ごく普通の映画好き編集部員による試写会レポート

第7回第6回
『悼む人』

試写会に行ってきたのは…

編集部員 F(女性)

先日のアカデミー賞の発表を受けて、改めて観に行きたい映画がたくさん。出席していたセレブの春らしい衣装をみて、春服のお買い物にも行きたい衝動に駆られてしまっている。

編集部員 H(男性)

月2~3本観る程度のごく普通の映画好き。最近の悩みは、自宅で映画を観る時のポジショニングがいまいちしっくりこないこと。よって、模様替えを検討中。

H今回の試写会レポートは、2月14日(土)より全国ロードショー中の『悼む人』(出演:高良健吾、石田ゆり子)です。

F原作は、70万部を突破した直木賞受賞作ですね。

あらすじ

坂築静人(高良健吾)は、不慮の死を遂げた人々を<悼む>ため、日本全国を旅していた。<悼む>とは、亡くなった人が生前「誰に愛され、愛したか、どんなことをして人に感謝されていたか」を覚えておくという、彼なりの儀式。傍目には奇異に映る彼の旅には、やがて、自分が殺した夫の亡霊に苦しむ奈義倖世(石田ゆり子)も加わる。そもそも、なぜ彼は<悼む>ようになったのか?そして、2人の旅の行方は?圧倒的な映像美と、豪華キャストの迫真の演技で、「生」と「死」と「愛」のドラマが描かれる。

(C) 2015「悼む人」製作委員会/天童荒太

Hさて、早速感想を述べたいのですが・・・、とにかく圧倒されてしまいました。

F私も、とてもエネルギーを消費した感じが・・・。感情を激しく揺さぶられる映画でした。

H僕、堤幸彦監督が大好きなんですよ。『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』とか『TRICK』とか。ただ、そのあたりのエンタテインメント作品のイメージで臨むと・・・。

Fいい意味で裏切られますよね。過去の作品とはギャップが大きいかもしれません。「デビュー作のつもりで挑んだ」という監督の強い思い入れが伝わってきました。

Hとにかくキャストの演技に圧倒されてしまいました。特に、倖世役の石田ゆり子さんと、主人公・静人の母親役の大竹しのぶさん。大げさに聞こえるかもしれませんが、映画を観て、ここまで「演技」そのものに引き込まれて圧倒された経験はちょっとなかったですね。

Fテーマ自体も大きく影響しているかもしれませんね。「生」と「死」と「愛」という普遍的なテーマだけに、観る側も自分の経験や記憶などと、どうしてもリンクしてしまいますから。

Hこの映画を観始めて、まず初めに皆さん思うのが、<悼む>って何だろう?ということだと思うんですよね。

Fそうですね。私もそうでした。オープニングで静人(高良健吾)の<悼む>セリフが何度も流れるんですが、お祈りのようにもお経のようにも聞こえる言葉なんですよね。

H全国を<悼み>ながら旅する静人は、さながら“聖人”のようなんですが、ストーリーが進んでくると、この<悼む>行為は、他ならぬ自分自身のための行為であることが分かってきます。

F最初はその奇妙な行為とキャラクターになかなか共感できなかったんですが、静人の過去が語られるにつれ、妙に引き込まれていきました。誰にも共通する人間の弱い部分が、丁寧に表現されているからだと思います。

H「生」と「死」と「愛」。どれも普遍的でありながら、“これ”という正解がなく、しかも決して避けることのできないこの命題に対して、この映画はたくさんの「折り合い」の形を提示してくれていると思います。

F堤監督も、「世の不条理の痛みを少しでも緩和できれば」と語っているように、最終的には救いのある物語ですよね。是非劇場でご覧になっていただきたい作品です。

H皆様ハンカチをお忘れなく!

次回もお楽しみに!

ごく普通の映画好き編集部員による
試写会レポート一覧へ

シネマチケット・プレゼントトップページへ