生物多様性ダイアログ、専門家からの提言

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当社は、生きものとの共生をテーマに、専門家と意見を交わす機会を随時設けています。絶滅危惧種の保全活動に取り組んでいる研究者や、都市緑化の専門家、緑を利用する園芸療法の専門家などとの対話を通して、様々な知識、観点に触れ、三菱電機グループのあるべき姿について考察を深めています。

このほか、当社の個々の事業所でも、生きものとの共生に向けた取組を進めており、必要に応じて専門家に意見を求めています。


本社

テーマ:国内外の生物多様性保全の現状を踏まえ、企業に望むこと

神奈川県立生命の星・地球博物館  主任学芸員  苅部  治紀  様

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神奈川県立生命の星・地球博物館
主任学芸員 苅部 治紀 様

神奈川県立生命の星・地球博物館  主任学芸員  

苅部  治紀  様

生物多様性保全は、その現状を知ることから始まる

三菱電機さんには、主に次の3つのことを踏まえた活動を期待しています。

まず、日本は今多くの生物の絶滅が心配される危機的状況にあり、それらの生物種を絶滅から守る戦いの最中にあるということです。こう言うと、小笠原諸島や沖縄といった「特別な場所」をイメージする人も多いと思いますが、もっと人々に身近な場所に生息する種も絶滅の危機に直面しています。私の子どもの頃には普通に見られた環境、例えば、かつてはどこにでもあった草丈の低い原っぱなどは、近年、都市近郊ではほとんど見られなくなりました。これは、そこに生息する生きものが棲みかをなくすことを意味しており、そうした環境を棲みかとするバッタやゴミムシの仲間などが急激に減少しています。田圃についても乾燥化や農薬の影響によって同様に危機的です。生物の種というものは、1度絶滅してしまえば取り返しがつきませんから、今、生物多様性の保全に取り組むことには大きな意味があると思います。

次に、絶滅につながる要因として、どのようなものがあるかを知ること。さまざまな要因の中でメーカーの方には、「開発圧」「外来種圧」の2つを意識していただくとよいと思います。

開発圧というのは、文字通り、各種開発行為によって生きものの“棲みか”が失われることです。これは開発予定地にどんな生きものが生息しているかを事前に調査し、立地選定の中で希少種の生息地をさけることなどでリスクを低減できます。一方の外来種圧は、別の地域から生きものを運び込むケースを指します。例えば、水をきれいにする効果を狙って池にホテイアオイを導入することが、在来の水草を競争で排除したり、水生動物へ影響を与える事態を招きます。ペットとして人気のアメリカザリガニを沼に放った結果、水草や小動物がことごとく食い尽くされ、残るのはアメリカザリガニだけという状況を招いたりもします。人間が意識せずに行う生きものの移動が、その地にもともといる生きものの生息を脅かす原因になることがあるのです。生物多様性保全の活動を行うに当たっては、ぜひ、この点を心に留めておいていただきたいと思います。環境リスクの大きな種については、環境省のWEBサイトなどで知ることができますので、そうした生物を持ち込まないようにして下さい。

最後に、海外での事業活動について。海外には、生物多様性の保全につながる法規制が日本と比較して不十分な地域が少なくありません。三菱電機さんはグローバルに事業を展開していますので、そうした地域で活動する場合であっても、生物多様性に影響を与えることがないように行動し、また工業廃水などの公害のような、かつて日本が経験したような轍を踏まないようにリードする役割を果たしていただきたいと思います。

まずは、一人ひとりができることから始めてみてください。


ご意見を受けて

ご指摘いただいた「開発圧」「外来種圧」については、三菱電機グループが事業活動を行うに当たって、全員が理解することが大切だと思います。また、海外での行動への要望・ご期待はグローバル環境先進企業を掲げる会社として、社会から必要とされるために欠かせないことだと思います。

また、事業活動を含む人間の活動が、意図せずとも生物種の絶滅につながってしまうことがある、ということを認識して常に自らの行動を省みることは、「環境問題」というものを防止するための基本的な姿勢でもあると思います。事業所での生物多様性保全は、こうした姿勢を全員で獲得するための基盤となる活動として進めたいと考えます。


テーマ:生物多様性を豊かにするしつらえと共生・共存

兵庫県立大学大学院  緑環境景観マネジメント研究科  准教授  岩﨑  哲也  様

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兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科 準教授 岩崎 哲也 様

兵庫県立大学大学院  緑環境景観マネジメント研究科  准教授

岩﨑  哲也  様

緑の“しつらえ”で生きものを呼ぶ

都会にある事業所は生きものとは無縁に見えますが、“しつらえ”次第で身近な昆虫などを呼び込み、生態系を豊かにすることが可能です。ポイントとなるのは、「多孔質空間の創造」と「多様性の確保」です。

隙間がある空間(多孔質空間)には、トカゲなどが好んで入り込みます。石や竹を積み上げるなどして、こうした空間をつくることで、生きものの棲みかを増やすことができます。また、生垣などでは単一の樹種を植えがちなのですが、これでは限られた生きものにしか利用できず、ひいては害虫の大量発生の原因にもなります。そこで、複数の樹種を混ぜて植えると、利用できる生きものの幅が広がります。生きた木だけでなく、枯れ木や朽木を好む生きものもいますから、これを置くことも検討できればもっとよいですね。

なお、木を植える場合は、「地域性系統の保全」にも配慮が必要です。同じ樹種でも地域によって遺伝的変異がありますし、別の地域から木を移植すると、地域本来のものとは異なる微生物や土が持ち込まれることもあります。地域本来の生態系をかく乱しないためにも、地元産の木を植えることが望まれます。

都市の緑は、生きものだけでなく、人間にとっても重要な意味を持っています。ヒートアイランド現象の緩和や景観の向上といった「生活面の効果」、防災に貢献するなど「人の生存上の必要性」、郷土意識を涵養するなど「文化的な効果」もあります。これらも踏まえて、緑地のあり方を考えてもらえればと思います。

社員の手による生きもの調査を

現在、生きもの調査を実施するときは、専門家に依頼することが多いようです。それだけでなく、社員の方自身が、生きものの生息状況を調べてみてはどうでしょうか。実際に見て、触れることで、命の重みを実感できたり、思わぬ魅力に気づいたりすることもあるでしょう。それに、自分で調べたほうが愛着もわいてきます。

もう一つ考えてもらいたいのが、外来種の扱い方です。地域性の保全から考えれば外来種は邪魔者と思われがちですが、人間が移動させてしまったというだけで、外来種もまた生きものです。それをどう扱うべきなのかは、今後問題になってくるでしょう。三菱電機さん独自のやり方を確立していってください。

ご意見を受けて

調査会社などの専門家を活用して緑地の質を高める方向性を検討することが、形式上のものになってはいけないということを先生のお話から理解することができました。

また、国際的にも謳われている「生物多様性の主流化」において最も肝心なのは、一人ひとりが多様な生命の重みを実感することであり、大切にしたいという思いを育むことだという先生からのメッセージを心に留め、この活動を進めていきたいと考えます。

外来種については、外来種であるから単純に駆除するということではなく、地域固有の種の絶滅につながるような危険性の有無という観点から管理することを基本とし、日本においては環境省の定めるリストなどに沿って慎重に扱っていく考えです。


テーマ:園芸療法を活用する-事業所のみどり利用の可能性

兵庫県立大学大学院  緑環境景観マネジメント研究科  准教授 豊田  正博  様

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兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科 準教授 豊田 正博 様

兵庫県立大学大学院  緑環境景観マネジメント研究科  准教授

豊田  正博  様

社員のストレス解消と仕事の効率アップに役立つ園芸療法

自然と共生する、というと、生きものにとって良い環境をつくることを考えがちです。しかし、「共生」というように、人にとっても心地よい環境であることが大切です。心地よい緑のある環境は、人間のストレス軽減にも役立ちます。例えば、美しい自然の景色や草花は、心理面だけでなく、血圧低下やストレスホルモンの減少など生理的にもリラックスにつながります。環境心理学者のカプラン夫妻が注意回復理論で述べているように、会社においてもリラックスを必要とするときには、屋外の休憩所に、仕事場が見えない(解放・離脱)、閉塞感がない(広がり)、美しく関心を引くものがある(魅了)、取りたい行動が取れる(適合性)といった要素が満たされていれば、気分転換につながるでしょう。花やハーブを素材にして作品をつくって飾り、住環境を改善する、といった活用法も考えられます。作品づくりの達成感はリフレッシュにつながりますし、作品づくりをきっかけに社員の方同士で新たなコミュニケーションの機会も生まれると思います。

何かに集中しようとする行為は、そう長くはもちません。注意回復理論では、注意には自発的注意と非自発的注意があるといわれています。自発的注意では余分な刺激をフィルタリングして必要なことに集中するように脳が働くため時間とともに疲労しますが、非自発的注意はリラックスしている状態で五感を通して受ける刺激を脳が認識するもので、疲労を生じることはないといわれます。例えば、ガーデンのような心地よい緑のある環境では、植物の色、動き、コントラスト、鳥や虫の声、日差しの温かさや肌に触れるそよ風など社内にいる時とは違う感覚刺激を受けます。その結果、ガーデンでは非自発的注意がはたらきやすく、自発的注意による疲労から回復させ、より長時間、より高いレベルの自発的注意を再び可能にして、結果的に仕事の能率アップにつながるのです。事業所の空間は限られていますが、うまく活用して、社員のストレス軽減に役立つ心地よい緑の空間をつくってはいかがでしょうか。

ご意見を受けて

事業所の生物多様性保全の活動の方向性の一つとして、事業所で働く社員がそこから癒しなどの恩恵を積極的に享受していくことを掲げています。自ら働く場所で緑を大事に育て、手入れをして利用していくということは、都市地域の中にある工業専用地域で行いうる“里山としての自然との共生”に他ならないと考えています。

園芸療法の中には、動かないことを進化的に選択した「植物」の命と共生することや、「鑑賞する」だけではなく、摘んだり切ったり香りをかいだりするなどの、五感を使った生きものとのかかわり方のヒントがたくさんあると考えています。私たちにとっての「里山」である事業所内の緑地から文化的サービスを享受していくにあたり、ぜひその考え方を参考にして、取り入れていきたいと思います。


東部研究所地区(情報技術総合研究所:情報総研)

テーマ:
鎌倉市の環境保全活動(2014年9月25日)
情報総研が今後、鎌倉市と連携して実施できること(2015年2月9日)

鎌倉市  まちづくり景観部  みどり課  課長補佐  兼  みどり担当係長事務取扱  永井  淳一  様

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鎌倉市 まちづくり景観部
みどり課 課長補佐 兼
みどり担当係長事務取扱
永井 淳一 様

鎌倉市  まちづくり景観部  みどり課  課長補佐
兼  みどり担当係長事務取扱

永井  淳一  様

主なご意見

鎌倉市と企業との連携について

かつて鶴岡八幡宮の裏山に開発の手がのびようとしたとき、「周囲の山野も八幡宮の一部であり、後世に残すべきものである」と考えた鎌倉の人々は、反対運動を起こして山を守りました。これが日本初のナショナルトラスト運動、俗に言う「御谷(おやつ)騒動」です。鎌倉市はこのスピリットを受け継いで、古都の一部として緑を後世に残す活動を続けてきたのです。一方で、行政にできることには限界があります。そこを民間の方に手伝っていただけるならとてもありがたい。

情報総研の活動について

まず、生物多様性にも配慮して緑を増やすというところまで考えていらっしゃるのは、とてもいいと思います。そのうえでお願いしたいのは、「事業所の中」だけではなくて、「事業所の外」で行われている活動にも参加していただきたいということです。大企業としての「人の多さ」や「ネームバリュー」が活動を盛り上げる力になるはずですから。

市の活動のほか、地元の公益財団法人なども環境保全に取り組んでいますから、そうした活動に積極的に協力いただくといいと思います。情報総研さんとしても、社員の方の環境意識を育てる役に立つ活動です。

今後の連携について

事業所内での活動については、鎌倉市が把握している地元の生き物のデータをもとに、「植樹予定の樹種に問題はないか」といった観点からアドバイスできると思います。市の活動に協力をいただいている外部の専門家の方とも話し合っていただければ、より足並みをそろえて活動できるかもしれません。

事業所外での活動については、鎌倉市や地元の公益財団法人が活動を実施するとき、その内容をお知らせできると思います。

ご意見を受けて

以下のような活動を検討していきます。

  • ・鎌倉市の活動アドバイザーの方との対話
  • ・鎌倉市の環境活動への参加
  • ・鎌倉市が実施している環境活動のPRへの協力

テーマ:生きもの調査の結果を踏まえて、今後、情報総研はどのような取り組みをすすめていくべきか

神奈川県立生命の星・地球博物館  学芸部長  勝山  輝男  様
神奈川県立生命の星・地球博物館  主任学芸員  苅部  治紀  様
神奈川県立生命の星・地球博物館  動物担当学芸員  加藤  ゆき  様

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神奈川県立生命の星・地球博物館
学芸部長
勝山 輝男 様
神奈川県立生命の星・地球博物館
学芸部長

勝山 輝男 様

神奈川県立生命の星・地球博物館
主任学芸員
苅部 治紀 様
神奈川県立生命の星・地球博物館
主任学芸員

苅部 治紀 様

神奈川県立生命の星・地球博物館
動物担当学芸員
加藤 ゆき 様
神奈川県立生命の星・地球博物館
動物担当学芸員

加藤 ゆき 様

主なご意見

2014年度の生きもの調査結果について

今回の調査でも多くの生きものが見られていますが、事業所内の自然はまだいろいろな可能性をもっています。例えば、水溜りでトンボの産卵行動が見られたり、チョウゲンボウが飛んできたりしている。そのような生き物は、潜在的に情報総研に定着する可能性があるといえます。

今後の情報総研の活動について

(1)テーマ設定と体制づくり

大切なのは「継続できる活動」にすることです。企業や学校では、せっかくビオトープなどをつくっても、管理者が異動などでいなくなり、維持できなくなるケースも珍しくありません。管理の方法を最初にしっかり決めておく、リーダーになれる人材を複数育てる、あまり手がかかる取り組みは避けるなどの配慮が必要です。

また、思ったような結果にならなかった場合も、その状況でできることを検討するほか、一度やめてみて他の方法を考えるなど、「順応的」に対応できる体制をつくってほしい。そのためにもまず明確なテーマを設定することが大切です。

一つ考えられるのは、上にあげた鳥やトンボのような、潜在的な利用者を呼び込むということです。さらに「研究所の敷地内」という場所を考えると、「人が手入れをしてきた自然を復元する」ことがテーマになるかもしれません。

日本の自然環境には、洪水や山火事などによる定期的な「リセット」で成り立っていたという一面もあります。天災への防備がととのった後も、草刈りや間引きなどで人が外圧をかけることで、里山や雑木林、草の茂った空き地などの環境が残されてきました。今、こうした場所は全国でも貴重になり、そこで暮らしていた生きもの、例えばトノサマバッタやヒバリなどの生息地が大きく減っている。企業が管理する敷地内なら、外来種などが侵入してもリセットできるなど比較的管理が容易ですから、これらの環境を再現しやすいといえます。


(2)具体的な活動

博物館敷地内に設けられたトンボ池。
カエルも産卵に訪れる。
博物館敷地内に設けられたトンボ池。
カエルも産卵に訪れる。

手間がかかりにくい活動の例として、トンボ池の設置、鳥やコウモリのための巣箱の設置が考えられます。トンボ池も大きなものをひとつつくるのではなく、既製品のプラスチックケースを埋めただけの小さな池をいくつか組み合わせるだけでも効果があります。

また、草地があれば、定期的に芝刈りをして、エノコログサ(猫じゃらし)が残るぐらい、ススキが生えるぐらい…など一定の高さに保ってやるのも手。場所によって長さを変え、異なるタイプの植物を残せば、それぞれの環境に適応した虫などが来るでしょう。虫を食べる鳥、草地に営巣する鳥を呼び込むこともできるかもしれません。

なお、草地の管理には除草剤を使わないようにしてほしい。たとえそれ自体に毒性がないものでも、化学品なので、思わぬ影響が考えられますから。

トンボ池や巣箱の設置を手伝っていただくなど、社員の方や近隣住民の皆さんが取り組みに参加できる機会をつくることも大事です。自分のやったことですからその後の経過にも興味を持ちやすい。そこから日常的な生きものとの出会いを楽しめるようになってくれれば活動も長続きすると思います。観察しやすいよう双眼鏡などを貸し出してもいいですね。

今後の連携について

例えばトンボ池に水草を投入するだけでも、外来種の種や卵が一緒に入ってしまうことがあります。事前の配慮も必要ですので、計画がある程度定まった段階で相談してほしい。生態系が乱れた後からでは、対処も難しくなります。

事業所構内の広さや地形がわかる写真などを実際に見せていただければ、より具体的なアドバイスをすることも可能だと思います。

三菱電機グループ全体で配慮してほしいこと

世代交代によって、企業の中に、生きものに身近に接してきた世代が減りつつあります。それは言い換えれば、生きものを守るモチベーションの根源――生きものへの「懐かしさ」や「罪悪感」を持った人が少なくなっているということ。従業員の環境への意識づけに、これまで以上に注力して取組む必要があるでしょう。専用のプログラムを組んで、虫などに触る経験をさせてもいいかもしれません。

近年目立つのが、遊休地に豊かな生態系が生まれた後で、土地の用途が見出され、開発されてしまうケースです。三菱電機さんにはぜひ、メーカーとしての本業においても、こうした事態がないよう気を配ってほしい。例えば、環境のためを思ってソーラーパネルを導入したのに、設置にあたって希少な生きものの生息地をなくしてしまっては本末転倒です。事前に調査を行うなどの配慮があってこそ、環境にやさしいサービスと言えるのではないでしょうか。

ご意見を受けて

以下のような活動を検討していきます。

  • ・事業所構内のようすなどを有識者の方に実際に見ていただき、アドバイスをいただく
  • ・取組内容を検討。環境活動の担当者以外の従業員、また地域の方が参加できるようなものに
  • ・担当者が代わっても活動を継続するためのマニュアル作り

テーマ:生きもの調査の結果を踏まえて、今後、情報総研はどのような取り組みをすすめていくべきか

東海大学  教養学部長  大学院  人間環境学研究科長  藤野  裕弘  様

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東海大学 教養学部長
大学院 人間環境学研究科長
藤野 裕弘 様

東海大学  教養学部長  大学院  人間環境学研究科長

藤野  裕弘  様

主なご意見

2014年度の生きもの調査結果について

構内には水場がないということですが、水辺で見られるような生きものも観察されています。周辺に池のある公園や川などがあるようですが、主にどこから来ているのかを確認したいところです。営巣できる場所はなさそうなので、エサ場として利用しているのかもしれません。

今回の調査結果は簡易なものですので、反映されていない生きものもいると思います。例えば、調査時間が日中で、かつ目視に限られていますから、夜行性の生きものは見つからなかったと思われます。実際はネズミやもっと大きい哺乳類などもいるのではないでしょうか。

今後の情報総研の活動について

現状あまり除草剤は使っていないということですが、生きものへの配慮という点からも、今後も不使用を心掛けてほしい。草だけでなく虫に影響を与える可能性がありますから。

企業の活動という面から考えれば、「地域との連携」はひとつのキーワードになると思います。日本の企業は、「企業主体でCSRイベントを企画して、地域の方をお招きする」という形式が多いのですが、海外ではもう一歩踏み込んで、「来てくれた地域の方とも一緒にCSRの取組みを企画する」という形式もあるそうです。すぐには無理でしょうが、そのような取り組みを加えていけるといいですね。その際、緑化計画をきちんと立ててあれば活用できるかもしれません。

生きものを増やすという観点では、やはり水場は必須になるでしょう。飛べる虫や鳥、種を飛ばせる草はある程度自然に飛んできてくれますが、魚、そして飛べない水棲昆虫はむずかしいですね。水場をつくり、そうした生きものを移入することで、生態系を豊かにできるかもしれません。もちろん、外来種や遠方の生きものは地元の生態系を乱してしまいますから、近隣の池や川から生きものを採集する必要があります。

調査手法の面から見ると、生きものの研究を専門にしているような大学の研究室に協力をお願いしてもいいと思います。一例として東海大学の湘南校舎にも、主に川辺の生きものが対象ですが、フィールドワークを専門にしている研究室があります。

例えば植物など、特定の生き物の専門家が調査データを検証すれば、これまでとは違う視点でのアドバイスがいただけるかもしれません。多角的に検証することも検討してみてください。

ご意見を受けて

以下のような活動を検討していきます。

  • ・東海大学、他大学と調査で連携
  • ・複数の有識者に調査データの検証とアドバイスを依頼

三田製作所

テーマ:三田市の自然/三田製作所の活動のこれから

兵庫県立人と自然の博物館  植生創出研究グループ  主任研究員  橋本  佳延  様
兵庫県立人と自然の博物館  生物多様性保全研究グループ  主任研究員  大谷  雅人  様
兵庫県立人と自然の博物館  生物多様性保全研究グループ  研究員(兵庫県立大学助教)  鈴木  武  様

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「三田市の自然」と「当製作所の活動のこれから」をテーマとする有識者ダイアログを開催!
実施日
参加者

2015年12月16日

兵庫県立人と自然の博物館

橋本 佳延様

鈴木 武様

大谷 雅人様

三菱電機(株) 三田製作所

押尾 和彦

吉田 滋弘

安藤 侑子

三田製作所の環境・施設管理課メンバーは2015年12月、地元の「兵庫県立人と自然の博物館」にて有識者ダイアログを開催しました。本ダイアログでは、かねてから三田市内でナチュラリストとして活動してきた社員が、博物館所属の研究者の方々の知見と、三田製作所の活動に当たっての課題や関心とをつなぐ役割を果たしました。

当日は、調査結果などから見える製作所内の自然の特長や、今後取り組んでいくべきことなどについて意見を交わしました。その中で、「地域本来の植物を植える(地域性緑化)取組として、他の在来植物と共存しやすいチガヤを植え、芝やススキとは高さの異なる草地をつくってはどうか」といったアドバイスをいただくことができました。ご意見を活かして、活動のレベルアップを図っていきます。

  • イネ科の多年草。全国的に見られる普通種で、70~80cm程度の高さとなる。ツリガネニンジンやゲンノショウコなどの在来の野草と共存する。

有識者よりひとこと

植生創出研究グループ
主任研究員
橋本 佳延様

当博物館でも実験したことがありますが、今回植栽をお勧めした「チガヤ」の草むらは、年2回程度の刈り込みで維持でき、他の企業でも成功例がありますので、ぜひチャレンジしていただきたいです。また、当博物館は、さまざまな系統の植物種を保存する、いわゆる「ジーンファーム」の役割を持っていますので、地域本来の植物の種や株を分けるなどの点で協力できるかと思います。

植生創出研究グループ 主任研究員 橋本 佳延様
草原里山の生物多様性、外来植物・竹林問題を研究。遺伝子から生態系を視野に入れた自然環境保全を目指す。県内の「尼崎の森中央緑地」においては、行政が進める地域性植物による森づくりも支援する。学術博士、技術士(穿設部門)。
生物多様性保全研究グループ
主任研究員
大谷 雅人様

調査結果を見たところ、通常は多様性の豊かな土地にしかいない「ショウリョウバッタモドキ」が工場内で見つかっていたのには驚きました。取組の主旨にも共感できますし、ぜひ活動を続けていってもらいたいですね。

生物多様性保全研究グループ 主任研究員 大谷 雅人様
植物の絶滅危惧種や地域固有種の保全のために遺伝マーカーを用いて研究。里山の生物のなりわいについても興味。農学博士。
生物多様性保全研究グループ
研究員(兵庫県立大学助教)
鈴木 武様

三田市を代表する企業の一つである三菱電機さんが、こうした取組を始められたのは喜ばしいことです。地域のほかの企業のお手本になるような活動に育てていってください。

生物多様性保全研究グループ 研究員(兵庫県立大学助教) 鈴木 武様
絶滅危惧植物の保全、特に遺伝子解析を用いた研究を実施。シダ植物が専門であるが、最近は西日本のタンポポ調査も実施。他にカタツムリやネズミにも造詣が深い。理学博士。

ご意見を伺って

製造管理部 環境・施設管理課長  押尾 和彦

三田製作所 生きもの調査活動の旗振り役を務める。

貴重なご意見を活かして、さっそく活動をスタートさせました。

チガヤの草地づくり予定地
チガヤの草地づくり予定地

本ダイアログを受けて、ご提案いただいたチガヤの草地づくりについての検討を進めたところ、製作所内には生えていないと思っていたチガヤがあることが分かりました。新たな発見であり、それならば当製作所もチガヤの草地づくりで地域性緑化の役割を果たせるのではないかと思い、さっそく用地を確保して取り組んでいきます。

とはいえ、チガヤでの自然草地化は難しいこと、期間も5~6年くらいかかるというお話も伺いました。やるからには管理が大切です。先生方には、近隣の企業の活動事例も教えていただけたので、そうした企業にも実際に足を運び、管理方法や経験談も聞いて自社の活動に活かしていきたいと考えています。

カーマルチメディア製造第二部 工作課 工作係 専任  吉田 滋弘

鈴木氏に師事し、地元・三田市の自然について学んだナチュラリスト。

これからも製作所と専門家をつないでいきたい。

もともと生きものに興味があったので、三田製作所への配属後、地元の自然について色々勉強したことがありました。その際にお世話になったのが、人と自然の博物館です。このご縁があって私が製作所側と博物館側の“つなぎ”となることができたのは幸いでした。

生きものの専門家のご意見は得がたいものですが、これを具体的な取組に落とし込んでいくためには、ご意見のどこをどう取り入れるべきか、企業としての視点で議論する必要があります。私は生きもの調査の直接の担当というわけではないのですが、専門家と社員をつなぐ立場から、こうした活動をこれからも手伝っていきたいと思っています。


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