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CLUB DIATONE

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DIATONE®車載用スピーカー
DIATONE Car speakers

車載用DIATONEハイエンドスピーカーの起源

寺本

車載用ハイエンドオーディオとしてのDIATONEは、2006年に発売を開始したDS-SA3を起源としています。私と仲田はその開発から携わり、これまでの車載用DIATONE製品すべてに関わっています。DS-SA3を発売した翌年にはフラッグシップのDS-SA1を発表しましたが、DS-SA3とDS-SA1はどちらもホームオーディオのDIATONEの音を車内で再現するという発想で生まれました。基本的には長年DIATONEが築き上げてきたホーム用スピーカーのテクノロジーを、車載用スピーカーに転用する形で開発されています。特に振動板のSRチタン(DS-SA3)やB4Cピュアボロン(DS-SA1)、アラミドハニカム振動板もDIATONEのお家芸ともいうべき技術で、登場した際には既存の車載用スピーカーとは次元が違う音だというお褒めを数多くいただきました。

その後、三菱電機が新たに開発した理想の振動板素材であるNCVを採用した、DS-G50、SW-G50、DS-G20、DS-G500を開発しました。このNCVシリーズは音的にも取付性に関しても優れた製品で、高い評価をいただいています。その一方で、ハイエンドモデルのDS-SAシリーズは長い時間そのまま継続されていました。メインユニットのDA-PX1というハイエンドモデルの技術や音が、DIATONE SOUND.NAVIに受け継がれたこともあって、DIATONEブランドがハイエンドモデルよりも普及価格帯にシフトしている、と感じている方が少なからずいたのではないかと思ったこともあります。しかし、実際にはそんなことはまったくありません。

車載用DIATONEスピーカーフラッグシップゆえのこだわり

寺本

DIATONEという歴史あるブランドのサウンドポリシーを、事業として継続すると同時に裾野を広げていきたいという想いと、DIATONEが目指す音の極みを実現するために技術を高めていかなければいけないという両方の気持ちをずっと持ち続けていました。ただし、普及価格帯とハイエンド製品とでは、おのずと製品サイクルが違います。B4Cピュアボロンをトゥイーターの振動板素材に採用したDS-SA1は素晴らしい音のスピーカーです。その後継機となると、DS-SA1の音を圧倒的に凌駕するスピーカーでなければ、我々もお客様も納得できないでしょう。とはいうものの、自分たちが作った最初のハードルが高すぎて、これを乗り越えるのは並大抵のことではありませんでした。

ハイエンドスピーカーの開発には、まず理想の振動板が必要です。そしてボイスコイルで正確に動かし振動板に伝えさえすれば、最高の音が出るわけです。しかし、実際にはボイスコイルを動かす力の反作用やさまざまな振動があって、ノイズや音を濁らせる要因になっています。DS-SA1000は、音を濁らせる要因を根本から徹底的に排除するという方針で開発を進めました。こう言ってしまうと簡単そうに聞こえますが、実際には容易なことではありません。普通は、まず振動板自体からまともな音が出てこない。そこで、さまざまな響きを利用してトータルとして個性的な音にしているスピーカーが多いのです。そうすると、結果的に音に色づけがあったり、特定の楽器だと良いのだけれどボーカルがダメとか、あるいはその逆だったりとか、いろいろなジャンルの音楽を聴いていると、どこかで「??」ということが起こってしまいがちです。
DIATONEは正攻法でやりきっているのですが、これはDIATONEの起源がモニタースピーカーで、元の音や信号をそのまま出す原音楽再生を目指していることが根底にあるからだと思います。

仲田

設計時に、音の微調整といわれる作業があるのですが、ここでメーカーの音に対する姿勢が明確になります。DIATONEは、開発中にきつい嫌な音が出た場合、その音を消す方向の微調整はやりません。たとえば、きつさを隠すために音を鈍らせる方向に調整すると、耳当たりのいい音にはなるのですが評価も耳当たりのいい、聴きやすいスピーカーだね、で終わってしまいます。

DIATONEは入力された信号はすべて音として出します。スピーカーから出た音が、原音と違う音にはならないことが大事だと考えています。もし、違う音が出たのであれば、それを微調整で消すのではなく、その嫌な音がなぜ出ているのかを徹底的に追求し、対処療法ではなく根本から原因を排除します。これに時間をかけて徹底したことで、ごまかしが一切ない、音楽のすべてを再現するスピーカーが完成しました。

DIATONEが持つすべてを結集革新的なスピーカーが誕生

寺本

スピーカーを開発する際、トゥイーターとウーファーの双方に、自社開発のまったく新しい素材を使ってスピーカーを作るということは滅多にありません。有名スピーカーメーカーの多くは、振動板用に作られた素材ではなく、元々は違う目的で素材メーカーが開発した素材を使い、振動板に仕立ててスピーカーを作っています。通常は、実績のある既存素材や技術をブラッシュアップして音を良くしていく形を取るのですが、DIATONEはかつてない音を目指し、DS-SA1000はあえて新素材を組み合わせて作り込みました。
三菱電機の場合、総合電機メーカーの強みで、社内に基礎研究から応用に関してまでさまざまな研究をしている先端技術総合研究所があり、振動板に必要な特性を持つ素材をイチから作ることが可能です。新しい素材や技術というものはそんなに簡単にできるものではありませんが、DIATONEはこれまでもアラミド繊維を世界で初めて振動板に使ったり、いまだに業界唯一となるB4Cボロンを振動板に採用するなど、画期的な振動板を搭載したスピーカーを世に送り出してきました。

そして、2010年10月に発表したNCV振動板によって、DIATONEスピーカーは大きな転換期を迎えました。NCV振動板は、カーボンナノチューブと複数の特殊樹脂を最適な配合で成型したもので、従来の樹脂素材ではあり得なかった伝搬速度と内部損失を併せ持った、まさしく理想の振動板素材です。DS-G50で初めてNCV振動板がデビューしましたが、我々はその後もNCVの改良を続けてきました。DS-SA1000のウーファーもNCVではありますが、これまでのDS-Gシリーズで使っていたNCVを格段に進化させた、「NCV-R」という新しい素材を採用しています。DIATONEの強みは、先端技術総合研究所と共同でこうした新素材開発ができることと、さらにそれを進化させ続けられることにあります。トゥイーターの振動板も「B4Cプレミアムボロン」という、こちらも格段に進化した振動板を採用しました。

この超高性能なスピーカーユニットの組み合わせによって、2Wayでありながら可聴帯域内で分割振動が一箇所もない、フルピストンモーション駆動を実現しています。分割振動があると、ボイスコイルの動きに対して振動板が正しく動いてくれないため、正確な音を再生することができません。従来のスピーカーでは、フルピストンモーションというのは3Wayでないと実現できなかったのですが、DS-SA1000は2Wayで実現することができました。これは革命的なことだと思います。ただ、これは簡単にできたわけではありません。さまざまな技術やノウハウを投入して試聴を繰り返し、よりいい音を求めて開発を続けました。そのためDS-SA1000の開発は、通常のスピーカー開発よりもかなりの時間を費やすことになり、トータルで3年以上の開発期間がかかってしまったのです。

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