実は、「新めっき排水処理・リサイクル設備」を実現するには、ある悩ましい問題がありました。めっき工場で洗浄に使用した水は送水管を通じて無害化処理設備に送るのですが、使用する敷地面積の関係で、従来の設備はめっき工場から600mも離れた場所にあったのです。これだけ送水管が長いと漏洩リスクも高くなり、日常の監視に加えて、巡回点検を2時間に1回実施するなど相当な労力を要します。こうした背景から、新しい設備はめっき工場の近くに配置したいと考えていました。しかし、めっき工場の近くには十分な広さの土地はなく、そこにどうやって設備をつくるかが課題でした。
そこで限られた面積と予算の中で、無害化処理能力が高く、リサイクル効率が良く、ランニングコストも抑えられるベストの方式の探求を開始。当社内のほかのめっき工場を見学したり、水処理に関する文献を読んで情報収集を行い、複数の排水処理設備メーカーに提案を募りました。こうした過程で、理想を実現できるのは“膜”を使った水処理であると確信し、希望する仕様を練り上げていきました。
膜のよいところは、何よりもスペースを取らず、自社で必要とする水処理後の水の純度をコントロールでき、ほかの方式に比べて比較的低コストで、使用する電気エネルギーも少なくて済むことです。また、物理的に不純物をろ過する方式のため、化学的な処理で使用する薬剤が不要になり、環境への負荷・リスクを低減できるというメリットもあります。こうして、「新めっき排水処理・リサイクル設備」には、無害化とリサイクルのそれぞれの工程に“膜”を使い、きれいな水と不純物とを分離する方法を採用することになりました。
















