CLUB MITSUBISHI ELECTRIC

和食シリーズ企画第3弾

これからの和食を考える。

ユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化。 未来へつなぐために、今できること。ユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化。 未来へつなぐために、今できること。

第13回 かぶ
超絶品!
目からうろこの
かぶメニュー

いつものみそ汁ばかりじゃない。
知れば広がるかぶメニュー!
かぶのやさしい世界へようこそ!

かぶはどう切る? 皮はむく?

いつものみそ汁、浅漬け、煮物もおいしいけれど、たまにはちょっと違ったかぶを食べてみたい。野菜の目利きとして、数々の調理人が絶大なる信頼を寄せる築地御厨(みくりや)の内田悟さんにそうお願いしたところ、シンプルなのに驚くほどおいしいかぶの料理法を教えていただきました。必見&永久保存版です。

編集部
かぶの調理に際して気をつけることはありますか?
内田さん
(以下 敬称略)
熱を加えると煮崩れるほどやわらかくなりやすいこと。あとは切り方ですね。はしりの10月頃は縦、くし切りがいいですね。そして秋が深まり、冬が近づいてきたら輪切りにする。かぶは大根のように繊維が単一の方向に走っているわけではないんですが、冬が近くなって朝晩冷え込むようになると、皮が厚くなる。だからはしりの頃は縦、くしに切り、さかりを迎えた頃には皮の口当たりが主張しすぎないよう、水平に輪切りにするといいですね。
編集部
よく大根は、皮を厚めにむくように言われますが、かぶも皮はしっかりむいたほうがいいですか。
内田
かぶの皮はむかなくても大丈夫です。ただ皮つきで長時間煮すぎると、実の部分と皮の部分が分離することがあります。味に大差はないのですが、見栄えを気にされるなら一度断面に塩を振って水分を出すといいですね。
編集部
あと、かぶの下ごしらえで悩むのが、葉の根元の部分に噛んでいる土。気になって、つい実の部分ごと切り落としてしまうのですが……。
内田
確かにバッサリ落とすのが簡単ですよね。でも、落としてしまうと実と茎を一緒に調理した味わいを知ることができなくなります。根元に噛んでいる土は、茎のつけ根を少し残して切ってしばらく水に漬けておくと、自然に流れ出ます。それでも残る土があったら、つまようじや竹串で落とせばいい。野菜にも命があると考えたとき、まず覚えるべきは、野菜をていねいに扱うということ。ていねいに扱って初めて野菜を理解できるようになってきます。

こんなかぶメニューがあったなんて!?

編集部
かぶを使った料理って、どうしてもお決まりのものになってきてしまうんですが……。何か目新しい調理法はありませんか。
内田
例えば大根おろしの代わりにかぶおろし。焼き魚に、かぶおろしを添えると全然違う食感になりますよ。あとは片栗粉をつけて、多めの油で揚げ焼きにする。
編集部
揚げ焼きですか!
内田
そうです。僕の一番好きなかぶ料理です。ちょっと作ってみましょうか。
編集部
よろしくお願いします!
内田
いえ、ご自身でやるんですよ(笑)。まずかぶをくし型に切って、片栗粉をつける。そしてフライパンに多めの油を入れて……。そうそう。もっと入れて大丈夫。片栗粉って低温で調理すると油に流れ出てしまうんです。食材に粉がきちんとついた状態で油の中で固まるように揚げたいですね。だから一定以上の量の油を入れること、そして最初からきちんと油温を上げておくことが大切なんです。
編集部
油の温度はどれくらいが目安ですか?
内田
170℃くらい。ふつうの揚げ物と同じくらいで大丈夫です。そして油に入れたら、しばらくいじらない。これはすべての揚げ物に共通する鉄則ですね。周囲の泡が小さくなってきたら、そろそろ返しましょう。返したら、同じように泡が小さくなるのを待っているとフチがほんのり色づいてきます。そうなったら引き上げどきですね。この調理だと、品のいいやわらかな味になるんですよ。
編集部
そのまま塩を振って食べるんですか。
内田
そうですね。あとはごま和えにしたりするのもいい。僕はうどんの具にするのが好きでねえ。これがうまいんですよ!
編集部
うどんの具にするとは意外です。
内田
上品なのに油のコクもあっていいですよ。片栗粉のデンプンがポイントなんです。ほとんどの野菜って少ないながらも、たんぱく質を含んでいる。たんぱく質とデンプンって、くっつくとやわらかい食感になる。豚のしょうが焼きを作るときも、豚肉に塩で下味をつけたら、そこに片栗粉をまぶして焼くとすごくなめらかな食感になりますよ。
編集部
そのほか、お気に入りの調理法はありますか?
内田
あとは普通に白ゆでですね。塩も何もいれない白湯で炊いて、塩か味噌で食べる。金山寺みそなんていいですね。白菜と一緒に炊いてもおいしいし、浅漬けを作るとき、塩と刻み昆布と合わせて一晩置くだけでもいい。
編集部
どれも簡単そうですが、あまり見聞きしない調理法ですよね。
内田
なんなら輪切りにして魚焼きグリルで焼くだけでもいいですし、すりおろして大根と人参を煮た野菜のみぞれ煮なんてもう最高! そこに肉や魚を入れてもおいしくなる。かぶはどんな調理にも合う、万能野菜。気兼ねなく何にでも使えばいいんです。
編集部
素材を知ると調理法が広がっていくんですね。
内田
かぶ、おいしくて本当に大好きなんです。はちきれんばかりに張った皮のなかにキメの細かい身が詰まっていて、口にすると甘みと淡い辛み……。あんなにやさしい野菜はそうそうないですよ。