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CLUB DIATONE

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製品徹底レビュー
Product Review

DIATONE SOUND.NAVI
NR-MZ300PREMI

オーディオ評論家土方久明による
徹底試聴!!

試聴会の総論

ダイヤトーンの最新鋭センターユニット「NR-MZ300PREMI」を中心に、クラシック、ジャズ、ボーカル、アニソン等々まで多くのジャンルの楽曲を試聴した。
結論として「NR-MZ300PREMI」の再生音は、期待を大きく上回るものだった。筆者が感じた本機のアドバンテージは大きく4点ある。
まず1点目は、ライン出力、スピーカー出力、両者とも情報量が多いこと。2点目は聴感上のS/N比が高くノイズフロアが低い、つまり小レベルの音がスポイルされず、サウンドステージの表現に長けていること。3点目は内蔵アンプの音が良かったこと。4点目は、音色にクセが少なく音源が持つ音色や音調をアキュレイト(正確)に表現できていたことだ。
この特長は、筆者が出向くコンテストでエントラントの車を聴いていた時とある程度共通しており(もちろんインストーラーの個性が反映されるが)、今回の取材でも改めて実感した次第だ。

試聴環境

デヴィッド・ゲッタ
「2U(feat. Justin Bieber)[EP]」

今、現代のダンスミュージックシーンで最も勢いがあるジャンルであるEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)。
なかでも本楽曲は、大人気アレンジャー/DJのデヴィッド・ゲッタが曲をアレンジして、ポップス界人気No.1といっても過言ではないジャスティン・ビーバーが歌うのだから、人気が出ないはずがない。筆者のEDMリファレンスとして、ヘッドホン/スピーカー試聴で使用しているほか、イベントでも再生するお気に入りの一曲だ。
EDMというと低域(重低音)が強調されたおおよそハイファイ向きではない楽曲も多いが、意外にも本作品はウェルバランスの音色で、ダイナミックレンジも広い。しかし、その分再生システムには高い能力が要求される。
そしてEDMというと、やはり低域の迫力を求めたい。エレクトリックバスドラムの重低音の再生はアンプの能力に委ねられるが、「NR-MZ300PREMI」の内蔵アンプは、ほぼ完璧に低域を支配する。スピーカーがダブついたりせず、キレの良いドラムの表現には大いに驚かされた。内蔵アンプでここまでの低域を出せることに感心する。また、エレクトリックシンセサイザーはアコースティック楽器では出せない、高域から低域まで幅広い(オーディオ用語でいうとfレンジと表記する)音を出すことができるので、センターユニット、スピーカーとも、このレンジの広さに対応しなくてはいけない。
さらに、音の立ち上がりの鋭さにも対応し、切れ味よく音を表現する能力が求められる。しかしこのシステムは、筆者がEDM再生に求めるこれら3条件を見事にクリアーしており、EDMの持つスピードのある音を満足に聴かせてくれた。

イエロー・マジック・オーケストラ
「ライディーン」

イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)は、細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の3人による伝説のテクノポップグループ。
1978年にデビューアルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』を発売し、シンセサイザーとコンピュータを用いたアバンギャルドなサウンドにより徐々に知名度を上げ、数年後には社会現象になるほどの人気グループとなった。
YMOは世界中のアーティストに影響を与え、国内外を問わず彼らのフォロワーは多い。また、現在のダンスミュージックシーンやポップシーンでも彼らの楽曲をサンプリングした音源が多く使われており、その先進性が証明されたと言えるだろう。
今回試聴する楽曲は、1979年発売のアルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」に入っているYMOの代表曲「ライディーン」だ。楽曲を再生して、まずは高度な音作りに驚嘆した。高域から低域までのfレンジは現在のEDM音源などと比べると当然ナローだが、色彩感ある音色に当時のシンセサイザーサウンドの特長を感じ取ることができる。
特筆したいのは、ステレオ再生の意義を感じる複雑な音作りがよく表現されていること。センターユニットが持つ能力が、彼らの複雑な音楽性をディテール豊かに再現してくれるのだ。また、左右のサウンドステージが広く、スピーカーの中央から左右にかけて様々な音が百花繚乱に展開する様をしっかりと聴かせてくれる。
本当にこの楽曲が1970年代に生まれていたのかと改めて感心した次第だ。YMOがどれだけ時代を先取っていたのかを実感する。
メロディー、音作りともより洗練され、現在のダンスミュージックに通じるテイストが多く散りばめられていることに感心する。

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