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CLUB DIATONE
いい音にこだわる、すべての大人たちへ。 CLUB DIATONE

プロフェッショナル・コンテンツ DIATONEの70年に及ぶ音響技術をここに結集。カーナビが手に入れた、異次元の高音質。

カーナビインプレッション DS-G500 スピーカーの存在意義と奥深さを知らしめた 音楽プロデューサー 岩田由記夫氏

別次元の良音へ

スピーカーは振動板と磁気回路が重要だ。
振動板を動かすボイスコイルで発生する駆動力を高めるために、強力な磁気を使い、振動板の周波数特性を高めるのに紙(コーン紙)を使うというのが、ひと昔前の多くのスピーカー形態だった。 振動板素材はその後に改良され、チタン、SRチタン、B4Cピュアボロン、ベリリウム、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなど様々な製品が登場した。 ダイヤトーンスピーカーの特長は、それらと異なる新開発のNCV素材を用いたことだ。

ウーファーのみならず、高域部を受け持つトゥイーターも音のバランスという点で、ウーファーに負けず劣らず大切だ。
DS-G500のトゥイーターは、ウーファーと同じくNCVを使用。 さらに前機種のDS-G50を画期的に改良し、ドーム&コーン型振動板から、より低歪かつ情報量の多いYコンタクト構造ドーム&コーン型振動板を採用した。 まだまだ細部の改良はあるが、この2大進歩はDS-G500を現存するカーオーディオ・スピーカーの中で最良の機種に導いた。 細かな改良点で特に音質向上に貢献しているのは、ウーファーの振動板の背面に5本の細いリブによって補強したソリッドライン構造を採用したことだ。 なかなかスピーカーを分解して見る方は少ないと思うが、DS-G50のウーファーではフラットだった背面に、今回、DS-G500では5本のリブを設けた。

とは言っても、スピーカーは鳴らしてみて初めてその実力が分かる。技術者がいくら構造の改良やスペックの構造を力説したところで実際に聴いてみないとその音の良し悪しは分からない。

DS-G50とDS-G500を比較試聴してまず感じるのは、DS-G50から、別次元の良音に変化したということだ。ウーファーの口径はDS-G50もDS-G500も変わらないのだが、DS-G500はひとまわり、口径を広げたのではないかという迫力がある。もともとDS-G50は多くのカーオーディオ・スピーカーの中では歪みの少ないのが特長だったが、さらに歪みが減り、自然な音となっている。

DS-G500が引き出すリアルなサウンドとは

イーグルスの『ヘル・フリーゼズ・オーヴァー』のイントロでパーカッションが鳴り、アコースティック・ギターが音を出し始めると、そのバランスの良さ、自然さが驚異的であるのが分かる。 ボリュームを徐々に上げて行っても歪みはまったく発生しない。 ライブ会場で後方の中央の席から前方のベスト・ポジションに移動して、より良い音を聴く。 そんな感じなのだ。
ウーファーとトゥイーター、つまりスピーカー・システムが音をだしているということを思わず忘れさせる、そういうスピーカーはカーオーディオ・ファンのひとつの夢だった。 スピーカーから音が出ているのではなく、眼前でドン・フェルダー、ジョー・ウォルシュ、グレン・フライ、ティモシー・シュミット、ドン・ヘンリーなど演奏するミュージシャンが居る感覚。 このアルバムのDVDや実際にライブを観た方はそう感じられるだろう。
特にティモシー・シュミットのエレクトリック・ベースの指引きの自然さは、ソリッドライン構造による音質向上の効果だと思える。 ドン・ヘンリーのヴォーカルからは14年間、ライブから遠ざかっていた緊張感と、再びこの名曲を歌うことによって生まれた興奮が、感情豊かなヴォーカルを生んでいることまで分かる。 歌詞の一語一語への思いがニュアンスとして伝わってくる。 音楽の風景とミュージシャンの心の襞まで踏み入って表現し、伝えるカーオーディオ・スピーカーは滅多にない。

ジョニー・ウィンターの恐らくアナログ録音であろう『ステップ・バック~ルーツ2』ではスネアドラムの張られた皮の振動の自然さにまず耳が捕われる。 シンバルの叩いた後の余韻のようなものも耳に残る。 スコット・スプレイのベースの指使いも分かる。
ギタリストの指の滑りを鳴らし分けるスピーカーはあるが、ベーシストの指の動きまでリアルに見えるスピーカーはそう多くはない。 音楽の中で、特にロックでは、ドラムス~ベースというサウンドの底辺を支える音の確かさが重要で、音楽そのものの安定感に通じるが、DS-G500は苦もなく、その安定感を知らしめてくれた。 そういった安定感があるから、ギターやヴォーカルが合わさって生むグルーヴを受け止められる。 それは音楽を聴く喜びや楽しさを生む。 DS-G500は誰でも分け隔てなく音楽の真の魅力を伝えてくれるスピーカー・システムだ。

鈴木雅之の『DISCOVER JAPANⅡ』の試聴では、彼の歌の巧さだけではなく心情が伝わってくる。 歌い進みながら、次のフレーズをどう歌うかというミクロなシンガーの心の動きがスリリングに体験できるのだ。 音の高みを極めているだけでなく、音楽を聴く快感という心の高みをDS-G500は極めていると言っていいだろう。
このアルバムでもうひとつ印象に残るのは、名匠服部隆之のアレンジによるオーケストラ音の鳴り方だった。 今回はロック/ポップ系の試聴盤を選んだが、DS-G500ではこのオーケストラの鳴り方を聴くとクラシック・ファンにも歓迎されるのは間違いないだろう。

山口百恵の『コンプリート・シングル・コレクション』で感じたのは、彼女が偉大なシンガーであり、アイドルという枠を越えた存在だったという当たり前な感慨以上に、1970年代、昭和という代の風や空気感だ。 懐かしさももちろん生まれるが、懐かしさだけでなく2014年の今が、70年代、昭和にタイムスリップする劇的な感覚だ。
思い出の名曲を聴き返すのではく、自分が昭和という時代に戻って生きている感じをDS-G500は演出してくれる。 ここでもDS-G500が単に音が良いだけのスピーカー(それだけでも凄いことだが)でなく、聴く者の心象風景を変えてくれるスピーカー・システムだというのが分かった。

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