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おすすめの名盤 TREASURE DISC

シティ・ミュージックを聴きながらシティを走る。1970年代終りから1980年代、まだカーオーディオのメイン・メディアがカセット・テープだった時代に大流行したスタイル。

PINK/土岐麻子

土岐麻子

PINK

『PINK/土岐麻子』

時は流れて21世紀、2017年。再びシティ・ミュージックやシティ・ポップと呼ばれる音楽がJ-POPシーンに浮上して来ている。但し、サウンドはかつてと異なるEDMなどがメインだ。

2017年の現在の東京を映すシティ・ポップ、それがこのアルバムのコンセプトだろう。浮上中のシティ・ポップの中には、過去のスタイルを踏襲したものが多いが、土岐麻子の本作がそれらとあくまでも一線を画しているのは、現在にこだわり、今の東京に沿った作風を持っていることだ。トオミヨウがサウンド・プロデュースを担当、作曲の多くを手掛けている(「脂肪」と「Fried Noodles」のみDJのG・RINAが担当)。全10曲、エレクトロ・ポップをベースにしていて、そこに現代のシティ・ポップを感じさせる。本人も“帰りの地下鉄や夜の車に異常に似合うアルバム”と語っている。

都会には人を甘美に酔わせると同時に、都会の孤独という言葉があるように、群衆に囲まれながらも、どこか淋しさを感じさせる面も持っている。そこに繊細で軽ささえあるサウンドとさり気ないけど深みのある詞、やや突き放した唱法で『PINK』は、現在の都会を切り取っている。だからと言ってアルバムを聴いて暗く落ち込むわけでない。ビルの谷間から覗いた青空や華やかなイルミネーションに感銘する心の軽さも同居している。かつてのシティ・ミュージックが次々と何か古いものが壊され、新しいものに生まれ変わって行くのを切り取っていたのに対し本作は現在の都会の在り方を表現していると思える。

ひとりで都会の夜を走りながら聴いてもらいたい。「Blue Moon」や「Peppermint Town」等をドライブ・ミュージックにすれば、現在進行形のシティ・ポップが見失いがちな等身大の自分を再認識させてくれるはずだ。

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