高ピーク短パルスレーザによる微細穴加工で、
デジタル機器の高機能化を支えます。

概要

次世代通信の普及、自動車のIT化、スマートフォンの小型化などが進むにつれて、高密度なプリント基板の需要が増えています。プリント基板の高密度化には、回路を幾層にも積み重ねたビルドアップ基板が用いられています。

プリント基板穴あけ用レーザ加工機はビルドアップ基板の層間の電気的な接続を担う微細な穴をレーザであける装置です。1秒間に7,000穴※1の速さで正確に穴あけが行えます。光学、機械設計、制御、パワーエレクトロニクス、材料など幅広い分野で培った三菱電機の技術が随所に使われており、その優れた性能から世界各国で広く採用されています。

概要

技術ポイント

高ピーク短パルスCO2レーザ発振器

レーザ加工機の要はレーザビームを出射するレーザ発振器です。独自の高ピーク短パルスレーザビームを生み出すCO2レーザ発振器が当社の強みです。

「高ピーク短パルス」とは瞬時に高いパワーのレーザを照射できることを意味します。高ピーク短パルスレーザの場合、レーザ照射部だけが一瞬で加工され、周囲への熱影響が小さいため、きれいな穴をあけることが可能です。また通常、銅はレーザを反射するため穴あけが困難ですが、高ピーク短パルスレーザなら基板表面の銅箔を貫通して一気に加工することも可能です。

安定したレーザ発振を行うためには、放電技術と電源技術が必要です。高電圧を繰り返し放電できる特殊なパワーエレクトロニクス技術のバックボーンが当社にあるからこそ、プリント基板の穴あけ加工に最適な高ピーク短パルスCO2レーザ発振器の開発を実現できました。

高ピーク短パルスCO2レーザ発振器

高速ガルバノスキャナ

レーザ発振器から出射されたレーザビームをプリント基板上の適切な照射位置に高速に走査するのがガルバノスキャナです。ガルバノスキャナはモータの先端にミラーが付いたアクチュエータであり、2個のガルバノスキャナのミラーの回転角度を制御することで、プリント基板の2次元平面内のレーザビームの照射位置が決定されます。ガルバノスキャナは1秒間に数千回ものレーザビームの位置決めができ、本レーザ加工機の高速加工を実現するキーパーツです。

さらなる高速化の需要に応えるために、シャフトの軽量化・高剛性化、モータ内部のコイルや磁石の改良など、機械、電気、材料など当社が保有する幅広い分野の知識を結集させ、ガルバノスキャナの機械特性や熱特性の向上を目指し、開発を継続しています。

高速ガルバノスキャナ

高性能fθレンズ

ガルバノスキャナで走査されたレーザビームはfθレンズを通すことで、小径に集光しながらプリント基板に対して垂直に照射できるようになります。

fθレンズは複数枚のレンズからなる組レンズであり、製造には高い技術力が必要です。光学機器メーカ並みの高度なレンズ設計技術と超高精度な加工技術を自社で保有している当社では高性能fθレンズの内製化を実現しています。 fθレンズは直径数十µmの微細な穴を正確な真円に安定して加工するために欠かせないキーパーツです。

高性能fθレンズ

高精度制御技術

本レーザ加工機の性能は、例えるなら100m先のパチンコ玉を1秒間に数千個射抜くレベルであり、高度な制御技術が必要になります。当社には工作機械の頭脳であるNC(数値制御)装置で培った技術があり、基板穴あけレーザ加工機にも応用されています。4本のレーザビームを同時に位置決めする技術や、レーザビームを渦巻状に回しながら加工してビーム径より大きな径の穴を得る技術(トレパニング)など、用途に応じて様々な加工を行うことが可能です※2

さらに静止しているプリント基板だけでなく、加工テーブルとともに移動中のプリント基板に対しても高精度なレーザ穴あけを行うSynchromテクノロジーという技術を開発し、高速かつ高精度な加工を実現しています。これらの開発には制御用のハードウェアとソフトウェアを独自開発できる強みが活かされています。

高精度制御技術

※1生産性は機種や加工内容によって異なります。

※2加工モードは機種等によって異なります。

SDGsへの取組

  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGsとは?