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CLUB DIATONE

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製品徹底レビュー
Product Review

DIATONE SOUND.NAVI
NR-MZ300PREMI

オーディオ評論家土方久明による
徹底試聴!!

試聴会の総論

ダイヤトーンの最新鋭センターユニット「NR-MZ300PREMI」を中心に、クラシック、ジャズ、ボーカル、アニソン等々まで多くのジャンルの楽曲を試聴した。
結論として「NR-MZ300PREMI」の再生音は、期待を大きく上回るものだった。筆者が感じた本機のアドバンテージは大きく4点ある。
まず1点目は、ライン出力、スピーカー出力、両者とも情報量が多いこと。2点目は聴感上のS/N比が高くノイズフロアが低い、つまり小レベルの音がスポイルされず、サウンドステージの表現に長けていること。3点目は内蔵アンプの音が良かったこと。4点目は、音色にクセが少なく音源が持つ音色や音調をアキュレイト(正確)に表現できていたことだ。
この特長は、筆者が出向くコンテストでエントラントの車を聴いていた時とある程度共通しており(もちろんインストーラーの個性が反映されるが)、今回の取材でも改めて実感した次第だ。

試聴環境

アリアナ・グランデ
「ノー・ティアーズ・レフト・トゥ・クライ」

2018年の洋楽ポップ/ロックシーンは、新作から名盤まで数多くのアルバムがハイレゾで発売された。
米・ビルボードの年間ランキング「YEAR-END CHARTS」のアルバム部門「TOP BILLBOARD 200 ALBUMS」では、上位25タイトル中、ハイレゾで購入可能な音源が20タイトルを占めたというから驚きだ。
新譜はもちろん、往年の名アーティストの作品も、海外の著名エンジニアの手で数多くリマスタリング(音色や音調を再編集すること)されてハイレゾタイトルとして登場したのだ。
ご紹介する女性ポップアーティストのアリアナ・グランデは、同チャートで1位となった、テイラー・スイフトと並ぶ人気女性ポップアーティスト。アルバム「スウィートナー」から「ノー・ティアーズ・レフト・トゥ・クライ」を聴くと、音が出た瞬間に広がりのあるリバーブを伴った彼女のボーカルが眼前に現れる。広がりがあり、リバーブの粒子が気持ち良い。
本アルバムは、現代の洋楽ポップスで標準的な音色/音調を持つが、若干低域の量が多くエレクトリックバスドラムが強烈に入っているのが特長だ。
しかし「NR-MZ300PREMI」は内蔵アンプの駆動力が高く、スピーカーのウーファーをしっかりと駆動するので、低域が痩せずに強烈な重低音を再現してくれる。さらに楽曲全体に情報量があり、左右に広がるコーラスと中央にしっかりと定位する彼女のボーカルの描き分けも見事で、24bit音源の魅力がスポイルされず伝わってきた。
人気アーティストだけあり、制作費がかけられた本タイトルはエフェクトの表現も多彩だが、「NR-MZ300PREMI」と「DS-G300」はそんな艶やかな楽曲を見事に再生してくれた。

クイーン
「ボヘミアン・ラプソディ」

現在大ヒット中の映画「ボヘミアン・ラプソディ」で改めて注目されるロックバンド、クイーン(Queen)は、1973年にデビューしたイギリス・ロンドン出身の男性4人組グループである。
これまでに15枚のスタジオ・アルバムを発表したクイーンだが、試聴曲の「ボヘミアン・ラプソディ」は、1975年に発売されたアルバム「A Night at the Opera -オペラ座の夜-」からシングルカットされた楽曲だ。イギリスの全英シングルチャートでは9週連続1位を記録した大ヒット曲と知られている。録音は、24トラックレコーダーを使用して、イギリスのポピュラー・ミュージック史上、最高の制作費がかかった大作でもある。
曲の構成は複雑で、冒頭から順に、アカペラ、バラード、オペラ、ハードロック、バラードという別々の曲調が一曲の中に組み合わされており、音楽的にもオーディオ的にも聴きどころの多い楽曲だ。個人的にロックの再生は難しいと思っている。
ただ音が良いだけではなく、思わず体を動かしたくなるようなグルーブ感が欲しい。そしてある程度大きな音量で聴いても破綻しないよう、再生機器の能力も問われてくる。曲冒頭のアカペラパートは、メンバー4人のコーラスに透明感と明瞭度があり左右の広がりも秀逸。
さらにフレディ・マーキュリーのボーカルが明瞭に前へ飛び出してくる。0:49付近から始まるバラードパートは、ズーンと沈み込むベースの表現が秀逸。このパートで初めて入るキックドラムにも立ち上がりや立体感がある。これはアンプや電源部がしっかりと仕事をしているからだ。
3:00付近から始まるオペラパートでは多重録音されたボーカルが聴きどころで、ここはセンターユニットが持つ情報量がキモとなるが、コーラスが重なる部分の解像度が秀逸で、聴き手に猛烈に訴えかけてくる。
そして4:07から始まるハードロックパートが本楽曲で一番盛り上がる部分となるが、ドラムにはグルーブ感があり、ギターの明瞭なビートと合わせ、ロックの醍醐味をこれでもかと聴かせてくれる。そして最後は、静寂感に包まれるバラードパートに戻る。
ここで改めて、このシステムが持つS/N比の高さを実感する。本システムは、変幻自在な「ボヘミアン・ラプソディ」を完璧に再生してくれた。

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