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CLUB DIATONE

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製品徹底レビュー
Product Review

Vol.1徹底解剖!!
DIATONE SOUND.NAVIの
歴代の音質進化。

ここまで音に対して
こだわったナビがあること、
そしてそのこだわりが
良い形で出ていることに驚かされた。

オーディオビジュアル評論家
麻倉怜士氏

2012年に初代モデル『NR-MZ60シリーズ』が登場して以来、DIATONE SOUND.NAVIは、毎年進化を繰り返してきた。
そして現在は『NR-MZ300PREMI』と『NR-MZ200PREMI-2』の2機種が現⾏モデルとしてラインアップされているわけだが、実際のところ、その進化度合いはどれほどのものなのだろうか。
そこのところを明らかにしようと、オーディオ・ビジュアル評論家、⿇倉怜⼠先⽣に、歴代DIATONE SOUND.NAVI全モデルの⽐較試聴を依頼した。世代が進むごとにどうレベルアップが果たされてきたのかをシビアに聴きわけてもらった。その詳細をじっくりとリポートしていく。

試聴環境
テスト会場 三菱電機株式会社 三田製作所 試聴室
使用スピーカー 車載用DIATONEスピーカーのフラッグシップ機『DS-SA1000』(税抜価格:67万円)
※DIATONE SOUND.NAVI各機の内蔵パワーアンプでドライブ
(NR-MZ100PREMIとNR-MZ300PREMIは、外部アンプでも実施)
テスト音源
  • 『エトレーヌ』(情家みえ)Track 1「CHEEK TO CHEEK - チーク・トゥ・チーク」
  • 『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番&交響曲第1番』(小澤征爾、マルタ・アルゲリッチ、水戸室内管弦楽団)Track 7「ピアノ協奏曲 第1番ハ長調 作品15第3楽章: Rondo.Allegro scherzando」
  • テスト音源はともに、『第4回ハイエンドカーオーディオコンテスト』(2018年7月14日、15日開催)で課題曲として使用されたもの。なお麻倉怜士先生は、同コンテストで毎年審査員を務めている。また『エトレーヌ』(情家みえ)は、麻倉先生プロデュースによって製作された音源である。

ここまで音に対してこだわったナビがあること、
そしてそのこだわりが結果を伴った形で出ていることに驚かされた。

試聴は発売年の古い製品から順に行い、すべてを聴き終わった後、各機の印象を語ってもらった。なお、試聴環境とテスト音源についての詳しい解説を別掲しているので、そちらもぜひご一読いただきたい。そうすることで以下の麻倉先生のジャッジの意味合いが、さらにリアルに掴めるはずだ。
ところで麻倉先生は20年以上にわたり、カーオーディオの音質の良し悪しを競う著名なカーオーディオサウンドコンテストで審査員を務めてきた。専門はホームオーディオながら、カーオーディオについても造詣が深い。

麻倉

実はこれほどじっくりとカーナビの音を聴けたのは、今日が初めてです。サウンドコンテストではハイエンドシステムを積んだクルマで競われるクラスを担当することが多く、そこにエントリーするクルマでは、カーオーディオ専用機がヘッドユニットに据えられ外部パワーアンプが用いられるシステムがほとんどです。なのでカーナビの内臓アンプの音を聴く機会は、実はそれほど多くはなかった。今回はとても良い経験ができました。
それに今日は、進化の変遷を詳細に感じ取ることもでき、それも非常に興味深かった。ここまで音に対してこだわったナビがあること、そしてそのこだわりが良い形で出ていることに驚かされました。
複合機というのは難しいもので、どっちもだめ、というケースも起こり得ます。ましてやカーナビ内部はデジタリーなノイズの塊ですよね。にも関わらずここまでオーディオ的な表現を完遂できるとは、感心させられました。

確かに、歴代DIATONE SOUND.NAVI全モデルを聴き比べるという大がかりな試聴企画は、これまでどのメディアでも行われたことがない。この本邦初の試みとなる全台試聴。ここからはいよいよ、各機についての評価をお伝えしていく。まずは『NR-MZ60PREMI』から。

麻倉

これはおそらく、当時のカーナビの中で圧倒的な性能を誇っていたんだと思います。ハイエンドカーオーディオユニットでもあると位置付けられたカーナビは、他には1つもありませんでしたからね。しかし、最新モデルの音と比べると、違いは大きいと言わざるを得ません。では、これ以降のモデルがこれに対してどれほどの進化を遂げているのか。解明すべきはそこですので、早速、その作業に入りたいと思います。

『NR-MZ90PREMI』でぐっと良くなった。録音現場の雰囲気も出始めてくる。

さて、進化の歴史の1ページ目にはどんな変化が起きたのか。
続いては『NR-MZ60PREMI』と比べての、第2世代モデル、『NR-MZ80PREMI』の音の印象を聞いた。

麻倉

随分良くなっています。情家さんのナンバーでは、冒頭のベースラインに弾み感が加わり、声にボリューム感が出てきました。そして、明瞭感も上がっています。ピアノのフレーズにもヴォーカルにも、明晰感が出てきました。ベートーヴェンの方も少し明瞭になって、細やかさ、そしてレンジ感も出てきました。
ただ、音場感はまだ不足気味ですね。そして明瞭ではあるけれど、強調感も少し感じられました。くっきりとしました、という印象なんです。デジタリーな感じと言いますか。ナチュラルな明るさが出てくると、もっと良くなるのでしょうけれど。

次いでは、『NR-MZ90PREMI』について。

麻倉

ここでぐっと良くなっています。まず、S/N感が上がり、音の“立ち”も良くなりました。これ以前のモデルでは、“立ち”の角度に若干の甘さがありましたがそれがきちんと屹立してきたんです。情家さんの音源は私が製作したものなので(プロデューサーを務めている)、現場の状況はよく分かっています。私が知っているとおりの雰囲気が出始めています。どんな雰囲気なのかと言うと、その1つが音の“立ち”であり、あとは過渡特性や明瞭度、音像の肉付き感など。それらが良くなっていますね。
そして、情家さんが4小節歌った後にピアノが2小節オブリガートを入れるのですが、そのやり取りに音楽的なスリルみたいなものが出てきました。解像度や明瞭度が上がらないとそういう雰囲気は出にくい。
ベートーヴェンでも、ピアノの音がくっきりとしてかつ、まろやかさも出てきました。また、ホールトーンも感じられるようになっています。演奏会場である水戸芸術劇場は小さなホールなので残響は長くないのですが、小さなホールならではの明晰なホールトーンが、少しずつ出始めていますね。

『NR-MZ100PREMI』、『NR-MZ200PREMI』と世代が進み、進化はさらに深化する。

DIATONE SOUND.NAVIはこの後、初のフルモデルチェンジが敢行される。
そうして出来上がったのが2015年発売の『NR-MZ100PREMI』だ。この音はどうだったのだろうか。

麻倉

非常に良くなっていますね。情家さんの音源で言うと、まずピアノが良くなっています。山本さんのピアノは運指が上手くてスウィンギーなのですが、それが上手く表現されていました。ベタつくことなく、良い意味の軽みがあってそこにフレーズが乗っていくみたいなニュアンスが出てきたな、と。あとヴォーカルのスピード感。情家さんの歌は良い装置で聴くと生々しさが出てきます。表情をスピードに乗せて上手く解き放つ、そういった表情感が出てきました。
そしてこの辺からグロッシーな感じ、つまりはツヤ感みたいなところもそこそこ出てきた。
ところでこの曲では、いろんな仕掛けがしてあるんですね。例えば、歌の冒頭に“ヘブン”という歌詞が出てきますが、1番ではそこに少々雑味成分を加えてある。しかし2番ではレガートでまったく雑味がない。その違いが出るか出ないかも、良い装置とそうでないものとで差が出ます。『NR-MZ100PREMI』では、1番で味わい系の苦みがしっかり出ていました。
ベートーヴェンでも感心させられました。ピアノの粒子感がとても細かく出始めてきました。躍動感もきらめきもあって。オーケストラの内声部(多声部における最上声と最下声にはさまれた声部のこと)もしっかりと聴き分けられるようになってきました。クリアで、立ち感も出ています。『NR-MZ100PREMI』、なかなか良いじゃん、という感じでしたね(笑)。

フルモデルチェンジの成果は如実に現れていたようだ。ではそこから『NR-MZ200PREMI』となっての上積みは…。
続いてはそれについて教えてもらった。

麻倉

またまた良くなっている(笑)。情家さんの音源では、ピアノの表情とニュアンスがさらに細やかに出てきました。そしてここにきて強く感じたのは、ベースの弾力感。これ見よがしにガンガン弾いているわけではないのだけれど、弾み感が良好に再現されています。
ヴォーカルのツヤもさらに感じられました。曲が持っている軽快さ、さらっとした色気みたいなところが出てきたなと感じました。
ベートーヴェンの方ではステージの奥行きも分かるようになりました。あと、ピアノの聴きどころの1つである1分15秒くらいから始まる低域のメロディが、1音1音はっきりと聴こえてきました。

より音楽的になった『NR-MZ200PREMI-2』、情報量の違いが顕著な『NR-MZ300PREMI』。

ここからはいよいよ、現行の2モデルについての評価をお伝えする。
まずは『NR-MZ200PREMI-2』についてから。

麻倉

ここまでの中で断トツに良かったですね。それ以前に向上してきていたポイントが、それぞれさらに磨かれていました。まずベースの弾力感がそうですし、ヴォーカルもしかり。それまでの機種では、前にしっかり出すぞ、というような頑張りました!の印象もあったのですが、『NR-MZ200PREMI-2』ではそこにしなやかさが加わっていました。情家さんの歌唱には、弱音で表情を語るみたいなところもあるのですが、それが感じられるようになっていました。あと、クレッシェンドで上に伸びていくときに余裕が感じられるようになっていた。これ以前の機種では感じられなかった部分です。
アルゲリッチのピアノも大変素晴らしかった。オーケストラの内声部もさらによく分かるようになっていましたし、こちらでも表現に余裕が出てきていました。名演奏家というのは、難しいフレーズでも7割くらいの力で楽々演奏しているように感じさせるものですが、『NR-MZ200PREMI-2』ではそのように表現できていましたね。より音楽的になっています。

『NR-MZ300PREMI』はどうだったのだろうか。

麻倉

情報量がものすごく多くなっていました。驚くべき変化です。直接音的な情報、余韻として出てくるところの情報、そして空気感にまつわる情報、これらすべてが非常にたくさん出ていました。優しさとキレの良さがハイクオリティに両立されていましたし。
アルゲリッチのピアノでもタッチの強弱の違いが凄く良く出ていて。そして、1人1人が名手であるオーケストラはこんなにも違うよというところも、上手く再現されていたと思います。
現行の2機種については最後にもう1度コメントさせてください。その前に、ここまでの大幅な進化が遂げられた理由が聞きたい(笑)。

ここで一旦、麻倉先生からの逆取材が始まった。ここまでの音質向上を果たした“種明かし”が求められたのだ。質問には、以下の3名が答えた。DIATONEシニアテクニカルアドバイザー 鹿山公二と、三菱電機株式会社三田製作所 カーマルチメディア製造第二部 設計第三課 仲田剛、同・村上英哲、彼らが1つ1つ丁寧に説明していった。

DIATONE シニアテクニカルアドバイザー
鹿山公二

三菱電機株式会社 三田製作所
カーマルチメディア製造第二部 設計第三課
仲田剛

三菱電機株式会社 三田製作所
カーマルチメディア製造第二部 設計第三課
村上英哲

常にノイズ対策を徹底。それがすなわち開発の歴史。

鹿山

『NR-MZ60シリーズ』では、“音を強くする”ことを目指して開発を進めました。敢えて言うと、“音を強くするためにはノイズも利用する”というアプローチで音作りをしています。対して『NR-MZ80シリーズ』以降では、ノイズを減らす対策を徹底しました。以後は、ノイズ対策がすなわち開発の歴史となっています。
まず『NR-MZ80シリーズ』の開発のときには、『NR-MZ100シリーズ』に至るベースとなる検討をかなりやっています。そこでリストアップされていた項目の中から、基板を書き換えずにできてなおかつ効果が大きいものを、バランスを取りながら選択して実行し、さらなる高音質化を図りました。

麻倉

音はかなり変わりましたが、基板やシャーシは変えていなかったんですね。次にはどうされましたか?

仲田

『NR-MZ90シリーズ』ではさらに洗練された音を目指そうと、パーツを厳選し、同時にジッター(時間揺らぎ)対策も徹底しました。マスタークロックのロジックICをハイスピードなものに変更したり。結果、細かな音の再現性が上がり、余韻とか響きが、それ以前と比べて圧倒的に表現できるようになりました。

麻倉

確かに私のメモにも、S/Nが良くなって粒子感が出て来たと書いてあります。ここからオーディオ的になってきたとも。そういうところが効いていたからこそですね。

『NR-MZ100シリーズ』では考えられるすべてをやり尽くしました…

麻倉

では『NR-MZ100シリーズ』ではどうだったのですか?

鹿山

『NR-MZ100シリーズ』では初のフルモデルチェンジということで、構造から基板まですべてを見直しました。ようやく、やりたかったことを全部盛り込める機会が到来したんです。そしてこのときから村上がチームに加わり、彼が持ち込んだ新たなアイデアもかなり反映させています。

村上

実は他部署にいたときから、DIATONE SOUND.NAVIに興味を持っていて、時間があれば回路図を眺めて、もっと良いパーツがあるのになとうずうずしていたんです。以前開発していた機種の経験から、DIATONE SOUND.NAVIにも効果的な性能の良いパーツをいろいろと知っていたんです。それを鹿山に提案し、主にD/Aコンバーター周辺の電源関係を刷新させました。これをしたことで、情報量をより多く引き出すことができています。

麻倉

表現の違いを明確に感じ取れるようになったのは、それらが効いていたんですね。そこから次にはどうされましたか?

鹿山

『NR-MZ100シリーズ』の開発ですべてをやり切りましたので、終わった直後は燃え尽きていたわけですが、気を取り直し、音を良くするための地道な検証をゼロからやり直しました。とは言っても、それぞれが一番良い状態になっていることが確認されるばかりでしたが…。
ところが1つ、ほとんど手を入れていない部分があったことに気が付きました。ラジオチューナー部のDSPは相当に前から使っていた回路だったのですが、しかしCDやUSBを聴くのに関係はなく、しかもチューナーが扱うのは100MHz以上の高周波ですから手を入れていなかったのですが。ただ、VICSを拾うために筐体の中では常に動いています。もしやと思って全面的な見直しをかけたら…。なんと想像以上に音が変わったんです。これをきっかけにして『NR-MZ200シリーズ』では主に、高周波ノイズ対策を徹底しました。

仲田

ただ、『NR-MZ90シリーズ』以前にそれをやっても、大きな効果を上げることはなかったと思います。『NR-MZ100シリーズ』でベースができていたからこそ、それが効いたんだと思います。

麻倉

『NR-MZ200シリーズ』となって、サウンドステージの見え方が変わったり、ピアノの表情感、ヴォーカルのツヤが出てきたりしたわけですが、要因はそこだったんですね。

『NR-MZ300PREMI』の開発過程で見つかったことが、
『NR-MZ200PREMI-2』にも転用できることがわかり…。

麻倉

さて、いよいよ現行モデルについての話となるのですが、まずは『NR-MZ200PREMI-2』において行われたことを教えてください。

鹿山

実を言うと『NR-MZ200PREMI-2』は、当初は地図更新だけの予定だったんです。『NR-MZ300PREMI』では画面サイズが大きくなる分、基板の書き換えも一部可能となりましたが、7型モデルでは手を入れられる要素はないと考えていたんです。しかし、『NR-MZ300PREMI』が完成する直前になって、こちらにも転用できるものが見つかったんです。
ただ、何かを変えようとすると相当な労力が必要となります。1つを変えることですべての検証をやり直さなければならなくなるからです。でも、製作所をあげて検証を行ってもらえて。こうして『NR-MZ200PREMI-2』は、さらなる音質向上を達成することができました。

麻倉

具体的には何が行われたのですか?

村上

我々はそれを『リアルメジャーメント・サーキットテクノロジー』と呼んでいるのですが、つまりは、“DIATONE独自の測定による回路定数の最適化”です。主要パーツの電気特性を詳細に測定し、パーツの能力を最大限に引き出すことができる最適な定数の割り出しを行ったんです。
ただしこれについても、それまでの進化があったからこそ、なんです。『NR-MZ100PREMI』と『NR-MZ200PREMI』でボトルネックが解消していたからこそ『リアルメジャーメント・サーキットテクノロジー』は効力を発揮できています。

麻倉

確かに『NR-MZ200PREMI-2』は凄く良かった。『NR-MZ300PREMI』よりも良い部分もあるんじゃないか、と思うほどでしたよ。さて、『NR-MZ300PREMI』では何を?

鹿山

外部アンプ出力の音質向上を図ったことが1つの目玉なのですが、これについては後ほど改めて音を聴いていただきたいと思っていますので、詳しくはそのときに。
それ以外では、基板変更を伴う改良、例えばラジオICの基準クロックを90度回転させたり、基板パターン伝送路を最適化したりしています。また、マスタークロックも第4世代へと進化させ、音像の立体感や低音の塊感の表現、音階の表現等がより正確にできるようにもなっています。

旧モデルと最新機種とをそれぞれ交互に比較。実力差はさらに顕著に…。

ところで今回は、『NR-MZ60PREMI』、『NR-MZ80PREMI』、『NR-MZ90PREMI』それぞれと、現行の2機種『NR-MZ200PREMI-2』『NR-MZ300PREMI』とを入れ替わりで聴き比べるテストも実行している。
麻倉先生による逆取材が一段落したところで、続いてはそれについての感想を聞かせてもらった。

麻倉

初代からの3機種それぞれと現行の2モデルとの差は、改めて聴き比べてさらに如実に感じ取れました。『NR-MZ60PREMI』との比較においては、もはや比べものにならないというレベルです。そしてかなりの音質向上が認められた『NR-MZ90PREMI』を持ってしても、看過できない違いがありました。
現行の2モデルでは、天井が相当に高くなっています。音の伸び、レンジ感、質感、すべてが圧倒的に良いんです。情家さんならではの、質感や情感が凄く良く出ています。
アルゲリッチのピアノにおいても、現行モデルではピアノの剛性感が如実に感じられますし、左手と右手の織りなすハーモニーも実に美しい。音像がくっきりとした輪郭を持ちながら、同時に音像の実在感も高い。
『NR-MZ200PREMI-2』および『NR-MZ300PREMI』を聴いてしまうと、絶対に過去モデルのサウンドには戻れませんね。ここまでの音質向上が果たされていることに、頭が下がる思いです。

さて、最後にもう1つのテストが実行された。
『NR-MZ100PREMI』と『NR-MZ300PREMI』とで、外部パワーアンプを繋いでの聴き比べも行った。

麻倉

『NR-MZ100PREMI』は、それまでのモデルと比べて相当な音質向上が図られていたわけですが、にも関わらずかなりの違いが現れていましたね。情家さんの歌声が非常に繊細で、冒頭のベースの弾み感とスピード感もとても良くなっていました。ヴォーカルの実体感もさらに上がり、輪郭がしっかりと現れ、その輪郭の中が充実している。ピアノのオブリガートの表情も非常に多彩です。
ベートーヴェンでは、水戸芸術劇場ならではのタイトな広がり感が正確に再現されていました。ピアノとバックが正しい距離を保ち、かつオーケストラが引っ込むこともありません。
で、ここまでの音質向上を実現できた理由は何なのですか?

音楽を聴くという貴重な時間をさらに充実させるためには、良い音で楽しむべき

麻倉先生より新たな疑問が投げかけられたので、それに対して技術陣が以下のように答えた。

鹿山

外部アンプ出力の音質性能については、実は以前からさらに向上させたいと思いながらも実現できていませんでした。そのためにはとあるパーツがどうしても必要で、しかしそれが存在していなかったんです。10年来探し求めていて、しかし探せど探せど見つからず…。

村上

ところがあるとき、パーツ会社の知り合いのエンジニアの方から連絡が入り、“プロオーディオ機器用のパーツで新しいものが完成しました。しかし高価だし特殊なものなので、興味ありませんよね”と、部品のデータシートが送られてきたんです。なんと、それがまさしく探し求めていた性能を有するパーツだったんです。

麻倉

思っていると出てくるものなんですね(笑)。しかし、そのパーツは重要だったんですね。パワーアンプ以下は同じ機器でヘッドの違いだけで、相当に大きな音質差が生まれていましたから。

最後に、結論をまとめてもらった。

麻倉

内蔵アンプで聴くにせよ、外部アンプを繋ぐにせよ、かつてのモデルをお使いの方々には、最新モデルを強くお勧めしたいですね。
音楽はいつでも聴けるわけではありません。限られた時間であるし、ましてやクルマの場合は特に、その場でしか聴けない音楽というのもあると思うんです。貴重な時間であるからこそ、より良い音でより充実したものにしていただきたいです。最新機種は、それを実現させる力を持っていますね。

いかがだっただろうか。DIATONE SOUND.NAVIの最新機種、『NR-MZ300PREMI』と『NR-MZ200PREMI-2』が、歴代のモデルと比べて大いなる進化と深化を遂げていることがお分かりいただけたと思う。
この音を自分のものとしないのは、人生の損失ともなりかねない。もしも今、DIATONE SOUND.NAVIの旧モデルをお使いならば、最新モデルのそのサウンドを、貴方の耳で、せひともご確認してほしい。聴けば、分かる。

⿇倉怜⼠⽒プロフィールオーディオビジュアル評論家。
UAレコード合同会社主宰。
津田塾大学&早稲田大学エクステンションセンター講師。
岡⼭県岡⼭市出⾝。1973年横浜市⽴⼤学卒業。
⽇本経済新聞社を経てプレジデント社に⼊社。
『プレジデント』副編集⻑、『ノートブックパソコン研究』編集⻑を務める。1991年よりオーディオ・ビジュアルおよびデジタル・メディア評論家として活動。
デジタルメディア評論の第⼀⼈者として名⾼い。

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