CLUB MITSUBISHI ELECTRIC

三菱“大人”家電 家電から考える、今よりちょっと上質な暮らし

Vol.5 デザイナーインタビュー!四季を通じて、心地いい風を暮らしに吹き込む『SEASONS(シーズンズ)』Vol.5
デザイナーインタビュー!
四季を通じて、心地いい風を暮らしに吹き込む『SEASONS(シーズンズ)』

東海道線、横須賀線、湘南モノレール江の島線の3つの路線が乗り入れる大船駅は、湘南、鎌倉への玄関口。三菱電機のデザイン研究所は、大船駅前の喧騒から少し離れた広大な敷地の中にあります。ここでは宇宙開発から身近な家電製品まで、三菱電機が創り出す様々な製品群のデザインが開発されています。
三菱“大人”家電コラムコーナーでは3回にわたり、上質な暮らしをご提案する最新の三菱電機家電製品のデザイン担当者からお話をお聞きします。第1回は、先進の気流制御技術やDCモーターの採用で、扇風機にもサーキュレーターにもなり、1年を通じて快適な暮らしを実現するDCモーター扇風機『SEASONS』について若きデザイナー、藤ヶ谷友輔氏にお話を伺いました。

DCモーターの採用で、扇風機に新しい価値を。

編集部1年を通じて使える扇風機として『SEASONS』が大きな注目を集めています。この製品は、どんな経緯で開発されたのでしょうか。

藤ヶ谷扇風機市場ではニーズが二極化しています。一つは低価格でただ風を送り出す機械としての扇風機。もう一つは今までになかったDCモーターを採用し、複雑な制御を行い自然に近い風を実現する高級機です。三菱電機でも、よりよい風を作り出す新しい価値をもった商品を世に送り出そうと考え、『SEASONS』の開発が始まりました。

編集部DCモーターが重要なファクターの一つだったのですね。DCモーターを使う利点を教えてください。

藤ヶ谷従来の扇風機は、交流(AC)で動くACモーターがほとんどでした。DCモーターは、直流(DC)で駆動するモーターでACモーターに比べ効率がよく、消費電力を抑えることができます。また、騒音が小さく、とても静かなのも大きな特徴です。さらに、繊細な制御ができるので自然に近い風を送ることができます。例えば、従来の扇風機が強・中・弱の風量だったとすれば、DCモーターを搭載した『SEASONS』では、きめ細かな風量切り替えやなめらかに風量が変化するリズム風が可能になっています。
さらに『SEASONS』では航空機の翼などで使われているウィングレット形状の7枚羽根や新形状のファンガードで、風をより静かに遠くまで届かせることができるんです。機械的な風ではなく、自然に近い風がどこからともなく吹いてくるような、心地いい風を目標につくっています。

編集部自然に近いやさしい風をより遠くまでですか!

藤ヶ谷はい、遠くへ飛ばすというのは力強いという意味ではなくて、やさしい風でも遠くまで飛ばすことができるということです。生産を担当している中津川製作所では、換気扇や送風機の生産もしていて、風を送ることに関しての技術やノウハウが豊富なので、その技術がとても役立ちました。

イメージしたのは、イタリアの家具。

編集部デザインする上でいちばん苦労したのは、どんなところですか。

藤ヶ谷今までの扇風機のデザインって機械的というか、機能を優先したデザインで、モーターが入った頭の部分があって、頭を左右に振る機構があってとインテリアになじませようという発想例は少ないと感じていました。
『SEASONS』は、最初からインテリアとして部屋になじむことを前提にデザインを進めました。シンプルな形状で家具のような佇まいをイメージして、ファンが真上を向いたときに軸が極力真ん中にきてちょうどカクテルテーブルのようなフォルムになるようにしています。
動いているときも停まっているときも、きれいな形状を保つよう配慮しました。シンプルな形状の中に必要な機構や機能を納めることがいちばん大変でしたね。機能の設計に関する部分も、デザイン研究所から、ここはこうしたら、こうなりませんか?といろいろ提案させていただきました。例えば、従来は首振りの機構はファンを回すモーターのところに付随しているんですが、よりシンプルな形状にするため、本体側に持って行って軸ごと回すようにしています。そういった機構的な部分も設計側とやりとりし、いろいろなアイデアを出しながら、とにかくシンプルに美しくする、それがいちばん大変でしたね。

編集部あ、軸から回っているんですね。ある意味、コペルニクス的な発想ですね。他にはどんな点に注力されましたか?

藤ヶ谷それは色ですね。色は2つの方向でご用意しているのですが、一つがお部屋のインテリアになじむアイボリー調の色です。真っ白にはしないで、少し黄色味を帯びた暖かいトーンの白にして季節を通じて常に部屋になじむようにしました。
もう一つがお部屋の中でアクセントとなってインテリアと調和する方向。ダークな色調の赤を使い、アクセントになるのですが主張しすぎない色合いをめざして調色しました。イタリアの家具をイメージしていたんです。

編集部マホガニーとかチークの家具のような色調でとてもきれいですね。

藤ヶ谷はい、赤の方はマホガニーレッドと名付けています。白の方はリネンアイボリーといいます。色を決めるのにも苦労したのですが、各部位の色を合わせるのに苦心しました。製品はいくつかの部位から構成されていて、それぞれ採用している樹脂の種類が違うんです。樹脂によって素地の色がまちまちで、それを最終的に製品に組上がったときに色の差がでないようにするのが大変でした。

いいデザインをするために、引き出しはたくさん持ちたい。

編集部藤ヶ谷さんのデザイン発想の秘訣はなんですか。

藤ヶ谷アイデアの引き出しの数の多さが重要だと思います。一つの分野を深く掘り下げることも大切なんですが、別の分野への興味をつねに持つようにしています。くだらないことでもいろいろ調べてみたりとか、気になったら放っておかずに調べたりとか。ちょっとしたこと、今すぐ何になるかわからないことでも調べて、自分の中の引き出しを増やすようにしています。アイデアを出す時に、そういった細かい知識だとか雑学だとか生きてきます。

編集部引き出しを増やすために何か心がけていることはありますか。

藤ヶ谷デザイン誌だったり経済誌だったり雑誌もいろいろ読みますが、気を付けていることでいうと生活の中で、なんでこれってこうなんだろうと思うことがよくありますよね。モノに限らずコトだったり言葉だったり。一つでも気になったら、答えがでるまで調べるようにしています。

編集部さて、お客様にはどんな使い方をしていただきたいですか。

藤ヶ谷夏の暑い時期やお風呂上りなどには強い風で涼むことはもちろん、エアコンと併用して冷気を循環させればお部屋が快適になります。冬も暖房器具と一緒にサーキュレーター的に使うことでお部屋の温度むらをなくすことができますね。春や秋は、窓を開けて外の空気をお部屋の中に取り込むのがお勧めです。梅雨時には室内干しの洗濯物を乾かすこともできます。

デザインのためのデザインではなく、使う人のためにデザイン

編集部藤ヶ谷さんが『SEASONS』でいちばん自慢したいポイント、知ってほしいポイントを教えてください。

藤ヶ谷1年中部屋に置いて、1年中心地いい風をご提供できるところですね。そこがいちばん自慢できるポイントです。いろいろな人のさまざまなシーンで、生活に寄り添った使い方ができる製品です。自然に近い風なので、赤ちゃんやお年寄りでも負担にならないと思います。
また、使いやすさのためのデザインも十分考えていて、文字の大きさや位置、アイコンの使用などに気を配りました。扇風機は、夏だけ使う季節家電でそれ以外の季節はしまっておく場所が必要だったんですけど、『SEASONS』は1年中出しておいて使える機能とデザインを持っています。しまう必要がないので収納スペースが不要なことも大きなメリットです。

編集部幅広い人々の暮らしに寄り添って、快適な風を提供することで上質な暮らしを実現できる製品なんですね。藤ヶ谷さんが家電製品をデザインするときに配慮していることってありますか?

藤ヶ谷デザインっていうとステキなものを自由につくるというイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、そうではなくて、実はシーンによって求められているモノやカタチがあって、そのときに必要なものを適切に判断しながらつくっていくものだと思っています。
例えばターゲットユーザーは、今回は幅広い人たちですが、場合によっては女性だったり子どもだったりとさまざまです。そういったときに、自分が気に入る製品ではなく、その製品を使う人にとってよりよいものをつくろうと心がけています。

人々の生活が変わるような、いままでにない製品をデザインしたい。

編集部お客様の視点でよりよいものをデザインしていこうというわけですね。家電製品をデザインするときの喜びって何でしょう。

藤ヶ谷家電製品って関わる人やモノが多く、さまざまな制約があります。その条件に合致させながら、意匠的にもステキなものを作り出せた時がいちばんうれしく感じますね。パズルを解くのに似ているかもしれません。あるいは料理をするのにも似ているかな。いろいろな材料を使って、いろいろな人が満足するものを提供できたとき、うまく行ったなあと感じ、達成感がありますね。

編集部ハードルの高さが、ものをつくるときの喜びや達成感になるんですね。藤ヶ谷さんは、これからどんな製品をつくっていきたいですか?

藤ヶ谷その製品が生まれたことで生活が変わるような、今までになかった製品を開発出来たらいいですね。今まであるものを進化させるのも重要なことなんですけど、今までなかったものを出すことで、生活シーンがよりよくなる製品を開発できたらステキだなあと思います。

編集部最後に読者の皆さまにメッセージを。

藤ヶ谷家電製品って生活を便利にする機械という位置づけがあったと思うのですが、三菱電機の家電製品は、機能的に満足させるだけでなくインテリア的な満足感を与えるものが増えています。機能だけではなく、存在として生活を豊かにする、生活に潤いができる。それが上質な暮らしを提供する大人家電かなと思います。皆さまに使っていただき、快適な風を暮らしに取り入れていただけたらうれしく思います。

三菱電機 デザイン研究所
ホームシステムデザイン部
藤ヶ谷 友輔

今回、ご紹介した製品は…

静かに、多彩に。風を思いのまま。
扇風機にもサーキュレーターにも使えるオールシーズン仕様。
三菱DCモーター扇風機 SEASONS