コラム
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2005年 3月分 vol.2
野口飛行士、宇宙遊泳で使う「道具」って?
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


NASAジョンソン宇宙センターの巨大なプールで船外活動訓練中の野口聡一宇宙飛行士。ピーンと張られているのは、命づな。国際宇宙ステーションに必ずつなげておく。胸には道具がいっぱい。(提供:NASA)  近づいてきましたね〜。スペースシャトルの打ち上げ。コロンビア号事故から2年3ヶ月ぶりの飛行再開に、日本人宇宙飛行士・野口聡一さんが乗り込む。フロリダ州のNASAケネディ宇宙センターでは5月15日(米国時間)の打ち上げをターゲットに組み立て作業が続いていて、この3月末には、VAB(シャトル組み立て棟)から組みあがったディスカバリー号が姿を現し、発射台に向けて運ばれる予定になっています。

 野口さんは12日間の飛行期間中、3回、スペースシャトルの外に出て船外活動(EVA)を行う予定。EVAでは、シャトルの損傷を宇宙で修理する技術の試験を行ったり、国際宇宙ステーション(ISS)の姿勢をコントロールする装置を交換したりなどの作業を行いますが、無重力の宇宙空間で何種類もの道具を使い分け、効率よく安全に作業するために、野口さんはNASAジョンソン宇宙センターの巨大なプールの中でEVA訓練を繰り返しています。以前、野口さんにEVA訓練の意義についてインタビューした時は「自分の筋肉を使って汗をかいて、体に作業を覚えさせるんです。我々はマッスルメモリーと呼んでます」と言われていた。実際の宇宙では、宇宙服に背負っている酸素の量に限りがあるし、もたもたしている時間はない。頭より先に身体が動くように、何度も訓練する。同じ作業をするのでも、飛行士によって道具の使い方や手順に個性が出るそうです。

「うちゅうへいこう」取材・文:林公代、監修:JAXA、世界文化社発行。定価1000円+税。野口さんの小さい頃の写真、絵や、飛行士になってからの訓練風景、ISSや宇宙での生活等を紹介。宇宙服や道具はかなりマニアック。  EVAの道具を、JAXA筑波宇宙センターで見せて頂いたことがある。センター内にも直径16m、深さ10mの円筒形のプールがあって、ISS日本実験棟きぼうの模型を沈めて試験や訓練を行うため、宇宙服や道具がそろっているのだ。色んなものがありましたよ。例えば宇宙服の胸のところにとりつけるミニワークステーションは、「お道具箱」のようなもの。たくさんの道具を整理整頓してぶら下げておく。それから形状や長さ・太さが異なる様々なタイプの、ひも。自分をつないでおかないと宇宙に飛んで行っちゃうし、道具も一つ一つつないでおかないとふわふわ漂っちゃう。宇宙飛行士は「ひもだらけ」と言ってもいいぐらい。それから胸には「ゴミ箱」。小さなゴミもしっかりゴミ箱の中に。

 この取材で撮影した道具や宇宙服、そして野口さんの宇宙ミッション全体をたくさんの写真とともに紹介した科学絵本「うちゅうへいこう」が、世界文化社から出版されました。(取材・文章を私が担当させて頂きました。)野口さんが自分のお子さんに話しかけるように、日本の子ども達に向けて書いて下さった手紙をもとに構成しています。本の中ほど、観音開きのページにはどーんと宇宙服全体の写真。こんなにマニアックに、かつ楽しく宇宙服を紹介しているのは、大人の本も含めて初めてかも。お子さんと一緒に楽しんで下されば嬉しいです。

 野口飛行士の船外活動中、宇宙服や野口さんの身体の使い方にも注目してみて下さいね。


野口宇宙飛行士に聞く『シャトル再開』(2004年2月ムービー)

野口宇宙飛行士のミッション紹介ページ
http://sts-114.jaxa.jp/