDIATONEの厳しい環境基準をすべてクリアしています。

仲田

モデルベース最適設計によって変更したのはエッジだけではなく、ボビンも素材を選定し直し、DS-G20とはまったく違う素材を使用しています。また、ダストキャップもDS-G500とDS-G20とはまったく違う素材を採用しています。これも音に大きく影響するパーツなので、試聴を繰り返してDS-G300の狙った音に合う素材を選定しています。

取付性の高さとDIATONEの目指す音を両立させた
アドバンスドHDフレーム

近藤

DS-G300の大きな特長としては取付のしやすさにも大きく配慮したということがあります。これまでのDIATONEスピーカーはクルマに強固に装着するため、6点取付となっていました。DS-G300は市販の金属バッフルに対応した4点取付を採用しましたが、通常の取付方法でもDS-G20の6点取付の時以上に強固に取付できるようにしています。

フレームのデザインが完成した状態でそのまま図面を起こすのではなく、DS-G20以上の強度を達成するためにデザインを損なわないようにしながら機構的に少し変更を加えて設計をしています。フレームの素材自体はDS-G20と同じでアルミに匹敵する高剛性で高密度な樹脂を使用していますが、構造は大きく変更されています。この裏付けとして、シミュレーションの強度解析をして、6点取付の時以上の強度となるように設計しています。

須田

DS-G20のインストール作業をされたことがある方ならば、すぐにフレームの剛性の違いに気が付くほど、別物になっています。

仲田

取付性の件でもうひとつあげておくと、入力端子は取付性を考慮し、平型端子とねじ締めの両方を使える端子を採用しています。装着が簡単な平型端子を使うこともできるし、より確実な装着を好む人向けにネジで締め込んで止めることもできる端子を採用しました。このクラスのスピーカーでは珍しいのですが、ライトな取付にも、強固に取付ける場合にも対応できるようにしています。

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