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工場での「30%再利用」から「100%再利用」への転換

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イメージ:水資源のサステナビリティを高める
イメージ図:「体質強化」の追求
【環境への取組】社長メッセージ

「新めっき排水処理・リサイクル設備」が可能にした水資源の3R

系統変電システム製作所では、電力会社から供給される高電圧の電気を使いやすい電圧に変える「変圧器」や、電気を通したり切ったりする「開閉器」など、電気の安定供給を支える様々な機器を製造しています。これらの製品には多くの「めっき」を施した部品が使用されています。信頼性の高いめっき品質を確保するためには、めっきプロセスの各工程において多くの水を用いて洗浄することが不可欠であり、その水量は、最大1時間当たり45m3にのぼります。

従来、めっき洗浄後の水は、生態系に影響を与えないように酸・アルカリなどを無害化処理した後、一部をトイレの洗浄水として利用する以外は下水へ放流していました。そのため、設備リニューアルを機に、大量の水を有効活用したいと考えました。そして2010年4月、最新の水処理・膜分離技術を採用した「新めっき排水処理・リサイクル設備」を稼働させました。これにより、洗浄に使用した水の70%を洗浄水として、残り30%の水はトイレの洗浄水として利用できるようになり、水の100%再利用を可能にしました。

画像:新たに稼働した「新めっき排水処理・リサイクル設備」
新たに稼働した「新めっき排水処理・リサイクル設備」
画像:系統変電システム製作所
系統変電システム製作所は、世界一信頼性の高い日本の電力系統をつくり上げた技術力を持ち、同製作所の製品は、世界中で採用されています。
画像:変圧器
変圧器
画像:開閉器
開閉器
これらの製品にはめっきを施した部品が使用されています。

画像:従来の水の利用方法と新しい水の利用方法

理想実現に不可欠だったのは「膜を使った水処理」

実は、「新めっき排水処理・リサイクル設備」を実現するには、ある悩ましい問題がありました。めっき工場で洗浄に使用した水は送水管を通じて無害化処理設備に送るのですが、使用する敷地面積の関係で、従来の設備はめっき工場から600mも離れた場所にあったのです。これだけ送水管が長いと漏洩リスクも高くなり、日常の監視に加えて、巡回点検を2時間に1回実施するなど相当な労力を要します。こうした背景から、新しい設備はめっき工場の近くに配置したいと考えていました。しかし、めっき工場の近くには十分な広さの土地はなく、そこにどうやって設備をつくるかが課題でした。

そこで限られた面積と予算の中で、無害化処理能力が高く、リサイクル効率が良く、ランニングコストも抑えられるベストの方式の探求を開始。当社内のほかのめっき工場を見学したり、水処理に関する文献を読んで情報収集を行い、複数の排水処理設備メーカーに提案を募りました。こうした過程で、理想を実現できるのは“膜”を使った水処理であると確信し、希望する仕様を練り上げていきました。

膜のよいところは、何よりもスペースを取らず、自社で必要とする水処理後の水の純度をコントロールでき、ほかの方式に比べて比較的低コストで、使用する電気エネルギーも少なくて済むことです。また、物理的に不純物をろ過する方式のため、化学的な処理で使用する薬剤が不要になり、環境への負荷・リスクを低減できるというメリットもあります。こうして、「新めっき排水処理・リサイクル設備」には、無害化とリサイクルのそれぞれの工程に“膜”を使い、きれいな水と不純物とを分離する方法を採用することになりました。


「新めっき排水処理・リサイクル設備」の特長

「新めっき排水処理・リサイクル設備」のうち無害化の工程では、従来、めっき後の部品洗浄で生じる排水をpH調整した後、重金属を取り除くために水を大きな凝集沈殿槽に導き、無機凝集剤や高分子凝集剤を添加して水酸化物が自然に下に沈むのを待って、汚泥として取り出していました。新しい設備では、重金属除去を“MF(精密ろ過)膜”という0.5ミクロン以上の物質をろ過できる膜を使った膜分離方式に変更し、設置面積を1/4に縮小。省スペース化を実現したことで、めっき工場の隣に新設備を設置することができました。これによって、送水管の長さを600メートルから70メートルへと90%も短縮でき、点検・監視が容易になりました。更に配管を二重化することで、環境保全効果と環境リスクの低減効果も得ています。

リサイクルの工程には“RO(逆浸透)膜”を使った装置を導入しました。RO膜は、約0.1ナノメートル以上の物質をろ過できるため、無害化して重金属を除去した排水を更にきれいにできます。この設備によって、めっき品質を低下させる溶解性の塩類を徹底除去できるようになり、めっき洗浄水としての循環利用が可能となりました。その量は、年間で約10万m3。25mプールで280杯分、家庭用の風呂に換算すると約50万杯分に相当します。

めっき工場とめっき部品洗浄後の処理設備の旧新比較

画像:水の無害化処理設備による、水のリサイクル過程
画像:タンク
リサイクルした水はこのタンクに蓄えられる。
画像:監視システム
無害化、リサイクル設備の状態を事務所で常時監視している。
画像:長池担当・明石担当
設備の運用を担当している長池担当(左)と技術面を担当している明石担当(右)。「工場内にきちんと処理された水を安定供給していくという使命感を持って、日々の設備管理業務にあたっています」
理想の設備は実現できた。でもまだまだやるべきことがある。
画像:系統変電システム製作所 生産システム部長 高橋明久
系統変電システム製作所
生産システム部長
高橋明久

三菱電機グループでは、水も生産資材と同じように「3R」の観点で有効活用していくという方針を掲げています。今回のめっき無害化処理設備の更新は、水の有効活用にとって35年ぶりに巡ってきた大きなチャンスでした。設備の検討開始から稼働まで1年半かかりましたが、理想通りの設備になったと思っています。同時に、こうしたチャンスを活かすには、日頃から世の中の技術動向を知る努力が不可欠であり、それができる人材を育てていくことも大切だと感じました。

また、更新した設備の安全性に対する自信を示すために、処理した水を使ったミニビオトープもつくりました。工場では、社員一人ひとりが責任を持って毎日の作業に取り組まないと環境事故につながりますが、ミニビオトープのような活動は、社員の環境マインド育成に役立っています。今後は、近隣住民の方々にもこうした活動を知っていただける機会を設けられればと考えています。

今回は、めっき工場において水資源の「3R」を実現しましたが、当製作所ではめっき工場以外にも生産工程で水を多く使用している工場があります。そこでは当然、環境に負荷を与えないように処理してから外部に排水していますが、資源の有効活用の面では、まだまだやるべきことがあります。蒸気もたくさん使っており、そのために使用する水を少なくする方法も考えていきたいですね。


失敗が許されない中、納得いくまでとことん悩み検討したことで満足する設備ができた。

系統変電システム製作所 開閉機器製造部 機工課長 横山政彦

系統変電システム製作所
開閉機器製造部 機工課長
横山政彦

現在、私はこの新設備の管理責任者をしていますが、リニューアルプロジェクトを本格的に検討し始めた2007年当初は製造技術スタッフであり、計画立案から仕様確定、稼働開始まで、主担当として携わってきました。今回更新した排水処理設備は、3つの大きな目的がありました。それは、①「環境リスクの低減」、②「排水リサイクル化」、③「めっき工場の能力拡大(24h稼働化)」です。このうち、①「環境リスクの低減」と③「めっき工場の能力拡大(24h稼働化)」を実現するためには、めっき工場に隣接することが不可欠でした。そこで、限られた設備面積を最大限活用するため、省スペース化が可能な浸漬型MF膜を重金属処理工程に採用しました。また②「排水リサイクル化」については、処理水質に適しておりコストメリットが優れているRO膜を採用して実現しました。

しかし、膜を導入するのは初めてでしたので、最初は不安もありました。我々の工場は量産工場ではないため、プロダクトミックスにより、排水水質が大きく変化します。そういう中で、無害化レベルはもちろん、製品の品質に直結するリサイクルした水の品質が思い通りになるのかどうか…。投資額や操業への影響度を考えるととても失敗はゆるされません。プラントメーカーや膜メーカーと実験や打ち合わせを何回も重ねながら、納得できるまでとことん検討し、関係者でベストな仕様を求めていきました。

そうした積み重ねの結果、求めている性能を満足する設備ができ、安定した稼働が実現できたと思います。今後も所属員一同「エコチェンジ」の精神で改善を進め、三菱電機全24場所の中で環境優良No.1工場を目指していきます。


<コラム>
無害化、高度処理した水を使用したミニビオトープ

系統変電システム製作所では、新めっき排水処理・リサイクル設備のすぐ隣に、無害化しためっき部品洗浄水を利用してミニビオトープをつくっています。

このミニビオトープには、ミズキンバイやノハナショウブ、メダカやミナミヌマエビなどの日本古来の植物と生きものだけが棲んでいます。

このビオトープは、安全できれいな水に生まれ変わったことの証明にもなっています。

~ミニビオトープに生息している植物、生きものの例~

画像:ミズキンバイ
ミズキンバイ

画像:ノハナショウブ
ノハナショウブ

画像:デンジソウ
デンジソウ

画像:ヒメホタルイ
ヒメホタルイ

画像:メダカ
メダカ

画像:ミナミヌマエビ
ミナミヌマエビ

画像:ヨシノボリ
ヨシノボリ

画像:二枚貝
二枚貝


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