緑の質の向上へ~事業所の生物多様性保全

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各製作所で、生きもの調査から始まる自然との共生を推進

私たちの暮らしは、食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性を基盤とする「生態系サービス」によって支えられています。こうした暮らしを維持していくために、三菱電機グループは2010年5月に「生物多様性行動指針」を制定。「事業所の生物多様性保全」施策として、全事業所で「生きものへの負の影響を低減する」「生きものとのより豊かな共生を目指す」「働く中で社員が自然との関係を取り戻す」の3つの方向性で活動することを定めています。各事業所では、事業所内の「緑の質の向上」活動を進めることで、社員の活動内容に対する理解の促進と参加する社員の拡大を図り、周辺地域への貢献と地球社会のために行動する人材の育成に取り組んでいます。

  • 生態系サービスは、一般に「供給サービス」「調整サービス」「文化的サービス」「基盤サービス」の4つに分類される(国連ミレニアム生態系評価など)

「事業所の生物多様性保全」活動の広がり
(2017年3月29日現在) 伊丹地区 東部研究所地区 パワーデバイス製作所(福岡) 長崎製作所 三田製作所 生きもの観察 静岡製作所 姫路製作所 鎌倉製作所

活動の方向性別に見る

当社グループは、事業所の活動の指針として3つの方向性を示しています。事業所それぞれが、自所の状況を踏まえて活動の方向性を選択し、取組につなげています。

A 生きものへの負の影響を低減する

  • 1.「開発圧※1」「外来種圧※2」の抑制
  • 2.「希少種」「固有種」への注意喚起と保全
  • 3.農薬影響の管理
  • ※1開発圧:棲みかの破壊。事業拠点を新たに建設することや、天然資源の採取などのために開発が行われること(サプライチェーンでの開発を含めて)、などが該当。操業による水の使用が周辺地域や水源、ひいては生きものの生息環境に影響を与える場合などもこれに含まれると考えられる。
  • ※2外来種圧:その地域にもともと存在しない生きものが、外構や建物の脇の緑地、生垣などをつくる際に地域の外から樹木や草木を導入することがある。何気なく行われる生きものの移動が、地域固有の種の生息を脅かしたり、遺伝的な汚染の原因となることがある。

B 生きものとのより豊かな共生を目指す

  • 4.機能緑地の設定
  • 5.緑地の単純化、特定化など、産業的志向からの脱却

C 働く中で社員が自然との関係を取り戻す

  • 6.生態系サービスの職場での積極的享受(休憩所、フロア)
  • 7.「無関心」「無関係」状態から、「全員が関係ある」状態へ

活動の方向性について、詳しくはこちらをご覧ください。


この取組の目的と、活動の進展

生物多様性の問題への理解を深め、環境に対して行動できる人材になり、主流化に資する

三菱電機グループの生物多様性保全活動は、里山の回復、ESD(環境教育)プログラム、地域への社会貢献活動、社外団体の活動への寄付等、多岐にわたります。しかし、生物多様性条約やそれを受けた日本の国家戦略、愛知目標が目指す「主流化=すべての人間活動において生物多様性を優先できるようになること」という、生物多様性に関する世界的な危機意識には対応できていないのではないか…、本当に人間が「主流化」を実現するためには、三菱電機グループにおいても、すべての人が、生物と人間との問題について認識を深め、企業人として必要な素養を身に着け、自ら行動できるようになることが必要ではないか…という問題意識を持っていました。こうして、第8次環境計画(2015~2017年度)から、「職場のみどり、敷地の緑地」を「生きものとの関係が向上するように改善する」施策、すなわち「事業所の生物多様性保全」施策が導入されました。働くその場所での活動が構想されたのです。

この間、行動へのヒントとなる重要な知見をいくつか学びました。例えば、種の絶滅が遠く人里離れた自然豊かな場所だけではなく、多くの人間が住む都市地域でも起こること。日本の都市地域は変化が激しすぎるため、どこでどのような種が絶滅しているかは実は調査されるチャンスすらなく、実態はほとんど分かっていないという事実。また、人間が利用するために作った生物や、善意や好意で移動する生物が、用途以外の使用及び管理の放棄により、その場所の生物に対して「外来種圧」を起こしており、これが、生物種を守る現代の戦いの主戦場になっていること。こうした学びを「基礎的素養」とし、それらの上に立って「自然」や「生きもの」と人間活動との新しい共生を目指すことは、本質的には「環境問題の発生防止」につながるあり方であるとも考えています。

当社の事業所がそれぞれに行う生物調査も少しずつ軌道に乗り、緑の質の向上をどのように図るかという方向性も整理されてきました。周囲の生物が利用しやすいように緑地の整備を始める、地域固有の種を段階的に導入する、「生態系被害防止外来種リスト」をもとに外来種管理を始める、希少種を適切に守る方法を考える、文化的サービスを積極的に享受して生きものとの共生への理解を深める方法を試す等、活動の中から生まれた複数の切口は、そのすべてを「方向性」の中に位置付けています。複数の方向性をそれぞれ深めることで「全員での主流化」につなげようとしています。ウェブサイトで公開中の観察された生物種のリストをもとに、地域の識者からの問い合わせもあり、そこから発展した情報交換や、課題解決の模索など、具体的な地域貢献も少しずつ形になってきました。この施策は、ISO14001の2015年改定対応とも結びつき、息の長い継続的な環境改善への取組として、成長、拡大、定着しようとしています。

伊丹製作所  環境施設課  田中 基寛 (1級ビオトープ計画管理士)

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