コラム
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2003年 10月分 vol. 1
火星の次の天文ショーは「二つのほうき星」。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


1997年4月、シャトルから撮影したヘール・ボップ彗星と地球。宇宙から二つの彗星はどんな風に見えるでしょうね。(提供:NASA)  9月29日、NASAから「火星の季節が変わる」とメールが届いた。火星の北半球は冬に南半球は夏に向かおうとしているらしい。火星の自転軸は25度傾いているので、地球と同じように季節があるのだ。しかも地球の北半球もこれから冬。タイミング的に近いですね。火星では南半球が暑くなってきたために、夏ごろは白い帽子をかぶっているように見えたドライアイス大陸「極冠」はかなり小さくなってきている。

 これからの火星の注目点は「砂嵐」。南半球の夏は砂嵐の季節。火星には非常に薄い大気しかないのに、小さなダストの雲がどんどん成長して、時には火星全体を覆う砂嵐に成長することもあるほど。2001年にも大きな砂嵐が観測されたし、1971年12月には火星探査機マルス3号が砂嵐の真っ只中に着陸後、すぐ通信途絶してしまった。今まさしく、各国の探査機が火星に向かっているところだから、ちょっと心配。

 まだまだ見逃せない火星だけど、だんだん小さくなるのが名残惜しくもある。そんなアナタに朗報です。2004年にも私たち俄か天文ファンのための「世紀の天文ショー」が用意されております。それは「ほうき星」。しかも大型彗星が一挙に2つ! 地球に向かって飛んできていますよ~。

 注目のほうき星は「ニート彗星(C/2001 Q4)」と「リニア彗星(C/2002 T7)」。ニート彗星は2001年8月に、リニア彗星は2002年10月にそれぞれ発見されたが、順調に明るさを増してきており、肉眼で見える1等星クラスの大型彗星になると期待されている。しかも地球に接近し、明るく見える時期がかなり近い。

 リニア彗星は2004年4月末に、ニート彗星は2004年5月中旬に太陽に最も接近する。5月上旬には「夕方の西の空低く」ニート彗星が、「明け方の東の空低く」リニア彗星が見える予想。この時期、北半球ではどちらの彗星も水平線から10度ぐらいの低い空に見えるので、できれば南半球に飛びたい。空に長く尾をひく二つの大型彗星の競演を、例えばオーストラリアの砂漠にねころんで、カンガルーと一緒に見ることができたら・・・最高! きっと来年のGWは南半球の彗星ツアーが大人気になるはず。さっそく手をうっておきましょうね。