ごく普通の映画好き編集部員による試写会レポート

第43回
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』

試写会に行ってきたのは…

編集部員Y(男性)

最近、往年の名作と呼ばれる作品を洋画、邦画問わず改めて観ています。名作と言われるだけあり何年、何十年経っても色あせず、結末がわかっていても感動します。

編集部員O(女性)

平日に諸々の用事をすませて、週末の朝1番に映画を観に行くのが最近のお気に入り。朝早く9時台から上映されている作品もあるので、観終わってもまだお昼前ということも。

O今回の試写会レポートは、11月18日(土)より公開予定の『KUBO クボ 二本の弦の秘密』です。

Y中世の日本を舞台にした3Dストップモーション・アニメーション映画だそうですね。

Oアカデミー長編アニメ映画賞とアカデミー視覚効果賞にもノミネートされた作品ということで、映像表現に期待が高まります。では、早速あらすじをご紹介しましょう。

あらすじ

三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという不思議な力を持つ少年・クボ(声:アート・パーキンソン)。幼い頃から“不吉な子供”として一族から命を狙われ、父と母はそんな彼を助けようとして命を落としてしまった。追っ手から逃れながら、父母のあだを討つ準備を進めるクボは、言葉を話すサル(声:シャーリーズ・セロン)や、クワガタ(声:マシュー・マコノヒー)に出会い、彼らと共に自身の秘密を探る旅に出る。やがて、自分がしつこく狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知る―。

(C) 2016 TWO STRINGS, LLC. All Rights Reserved.

OYさん、いかがでしたか?

Y過去に観たストップモーション・アニメーションに比べると、かなり技術が進んでいると思いました。動きがとても滑らかでした。

Oこの映画で登場するキャラクターたちは3Dプリンターで作られたパーツでできた人形なんですよね。その人形を1コマごとに動かしてカメラで撮影し、あたかも連続して動いているかのように見せている…というのはわかっていても、まるで人形に命が宿っているかのように見えました。人形って、実在とファンタジーの間(あわい)を表現する媒介として適しているのかもしれません。

Yキャラクター以外の細かな小物も実物、という徹底ぶりには驚きました。フルCGのアニメと違って、実際に存在する人形や背景に光をあて、空気を通して撮影するわけだから実在感がある。背景の海や波、山なども精巧に作り込まれていてキャラクターのさらなるリアルさを演出するのと同時に、物語への没入感を高める効果があったんじゃないかな。

Oはい、たしかに物語の世界にぐいぐいと引き込まれましたね。そういえば、今回の「物語」の舞台は中世の日本でしたね。

Yファンタジーだから必ずしも史実に忠実にそわなくてもいい。とはいえ、どんなふうに日本を描くのだろうと気になっていたけれど、「折り紙」や「盆踊り」「精霊流し」などの描き方には日本文化への入念なリサーチと思い入れを感じて安心しました。

O監督は黒澤明や宮崎駿を敬愛する大の日本マニアなのだとか。冒頭の荒れ狂う海を小舟が渡ってくるシーンも、北斎の絵を参考にしたのだそうです。巨大な波の一瞬の表情を描いた北斎の絵に対して、最新の技術で動きを与えてみようというスタジオライカのアイディアにワクワクしました。

Y基本的には、母と別れ、故郷をあとにした主人公が試練を通じて成長していく冒険物語で、主人公クボといっしょにハラハラ、ドキドキするような旅を観客も一緒になって楽しめる。それに加えて、完全な勧善懲悪でない結末がなんとも印象的。最強の敵を倒して終わり、じゃないんだよね。

Oそうですね。敵を凌駕する強力な武具よりも永遠の命よりも強くて大事なものがあるという力強いメッセージを感じました。

Y伏線の張り方も上手いですね。例えば、副題の「二本の弦の秘密」ですが、クボが持っているのは三味線なので、なぜ、二本の弦なのか、映画を観ると「そういうことか」とスッキリします。

O物語を構成する各キャラクターについてはいかがでしたか?

Y主人公のクボを始め、サルやクワガタ、敵キャラ、それぞれインパクトがあり、魅力的でした。クワガタのフィギュアがあったら欲しいです。

O今回は日本語吹き替え版で観ましたが、各キャラクターと声優さんのイメージもぴったりでしたね。クボ役はクレヨンしんちゃんのしんのすけ役でおなじみの矢島晶子さんが声を演じています。ちょっぴりお調子者だけど弓矢の達人クワガタはピエール瀧さん、クールでしっかりもののサルは攻殻機動隊シリーズの草薙素子役などで人気の田中敦子さんが演じていて、この2人のテンポの良いかけあいも見どころです。

Y今をときめく川栄李奈さんは、意外な役でビックリしました。川栄さんは、声優としてもいけるくらい上手かったです。

Oオリジナルのボイスキャストもオスカー常連俳優が揃った豪華声優陣ということで、字幕版も気になりますね。

Yエンドロールでは撮影シーンが少し流れますが、小さいものをチョコチョコ動かしているのと思いきや、かなり大掛かりで人の倍以上ありそうな仕掛けを動かす様子も垣間見えて、どうやって作っているのかさらに興味がわきました。

O制作の裏側を追ったメイキングもぜひ作って欲しいです!

Y全編を通じ、大人から子どもまで家族で楽しめる映画でしたね。家族愛の要素が強いので現代の子どもにこそ観てもらいたいです。

次回もお楽しみに!

ごく普通の映画好き編集部員による
試写会レポート一覧へ

シネマチケット・プレゼントトップページへ