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超高精細テレビ(UHDTV)用超解像技術

フルHD映像を4K対応テレビで、よりシャープに美しく再現。


技術紹介

次世代の高画質テレビを見すえた超解像技術。

テレビの大型化・高画質化が進み、フルHDの4倍の解像度(水平3840×垂直2160ピクセル)を持つ「4K対応テレビ」が一般家庭に普及しつつあります。また、2014年6月からは4K試験放送が開始され、2016年にはさらに4倍の解像度の8K試験放送が予定されており、テレビの解像度は、より高精細化が進んでいくと予想されます。

一方、家庭で視聴している地上デジタルテレビ放送やブルーレイディスクなどのコンテンツは、まだまだフルHDの解像度(水平1920×垂直1080画素)が中心で、そのまま4K対応テレビに映したのでは、テレビの持つ高い表現力や解像感を十分に活かすことはできません。その課題を解く鍵となるのが今回の「超高精細テレビ(UHDTV)用超解像技術」です。

  • UHDTV(Ultra High Definition Television):現行のフルHDより高解像度のテレビ。4K(3840x2160)と8K(7680x4320)の2種類が定義されている。
多重解像度解析技術
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"ぼやけ"解消に必要な高周波成分を推定して、拡大画像に合成。

フルHDの映像を4K対応テレビに映す場合、映像を4倍に拡大して表示することになります。しかし単に4倍もの大きさに拡大したのでは、映像が"ぼやけ"てしまいます。その"ぼやけ"を低減するために多重解像度解析技術を応用した「超高精細テレビ(UHDTV)用超解像技術」を開発しました。この技術でポイントになるのが映像に含まれる高周波成分です。高周波成分には映像のエッジ(輪郭)の情報が主に含まれており、高周波成分が不足すると"ぼやけ"の原因になります。多重解像度解析技術では、まず入力ソースであるフルHD映像とフルHD映像を縮小した映像、それぞれから高周波成分を抽出し、同じ映像でも大きさが異なると高周波成分にどのような違いがでるか解析します。その結果を今度は同じように大きさの違うフルHD映像と4K対応テレビのケースに置き換え、拡大表示で不足するであろう高周波成分を推定し、必要な高周波成分を合成します。「超高精細テレビ(UHDTV)用超解像技術」はこのような画像処理を毎秒60フレームのフルHD映像に対してリアルタイムで行い、4K対応テレビの表現力を活かすシャープで美しい映像を実現します。


開発NOTE

先端技術総合研究所 山中 聡
先端技術総合研究所
山中 聡

多くの人に高画質を楽しんでもらうために、安価なハードウエアで実現しました。

この超解像技術の大きな特長のひとつは、安価なハードウエアでリアルタイム処理を実現している点にあります。外部メモリーや高性能プロセッサなどの高価なハードウエアを使用すれば、よりスムーズに同様の処理を行うことができるかもしれません。しかし技術としては完成しても、実用化さらには一般家庭向テレビなどへの普及を考えたとき、高価なハードウエアの使用は弊害になりかねません。外部メモリーを使わないことは開発スタート時から決めていました。きれいな映像をより安価に、より多くのユーザーに楽しんでもらうためです。超解像技術ではそれを実現するために、1フレームの映像をいくつかの領域に分け、領域毎に順次画像処理するという方法を採用しています。1フレームの映像全部を一度に処理しようとすればデータ量が多くなり、外部メモリーが必要になるからです。

超解像技術イメージ
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大量のデータをいかに高速で処理するかが課題でした。

今回の技術は、現在すでに当社のカラーテレビに搭載されている「DIAMOND HD」という技術がベースになっています。「DIAMOND HD」はアナログ放送などの低解像度映像をフルHDテレビで鮮明に再現するためのものです。この超解像技術は「DIAMOND HD」と同じアルゴリズムによるものです。「DIAMOND HD」の開発はひとことで言えば"ノイズとの戦い"でした。高周波成分を増やすことで意図しないノイズが発生し、それを消すために約半年間も試行錯誤が続き、あきらめかけたこともありました。また4K対応の技術開発は"データ量との戦い"だったと言えるかも知れません。低解像度映像をフルHD用にアップコンバートする「DIAMOND HD」に比べ、フルHD映像を4倍の解像度にアップコンバートするのは処理するデータ量が何倍も違います。膨大の映像データをタイムラグなく、リアルタイムで処理するためにはLSI設計を大幅に見直す必要がありました。

ユーザーの厳しい目に応えるために、技術レベル向上に努めました。

私たちのグループのミッションは、端的に言えばテレビの画質をいかにきれいにするかです。きれいにすると言っても解像度を上げる、ノイズを減らす、色の再現性を上げるなど、さまざまなアプローチがあります。いままでも多くの技術開発に携わってきましたが常々感じているのは、ユーザーの目は本当にシビアだということです。どんなにその技術が効果的であっても、それによって少しでも絵がくずれるなど、マイナスの要素があればユーザーは評価してくれません。今回の超解像技術の開発にあたっても、ユーザーの厳しい目に応えるにはどうすればよいかを常に意識し、妥協することなく開発を続けてきました。この技術は現時点でも十分に実用化できるレベルに達していますが、よりきれいにというミッション実現のために、さらなる改良に取り組んでいます。


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