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自律型セル生産ロボットシステム

“運ぶ”から“組み立て”へ、
知能化ロボットが活躍する近未来の生産現場。

第47回 市村産業賞 貢献賞を受賞しました。
変種変量生産を行う「セル生産ロボットシステム」を構築し、設置面積削減、システム立上時間の短縮、生産効率と品質の両立を実現したことが評価されました。

技術紹介

先端技術総合研究所
 堂前 幸康/永谷 達也/白土 浩司
先端技術総合研究所
堂前 幸康/永谷 達也/白土 浩司

セル生産の普及に応える次世代の産業用ロボット。

さまざまな分野の製造現場において、欠くことのできない存在となった産業用ロボット。少品種大量生産からユーザニーズの多様化に応える変種変量生産へと時代は変わり、ベルトコンベアを利用して流れ作業で製品を組み立てる「ライン生産方式」に対し、一人あるいは数人で製品を組み立て、変種変量生産に対応する「セル生産方式」がいまのトレンドになっています。今後さらに普及するであろうセル生産において、いかに産業用ロボットを有効に活用するか。その答えが自律型セル生産ロボットシステムです。三菱電機では国立大学法人京都大学との産学連携により、2005年から開発をスタート。生産の効率化はもとより、高齢化社会により就業人口が減少する日本の課題に応える技術として、実用化に向け研究を続けています。

自律型セル生産ロボットシステム

運ぶから製品組み立てへ、ロボットの活用範囲を拡大。

小型の電機製品や電機部品を製造する生産ラインにおいて、従来の産業用ロボットは部品を搬送する、部品を加工機にセットするなど、マテリアルハンドリングと呼ばれる"運ぶ"作業を担ってきました。それに対して自律型セル生産ロボットシステムは、人に代わって製品を"組み立てる"という、まったく新しい領域のロボットです。しかし従来の手法では動作プログラミングに膨大な時間を要する、ロボットは決められた動作しかできず小さな状況変化にも対処できないなど、難題が数多くあります。それを解決するキーワードがロボットの知能化です。自律型セル生産ロボットシステムはセンサーなどから得た情報をもとに自ら判断する・経験から学ぶ・作業を習熟する、いわば人に近い知能を持ったロボットです。実用化されれば些細なトラブルはロボット自身が解決し、その都度生産ラインを止めずにすみます。またプログラミングの簡素化で生産する機種が変わっても即座に対応できるなど、ロボットによるセル生産が可能になるのです。


開発NOTE

自律型セル生産ロボットシステム

まず部品を正確に掴む、組み立てロボットへの第一歩です。

生産現場のニーズを実現する「即戦力ロボット」を目指して開発を進めています。そのひとつが無造作に箱に入れられた部品を正確に掴む、バラ積み部品の取り出しです。現在は産業用ロボットが掴みやすいように、使用する部品をあらかじめトレーに整列して並べておく必要があり、これでは余分な人手が必要になります。産業用ロボットは本来、省人力化のためのFA機器です。自律型セル生産ロボットシステムでは、アームの先などに装備した3次元ビジョンセンサーによる計測データから、部品ひとつひとつの置かれている向きや掴みやすい場所などを算出し、最適な掴み方を選びます。バラ積みされた部品を掴む、これひとつをとっても従来の産業用ロボットにはできなかった作業であり、人によるセル生産からロボットによるセル生産への重要な第一歩でした。この3次元ビジョンセンサーは2013年に製品化し、生産現場で利用されています。

自律型セル生産ロボットシステム

変種変量生産のためには、立ち上げ時間短縮が課題です。

変種変量を生産する現場では、今日と明日とでは違う機種を作るといったケースがままあります。ロボットの動作は、立ち上げ作業時にティーチングボックスと呼ばれる動作指示の端末を使ってプログラミングし動作を記憶させますが、部品ひとつをはめ込む動作を教えるにしても、現状では調整作業にとても手間がかかります。その時々で生産する機種が変わるセル生産工場へのロボット導入を広めるには、機種の切替えに迅速に対応できる立ち上げ時間の短縮化が重要なテーマなのです。調整作業を軽減するために、組み立て作業のプログラミング方法の革新や、ロボット自身が環境変化や作業対象の配置ずれに自律的に対応する方法など、試行錯誤の毎日です。ロボットに製品のCADデータを入力するだけで組み立て手順などをロボット自身が判断し、作業中には3次元ビジョンセンサーや力覚センサーの情報を活用して失敗が起きても自らやり直す、まさに自律型産業用ロボットを目指しています。なお、力覚センサーを活用した力覚制御パッケージは2011年に製品化し、生産現場で幅広く応用されています。

当社の技術と京都大学等との学術的知見を共に活かし、実用化へ取り組んでいます。

今回の開発は京都大学等との産学連携によるものです。現在は社内に専用の研究室を設け、学生インターンと三菱電機社員が日々共同で研究を続けています。これは当社にとってもまったく初めての試みです。ロボット開発には実にさまざまなジャンルの技術が必要になります。その中で特にロボットが状況に応じて自らの行動を決定する行動計画分野において、機械理工学から航空宇宙工学まで、研究室の垣根を越えて多くの方々に参画いただいています。当社が産業用ロボット開発で培ってきた技術とノウハウ、大学の豊富な学術的知見、その両方が自律型セル生産ロボットシステムの開発には不可欠なのです。エラーリカバリーをはじめとするロボットの知能化などの課題も残されていますが、今後も一歩一歩着実に実用化を進めていく所存です。


表彰実績

第47回 市村産業賞 貢献賞を受賞

「自律型セル生産ロボット」にて、第47回 市村産業賞 貢献賞を受賞しました。

2014 R&D100 Awardsを受賞

「MELFA-3D Vision」にてR&D Magazine社、2014 R&D100 Awardsを受賞しました。

[ニュースリリース]
2014年8月6日 MELFA-3D VisionとセンサレスサーボがR&D100Awardsを受賞

第5回ロボット大賞 日本機械工業連合会会長賞を受賞

「知能化組立ロボット“Fシリーズ”」にて経済産業省 第5回ロボット大賞 日本機械工業連合会会長賞を受賞しました。

モノづくり連携大賞 特別賞

「自律型セル生産ロボットシステムの研究開発」にて、国立大学法人京都大学大学院、工学研究科とともに、日刊工業新聞 第7回モノづくり連携大賞 特別賞を受賞しました。


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