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知ればもっと楽しくなる人気スポーツの誕生秘話

秋といえば読書、それともスポーツ?
そのふたつをミックスして、今回のテーマは「読むスポーツ」。
よく知るスポーツの知られざる起源にまつわるエピソードをご紹介します。

野球のルールを変えたシェフのクレーム

9回裏ツーアウト満塁。ピンチにもチャンスにもなるこの状況、どうやら野球が誕生した当初にはなかったようです。現在の野球の始まりは1846年、米国NYのニッカーボッカー・ベース・ボール・クラブを率いるアレキサンダー・カートライトがつくったといわれます。1チーム9人、3アウトで攻守交代というのは現在同様ですが、勝敗は先に21点を取ることで成立。サヨナラゲームは、存在しなかったんですね。

ところがそれで困ったのが、同クラブ専属のシェフたち。試合がいつ終わるのかがわからないと、料理の準備ができないからです。そんなクレームを受けて生まれたのが、現在の9イニング制というわけ。ちなみに原則延長無制限のメジャーリーグでは26回、マイナーリーグでは32回の延長戦が最長を記録。世界最長試合は日本の軟式野球で発生。2014年全国高校軟式野球準決勝戦はなんと延長50回。延べ4日間、10時間18分にもわたる死闘が繰り広げられました。

愛か名誉か卵か。テニスの「ラブ」はどこから?

さて、試合時間の長さではテニスも負けていません。男子テニス史上最長試合は、2010年のウィンブルドンでジョン・イズナーがニコラ・マユを下した一戦。11時間5分を記録したゲームは3日間にわたったのだとか。

そのテニスで気になるのが、ポイントの数え方。テニスは4ポイント先取で1ゲーム獲得となりますが、その際0、1,2,3ポイントではなく「ラブ」「15」「30」「40」とカウントしますよね。この理由には、「時計の文字盤を4つに分けた」「14世紀のフランスの貨幣制度に倣った」「修道院の生活時間が15分単位だったから」など諸説あります。3ポイント目が40なのは、45(フォーティーファイブ)を略したという説が有力だそう。

では、0はなぜ「ラブ」と呼ぶのでしょう? これまた諸説あって、1つはフランス語の卵(l'oeuf)に由来するというもの。0の形を卵に見立てたわけです。一方で、オランダ語の名誉(lof)が元という説や、点が取れない相手への愛情(love)という説も。さまざまな謂われがあるのも、テニスが歴史のあるスポーツだからなのでしょうね。

紀元前には確立されていた中国式サッカー

古くからあるスポーツといえば、サッカーもそのひとつ。その発端は意外にも中国で、紀元前の漢時代には12人のチームが対抗して鞠を争奪し、「球門」に入れた数を競う「蹴鞠(しゅうきく)」が遊戯として確立していました。このことからサッカーの起源は中国だとFIFAも認める一方、いまだ根強いのがイングランド説とイタリア説です。

イングランドのサッカーの起源は8世紀頃、戦争で勝利すると敵国の将軍の首を蹴って勝利を祝ったことに端を発するという、ちょっと穏やかでないお話。それが後に、数百人でボールを蹴って隣町の門まで競い合う遊びとして一般大衆に広まったといわれます。またイタリアでは、8世紀以前に宮廷の門の前で数十人がボールを蹴り合って賞金をかけたのが始まり。どちらも時間や人数に制限はなく、また手を使うのも殴り合うのもOKとあって、まるで格闘競技のような様相だったとか。

サッカーが今の形になったのは1863年、ロンドンにサッカー協会(The Football Association)が創立され、ルールが統一されてからのこと。それまでは、かなり自由で荒っぽいスポーツだったようです。

ラグビー誕生の立役者は豚の膀胱?

「ラグビーは紳士がやる野蛮なスポーツ、サッカーは野蛮人がやる紳士的なスポーツ」といわれます。その真偽はともあれ、ラグビーがサッカーから正式に決別したのは1871年のこと。発端は1823年、英国のパブリックスクールのラグビー校でサッカーの試合中にウェッブ・エリス少年が突然ボールを持ってゴールに駆け出したことから始まったという説が広く伝えられています。

サッカーとラグビーの違いはルールだけでなく、ボールにもあります。あの楕円形のボールを普及させたのは、ラグビー校向かいの靴屋ギルバートさん。1820年当時のボールは、毛糸や布を牛皮に詰めて縫い合わせたもので重くて蹴っても飛ばないため、生徒たちには不満でした。そこでギルバートさんが閃いたのが、豚の膀胱を使うというアイディア。これに空気を吹き込んで膨らませたわけです。出来上がったボールは不格好な楕円形だったものの、軽くてよく弾むと生徒の間でも大評判に。そして何より「持ちやすい」という特長がありました。ウェッブ・エリス少年が思わずボールを抱えてしまったのもうなずけますね。

ちなみに「ギルバート」は、現在も公式球の提供で知られる有名ブランド。もちろん、今は豚の膀胱は使っていませんが。

どんなスポーツも今の形になるまでには紆余曲折があり、そこにはさまざまな逸話があります。
それをひもといてみるのもまた、スポーツの楽しみ方のひとつではないでしょうか。

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