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CLUB DIATONE
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DIATONEオススメ CD&Playlist

おすすめの名盤 SOUND EXCELLENCE

ホーム・オーディオ・ファンにとっての良音は、分離が良く、アコースティックで生々しく、バランスが取れているなどが条件となる。この傾向は、1950年代に固定し、オーディオが先進国で普及・定着した1970年代から、あまり変わっていない。だが、グランジ・ロック、ヒップホップなどの登場は、良音の幅を広げたのに、昔ながらのオーディオ・ファンはそういうサウンドを認めていないのは、オーディオ誌などの試聴作品のラインアップを見ると分かる。

ザ・プロディガル・サン/ライ・クーダー

ライ・クーダー

ザ・プロディガル・サン

『ザ・プロディガル・サン/ライ・クーダー』

 ライ・クーダーは、1970年代的な良音を常に作り続ける一方で、『バップ・ティル・ユー・ドロップ』では、ロック・シーン初のデジタル録音に、1970年代末期の時点で取り組んだ先進性を持ったミュージシャンだ。彼の録音は、多くのオーディオ・ファンを満足させる一方で、常にその音楽性と同様に新しさも提示して来る。
 約6年ぶりの本作でも音楽性、サウンド共に音楽ファンを満足させるものに仕上げている。全11曲中、3曲がオリジナル、8曲がカバー。1920年代から1950年代の古いカバーは、有名曲と言うより、ライ・クーダーらしい探求心で、この時代だからこそ聴いて欲しい名曲ばかりだ。21世紀のこの時代が失ってしまった精神性や未来への希望などを市井の名も無き一般の人々の視点で演奏している。メッセージ性が強い本作は悩みや迷いがある時に、深夜のドライブで自分と向き合うそんなシチュエーションにハマる。オリジナル曲の「ジーザス・アンド・ウディ」でイエス・キリストとウディ・ガスリーが架空の会話をするように、ドライブで自分の心と向き合い、会話をすれば、迷いや悩みの答えが見つかるかもしれない。
 録音はライ・クーダーと息子のドラマー、ホアキム・クーダーふたりで完結させ、ゲストは少ない。ライは、ボーカルの他、各種のギター、バンジョー、マンドリン、ベース、キーボードなどをこなしている。当然、多重録音なのだが、1曲、1曲、まるでバンドでの一発録音のように聴かせてくれる。録音、ミックスダウン、マスタリングとすべてのエンジニアリングに手を貸したライの信用するマーティン・プラドラーの貢献は大きい。アコースティック・サウンドのリファレンスにできる良音だ。

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