先端技術総合研究所と研究者の活動を紹介します。

2023年

【広報発表】「業界最高クラスの伝熱性能を実現した鉛直アルミ扁平管熱交換器を開発」の広報発表を行いました。

冷暖房用ヒートポンプ※1式空調機向けに、業界最高クラス※2の伝熱性能を実現した鉛直アルミ扁平管熱交換器(VFT※3熱交換器)を開発しました。

今回、開発した鉛直アルミ扁平管熱交換器は、鉛直上向きに延びるアルミ扁平管(VFT)と、二重管構造の高性能冷媒分配器を採用することで、より細径のアルミ扁平管を高密度に多数実装しながら冷媒を均等に行き渡らせることが可能となりました。これにより、従来の水平アルミ扁平管熱交換器と比較して、伝熱性能が最大で約40%向上し、さらに熱交換器の内容積を最大で約20%削減することで、熱交換器内部の冷媒量の削減も実現しました。

この他、独自の解析技術を用いて排水性を大幅に向上させた新構造のフィンも採用することで、暖房中の除霜運転時に霜が溶けた水が熱交換器から排出されずにフィン上で凍結し、熱交換器の通気を妨げて空調機能が低下するという課題を解決しました。 当社は今後、本技術の製品への適用を進めていくことで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。

◆開発者から◆
この開発は従来の熱交換器の形態を大きく変える開発でした。このため、熱流体の研究者だけではなく、製造や構造、品質など様々な分野の研究者・技術者の協力が必要不可欠でした。多くの仲間と協力し、お互い助け合うことで課題を解決し、世の中に変化をもたらす技術を開発することができ、とても嬉しく思います。

※1外気と屋内の間で熱を移動させることで、高いエネルギー効率で暖房や冷房したり、水を温めたりする機器

※22023年11月1日現在 当社調べ、冷房と暖房を行う定置の空調機において

※3VFT:Vertical Flat Tube

PDFが開きますニュースリリース 2023年11月01日
業界最高クラスの伝熱性能を実現した鉛直アルミ扁平管熱交換器を開発(PDF:1.4MB)

兵庫県立神戸高等学校で、「見上げた空を再現するライティング」の講義を行いました。

日経サイエンスと日本経済新聞社のご支援のもと、11月1日(水)に兵庫県立神戸高等学校で、「見上げた空を再現するライティング~サイエンスで人を『しあわせ』に~」の講義をデモを交えながら行い、計17名の生徒さんに参加していただきました。

講義では、ライティング開発のきっかけと社会の動き、青空の原理、開発内容、製品導入事例、人への影響評価、今後の展望などを紹介し、瓶の中のレイリー散乱体に白色LED光源の光を当てると、レイリー散乱された光が青く見えることを体験してもらったほか、試作品の青空照明を使って、森の昼空、海の昼空、朝・夕の空、夜空といった時の移り変わりの様子を実際に体感していただきました。

青空照明の青い空を見た瞬間は、「おおーっ!」というどよめきがあちこちであがり、製品の「misola」では雲を出せませんが、開発段階では雲の表現にもトライしたことを説明すると、「どうやって雲を作ったのか?」という質問や、エッジライト方式を採用して薄型化したという説明では「なぜ薄型にできたのか?」、「横から光を当てると、色が均一にならないのはどうしてか?」など、興味津々の生徒さんたちから数多くの質問が出ました。

また、講義後には、「まるで青空を切り取って、額縁に入れたみたいで感動した」、「日常の中の自分の興味・関心が、物作りにおいて本当に大きな役割を担うんだなと思った」、「今まで興味を持っていた分野とは異なったが、未来の自分像を考える上で非常に役に立った」、などの感想が寄せられました。

◆講師から◆
私たちの話を熱心に聞いてくださる姿、ご自身の意見・質問を臆することなくぶつけてこられる姿に大変感動し、私たちもパワーをいただきました。

◆関連情報◆
日経サイエンス 中高生が学ぶサイエンス講義
三菱電機先端技術総合研究所
神戸高校で「青空照明で再現」を講義

先端技術総合研究所 奥田悟崇さんと中根和彦さんが「産業標準化事業表彰」を受賞しました。

10月17日に都市センターホテルにて、経済産業省が主催する「令和5年度産業標準化事業表彰式」が行われ、先端技術総合研究所の奥田悟崇さんが「国際標準化奨励者表彰(産業技術環境局長表彰)」を、中根和彦さんが「IEC(国際電気標準会議)1906賞」を受賞しました。

産業標準化事業表彰は、国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)における国際標準策定、国内規格(JIS)策定や適合性評価活動といった、標準化活動に優れた功績を有する方、組織を表彰するものです。

IECの各委員会にて国際副幹事や国内幹事、エキスパートとして、国際標準策定や委員会運営を通じて、産業の発展・日本の発言力向上に貢献したことが評価されました。

【広報発表】「ヒトの脳サイズの撮像が可能な「磁気粒子イメージング装置」を開発」の広報発表を行いました。

1kHz以下の低周波でもヒトの脳サイズの領域の磁気粒子を高感度に撮像でき、電源装置の大型化を抑えた「磁気粒子イメージング装置」を世界で初めて※1開発しました。この装置を用いて、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβ※2に結合する磁気粒子を撮像することで、アミロイドβの蓄積量とその分布を測定でき、アルツハイマー病発症前の画像検査の実現に向け大きく前進します。

開発成果の詳細は、チェコで9月5日から9月9日まで開催された「WMIC(World Molecular Imaging Congress)」で発表し、高い評価を得ました。

本件は、岡山大学、大阪大学との共同発表で、AMEDの「医療機器等研究成果展開事業」の支援によって開発した成果です。

※12023年9月7日現在。三菱電機調べ

※2脳内で作られるたんぱく質の一種。脳内に蓄積されることで脳の認知機能の低下につながるとされる

PDFが開きますニュースリリース 2023年09月07日
ヒトの脳サイズの撮像が可能な「磁気粒子イメージング装置」を開発(PDF:1.1MB)

「全日本社会人バドミントン選手権大会」で中島祐月さんがベスト8入りしました。

9月2日~5日に、京都府で「第63回全日本社会人バドミントン選手権大会」が開催されました。中島祐月さんがダブルスでベスト8入りし、みごと12月の「第77回全日本総合バトミントン選手権大会」の本選出場権を獲得しました。「全日本社会人バドミントン選手権大会」においてダブルスでのベスト8は、中島さんが所属するバドミントン部「ダイヤモンドウイングス」チームにとって8年ぶりの快挙です。

中島さんは、平日の就業時間内は先端技術総合研究所で人事関係の業務をこなし、定時後にトレーニングを開始します。学生時代に比べるとトレーニング時間は短くなりましたが、課題を決め、しっかり考えて集中することで練習内容の質を上げ、確実にステップアップを図り、今回の快挙に繋げました。

「好きな言葉は精神一到(せいしんいっとう)です!」精神や神経を集中させれば、どんな難しいことでも成し遂げられるというのが、中島さんのモットーです。粘り強くミスをしないプレイの強みは、この言葉が支えています。

「チームとしてS/JリーグIIで優勝して、S/Jリーグ昇格を果たすこと」「全日本総合バドミントン選手権大会でベスト8に入ること」を目標に、中島さんは、今日もトレーニングに励みます。中島さんへのご声援をよろしくお願いします!

<2023年の個人成績・記録>

  • 09月17日 近畿総合選手権大会 ダブルス3位

先端技術総合研究所 中根 和彦さんが「IEC活動推進会議議長賞」を受賞しました。

2023年6月2日、先端技術総合研究所の中根 和彦さんが、IEC※1活動推進会議2023年議長賞を受賞しました。
本賞は、IECに係わる標準化活動に従事する方々のうち、最近の数年間において顕著な功績や貢献のあった個人およびグループに対して、IEC活動推進会議が表彰を行うものです。

中根さんは、IEC/SyC※2 Smart Citesの国際エキスパートおよび都市サービス継続分科会の副委員長として、災害時の大停電を防ぐためのIEC標準とガイドライン策定に貢献しました。国際会議での提案の説明や審議に中心となって対応すると共に、他国の貢献を引き出しつつ日本提案を通すことに成功し、本賞の受賞に至りました。

日本は、東日本大震災等の多くの災害を経験しており、その教訓を活かした対応ノウハウを社会に還元することが国際的に求められています。IECが担当する電気標準分野においては、中根さんらが標準化した、災害時の需要家側の電気継続のための規格※3が、この要請に応えるものとして期待されています。

※1International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議

※2Systems Committee:システム・コミッティ

※3IEC 63152(2020年7月発行)とIEC SRD(Systems Reference Deliverable:システム・リファレンス・デリバラブル) 63152-2(2022年12月発行)

【広報発表】「新チップ構造によりパワーモジュールへのSBD内蔵SiC-MOSFETの適用を実現」の広報発表を行いました。

5月31日にサンプル提供を開始した鉄道車両・直流送電などの大型産業機器向け3.3kVフルSiC※1パワーモジュール「FMF800DC-66BEW※2」において、新構造のSBD※3内蔵SiC-MOSFET※4を適用しました。

パワーモジュール内の並列接続されたチップ構造において、サージ電流が特定のチップへ集中するメカニズムを世界で初めて※5解明し、すべてのチップが一斉に通電を開始してサージ電流が各チップ内全域に分散する新チップ構造を開発しました。
これにより、サージ電流耐量を当社従来技術と比べて5倍以上に向上し、従来のSiパワーモジュールと同等以上のサージ電流耐量が得られたことで、パワーモジュールへのSBD内蔵SiC-MOSFETの適用を実現しました。

今後、本技術を適用したSiCパワーモジュールにより、鉄道車両用推進制御装置の小型化、省エネルギー化に貢献します。さらに、電力変換器の高効率化・小型化により、交流送電に対して送電ロスが小さい直流送電の普及促進に寄与し、カーボンニュートラルの実現に貢献します。

開発成果の詳細は、香港で5月28日から6月1日に開催された「ISPSD※6 2023」で、5月31日(現地時間)に発表しました。

※1Silicon Carbide:炭化ケイ素

※22023年5月8日広報発表:

PDFが開きます関連ニュースリリース 2023年05月08日(月)半導体No.2304
「SBD 内蔵 SiC-MOSFET モジュール」サンプル提供開始(PDF:407KB)

※3Schottky Barrier Diode:半導体と金属の接合部に生じるショットキー障壁を利用したダイオード

※4Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体製の電界効果トランジスタ

※52023年6月1日現在、当社調べ

※6International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs:パワー半導体に関する国際会議

PDFが開きますニュースリリース 2023年06月01日(木)開発No.2305
新チップ構造によりパワーモジュールへのSBD内蔵SiC-MOSFETの適用を実現(PDF:938KB)

G7 群馬高崎デジタル・技術大臣会合「デジタル技術展」へ遠隔操作デモ装置を出展しました。

4月28日から4月30日まで群馬県高崎市で開催されたG7デジタル・技術大臣会合に併設される形でデジタル庁・総務省・経産省主催の展示会が開催されました。この展示会は、国内のICT技術などを海外閣僚へアピールし、今後の国際展開や国際連携を促進することを目的としています。

先端技術総合研究所からは、遠隔操作デモ装置を出展しました。この装置は、昨秋に開催されたCEATEC2022に出展した遠隔操作の体験デモ装置に加え、新たに開発したスマートフォンで移動台車の移動および移動台車に搭載されたロボットアームの手先位置とハンド操作を行えるデモです。

河野デジタル大臣をはじめとする国内外の多くの閣僚に遠隔操作と、スマートフォンで操作したロボットアームから花束を受け取るデモを体験していただき、シンプルで直感的な操作性に好評を得ました。さらに幼いお子様を含む一般の来場者の皆様にもゲーム感覚で体験していただくことができました。

【アーカイブ】G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合(外部サイト)新しいウィンドウが開きます

CEATEC2022 | 三菱電機

PDFが開きます日刊工業新聞 三菱電、分身ロボ事業化へ 「個の挑戦」会社動かす(PDF:194KB)

【広報発表】三菱電機と東京工業大学が「三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点」を設置しました。

三菱電機株式会社(以下、三菱電機)と国立大学法人東京工業大学(以下、東京工業大学)は、4月14日に東京工業大学 大岡山キャンパスにて「三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点」設置に関する調印式を実施しました。

協働研究拠点では、両者の強みを活かし、電力・熱・化学物質などのエネルギー・物質視点での環境価値取引を含むエネルギー&カーボンマネジメント、カーボンリサイクルなどのGX関連技術、および、未来価値洞察・技術トレンド分析による新技術の探索・創出活動に取り組んでいきます。

本協働研究拠点で得られた研究成果やビジネスモデルをもとに、エネルギー、カーボンリサイクルなどさまざまな分野での社会実装を目指した活動を推進し、エネルギー面での制約を満たしつつ、経済的な負担を軽減して社会システムとして受容性と経済性が両立する仕組みを考察し、「人、経済、そして未来に優しいカーボンニュートラル社会の実現」を目指した研究開発に取り組んでいきます。

PDFが開きますニュースリリース 2023年04月14日(金)
三菱電機と東京工業大学が 「三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点」を設置 (PDF:366KB)

三菱電機と「三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点」を設置 人、経済、未来に優しいカーボンニュートラル社会の実現に貢献 | 東工大ニュース | 東京工業大学新しいウィンドウが開きます

【広報発表】「霜取りに冷媒の凝縮潜熱を活用した寒冷地向けノンストップ暖房技術」が第57回機械振興協会会長賞を受賞しました。

一般財団法人 機械振興協会が主催する「第57回(令和4年度)機械振興賞」において、「霜取りに冷媒の凝縮潜熱を活用した寒冷地向けノンストップ暖房技術」が、「機械振興協会会長賞」を受賞しました。

同賞は、機械工業技術の進歩・発展に著しく寄与したと認められる企業・大学・研究機関および研究開発担当者を表彰するもので、一般財団法人機械振興協会が主催しています。今回、霜取り中にも屋内の暖房を継続し、温風温度を低下させない快適暖房を実現したことが高く評価されました。

PDFが開きますニュースリリース 2022年12月23日(金)開発No.2222
「第57回(令和4年度)機械振興賞」を受賞(PDF:463KB)

【広報発表】「電力用絶縁開閉装置のSF6ガス使用量を削減する環境負荷低減技術の開発」が第70回電気科学技術奨励賞を受賞しました。

11月25日(金)に学士会館にて、第70回電気科学技術奨励賞の授賞式が行われました。

本賞は、(財)電気科学技術奨励会が電気科学技術に関する発明、改良、研究、教育などで優れた業績を挙げ、日本の諸産業の発展および国民生活の向上に寄与し、今後も引き続き顕著な成果を期待できる人を表彰するものです。

「電力用絶縁開閉装置のSF6ガス使用量を削減する環境負荷低減技術の開発」では、電極間に発生するアーク放電に吹き付ける高圧ガスのノズルの一部にアーク冷却材を採用、ガス圧力を高めて吹き付けることで、一気にアークを冷却・消滅させます。これにより従来比で電流遮断性能を25%向上させ、開閉装置の遮断ユニットを従来の2つから1つに削減することで小型化とSF6ガスの使用量を半減できます。

PDFが開きますニュースリリース 2022年11月08日(火)開発 No.2218
令和4年度「第70回電気科学技術奨励賞」を受賞(PDF:335KB)

XPRIZE / AVATAR FINALにおいて、先端総研の春名さんが率いるLAST MILEチームが世界820チーム参加中12位(日本最高位)を獲得しました。

2022年11月1日~11月6日にアメリカ ロサンゼルスで開催されたXPRIZE / AVATARグローバルコンペFinalで、三菱電機の春名さん、森田さんと関西大学の荻野先生、田頭先生らで結成した共創チームが12位を獲得しました。

XPRIZE / AVATARは、世界の課題解決を飛躍的に加速させることを目的としたコンペを主催する財団であるXPRIZE※1に、ANAが懸賞金を出資することで2018年にスタートしました。コンペの主眼は遠隔での体験共有であり、リモートマニピュレーションとリモートコミュニケーションの両立が必要とされました。

同コンペには820チームが参画し、多くのチームが高価で大型な人型ロボットを披露しました。そんな中、三菱電機は安価な非人型ロボットと非立体視での操作インターフェース※2からなるシステムで挑み、日本最高位の12位を獲得しました。

出場により、「誰でも簡単に利用できる」というコンセプトがユニークなものであることを再確認できました。今後も手を取り合える世界の実現に貢献します※3

決勝戦のイメージ動画
ANA Avatar XPRIZE Finals Testing – YouTube新しいウィンドウが開きます

PDFが開きます日刊工業新聞
三菱電、分身ロボ事業化へ 「個の挑戦」会社動かす(PDF:194KB)

遠隔操作関連URL集
テレプレゼンスロボット×VISUAL HAPTICS[視覚的力触覚] | イノベーションギャラリー | METoA Ginza ウェブサイト新しいウィンドウが開きます

東大UMP-JUSTと共同でハッカソンを開催しました。

2023年3月18日(土)、19日(日)の2日間、東大UMP-JUSTと共同でハッカソンを開催し、先端技術総合研究所のメンバーが参加しました。

テーマは『三菱電機の赤外線熱画像IoTセンサー『MelDIR』を活用して、新アイデアの創造、実装をしてみよう。』 

学生23名、三菱電機12名の合計35名の参加者により編成された7つの学生&社会人混成チームが、年齢や立場、専門の違いを越えてアイデアを出し合い、互いに協力して実装まで行い、アイデアと技術を競いました。

UMP-JUST(東京大学情報理工学系研究科 教育・研究サポーター組織)サイト新しいウィンドウが開きます