ごく普通の映画好き編集部員による試写会レポート

第47回
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

試写会に行ってきたのは…

編集部員T(男性)

非日常の世界を味わえるのが好きで、よく映画館に足を運んでいます。最近の映画館は、映像や音響のクオリティが高く、まるでその場にいるかのような臨場感が得られるようになり、これまで以上に映画を観る事が楽しくなりました。自宅にもサラウンドスピーカーを設置しているので、映画館に行けないときは、自宅で映画を楽しんでいます。

編集部員M(女性)

高校時代は映画同好会で、学校の大きなスクリーンでの映画鑑賞が楽しみでした。最近はインターネットテレビで手軽に映画を観ることができるため映画館に行くとこが減りましたが、やはり大画面で観たときの感動は別格な気がします。

M今回の試写会レポートは、3月30日(金)より公開予定の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』です。

T映画界の巨匠、スティーヴン・スピルバーグがメガホンを持ち、メリル・ストリープとトム・ハンクスという2大オスカー俳優が初共演を果たした話題作ですね。

Mそうなんです。メリル・ストリープとトム・ハンクスが初共演というのは意外ですよね。さらに製作陣は数々の受賞経験を誇るスピルバーグ作品の常連が集結しているとのことで、期待しかありません!早速あらすじをご紹介しましょう。

あらすじ

1971年のアメリカでは、泥沼化するベトナム戦争に対し、国民の間で疑問や反戦の声が上がっていた。そんな中、ニューヨーク・タイムズは、アメリカ国防総省がベトナム戦争に関する経過や分析を記録したトップシークレットの文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をスクープするも、政府の圧力により後続の記事を差し止められてしまう。ライバル紙のワシントン・ポストでアメリカ初の女性新聞発行人として足固めをしようとしていたキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、部下で編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)らとともに、政府の圧力に屈することなく真実を世に出そうと奔走する―。

(C)  2017 Media Asia Film Production Limited All Rights Reserved.

Mこの作品はアメリカ政府、戦争、報道の自由、人間関係など、わりと重めのテーマが中心の映画でしたね。今回が初めての試写会レポート参加となるTさんですが、いかがでしたか。

Tアメリカ史実を基にした内容だったけど、正直このようなマスコミ対政府による「報道の自由」の論争が起こっていたとは知らなかったよ。テーマは大きいけど、シンプルなストーリー構成なので比較的どなたでも楽しめる作品だったよね。

Mそうですね。ニューヨーク・ポスト、ワシントン・ポスト、その他の新聞社の勇気ある報道と、それに付随する様々なストーリーが、魅力的な人物によって描かれていました。中でも、人間の心の機微みたいなものがとても丁寧に描かれていたのではないでしょうか。

Tそれぞれの登場人物が、各々の立場で議論するシーンが多かったけれど、各人の立場を意識しながら観ると、より深くこの映画を楽しめそうだよね。
そのためには、パンフレットなどで予備知識を入れておくのもおススメです(笑)

Mその通りですね。私も映画を観終わってから、再度作品資料で登場人物をこっそり確認しました(笑)

Tトム・ハンクス扮するワシントン・ポストの編集主幹ベン・ブラッドリーの、確固たる信念を持ちながら仕事に打ち込む姿や、記者たちの「報道の自由」「真実を国民に伝える」ことのためには罰を受けることさえ厭わないという意気込みは、ジャーナリストとしての本質だと思いましたし、同じように働く多くの人の共感を呼ぶことでしょう。

M本当に信念を持って仕事に打ち込んでいる姿には心打たれるものがありましたね。私は個人的に、グラハム(メリル・ストリープ)が普通の主婦から夫(フィル)の死を乗り越え、ワシントン・ポストのトップになりその重責に葛藤する日々や、その後の彼女のすがすがしいほどの潔い決断にも注目してほしいです。女性らしさとは、か弱さとは対極にある、彼女のような真の強さの事を言うのかと思うほど、惚れ惚れしてしまいました。

T実刑になる可能性がある中、彼女が会社や家族を守ることと、「報道の自由」を貫くことの狭間で葛藤する演技は印象的だったよね。キャサリン・グラハムの実の息子であるドン・グラハムや当時の彼女を知る人物たちは、メリル・ストリープの演技をみて「キャサリンがこの世によみがえったかのようだった」と絶賛したらしいよ。

Mそれはすごいですね。衣装も実際にキャサリンが着用した物をベースに、どう彼女を表現するか努力したそうです。キャサリンはとても身長が高い女性だったらしいのですが、メリル・ストリープは小柄なため、さまざまな工夫がされていたようです。

Tさすが、スピルバーグ監督の作品には、制作陣も優れたスタッフが集結するんだね。この作品自体は、1971年当時のニクソン大統領時代を描いているけれど、現代のアメリカ政府と重ね合わせて表現(風刺)していて、そこからもスピルバーグ監督が伝えたいメッセージを読み取れる気がしたよね。

M そうですね。政府が隠蔽している事実や、闇の歴史の証拠など、ペンタゴン・ペーパーズ以外にも最高機密文書は存在していそうですし…。

T どの時代でも、政府の遠回しな圧力と、新聞社の忖度のような暗黙の了解は起こっていることだと思うよ。会社の存亡の為に「最高機密文書」を掲載しないことを主張する経営陣 VS ジャーナリストの使命を主張する編集者たちのようなやり取りは、普通の会社でもありがちな光景だしね。「会社を守るため奮闘する」経営陣 VS 「上は現場を分かっていないと感じている」社員のように(笑)

M 立場は違えど、社会人は何かしら決断する勇気が必要という事でしょうか。
皆様も是非、人の絆と勇気の物語を劇場でご覧になってください。

次回もお楽しみに!

2018.02.21

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