コラム
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2005年 3月分 vol.3
野口飛行士の「一番○○なこと」
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


NASATV(NASA製作の動画番組)でリアルタイムで野口飛行士に2時間のインタビュー枠が設けられ、DSPACE含め約11社が10分ずつ交代でインタビュー。私は自宅のPCでNASATVを見ながら電話で野口さんとお話しました。  スペースシャトル・ディスカバリーの打ち上げ予定日まで約2ヶ月をきった3月17日早朝(日本時間)、野口飛行士へのインタビューが実現。「準備状況? 気持ちとしては八合目だけど、これからが大変なんですよ。」これから打ち上げまで、ラストスパートをひた走る野口さんに、2003年2月のコロンビア号事故の後に感じた「一番○○なこと」を伺いました。

― 一番感動したことは何ですか?

O
日本の皆さんから応援して頂いたこと。我々自身、やりがいのある仕事だと思って続けているわけですけど、日本の皆さんからも「飛行再開までがんばって続けてください」、「事故でくじけずに将来に向かって下さい」と励ましの言葉を頂いて、本当に嬉しかったです。

― 一番辛かったことは、辛かった時期を話していただけますか?

O
事故直後は本当に辛かったのですが、亡くなった飛行士の御家族のケアで奔走してました。自分自身が辛くなったのはしばらく経ってから。去年の夏ぐらいが一番辛くて、事故から約1年経ってなかなか先が見えない。事故前からずっと一緒にやってきた人たちが徐々に離れる時期でもあって、本当に続けていられるのかなと寂しい思いになった時期もありましたね。新しいミッションに向けての体制が徐々に立ち上がって、気持ちを切り替えて、今に何とか至っているかなと思う。

― 宇宙飛行のご自分の担当で、一番、手こずりそうな仕事はなんでしょう?

O
船外活動(EVA)ですね。私が主担当なのでとにかく安全に終了させること。相棒のロビンソン飛行士と仕事をしますが、最後のEVAが終わったら私がハッチ(出入り口のドア)を閉めるんです。ハッチを閉めて二人とも怪我なく船内に帰ってくれば、私の任務が終わると思っている。

― では、宇宙で仕事以外に一番楽しみにしていることは?

O
へへ。日本の食料品をもっていくんです。カレーライスとかラーメンとか。それと日本のお菓子。アメリカ人とかロシア人のクルーとみんなで楽しめればいいなと。

― へぇー。お菓子ってどんなものですか?

O
えっとね。和菓子、干菓子のようなものと最近のお菓子、チョコレート菓子。日本のチョコレートはアメリカ人がスゴイ好きなんで。きっと大好評だと思いますよ。

― 野口さんにとって一番大事なもの、宝物はなんですか?

O
家族です、やっぱり。反省も含めて・・・訓練に次ぐ訓練で家族第一という生活にはなっていないのでね。子ども達も随分フライトに興味を持って、楽しみにしてくれているようです。もちろんコロンビア号事故直後は不安だった時期もあるんですが、事故が起きないように今何をやっているのか、シャトルがどう変わっているのかを、わかりやすいように話すことで、不安を一つ一つ取り除くことができているかなと思います。

― ミッションで、注目してほしいところは?

O
一日ごとにハイライトがあります。ISSは非常に大きな宇宙船。そこで色々な活動をしている姿を見てほしいし、実際に宇宙空間に出て見た地球の姿を伝えたいです。EVAの宇宙服のヘルメットにはビデオカメラもついているので、私が宇宙で見ている世界を、地上でもリアルタイムで体験できます。楽しんで頂ければと思っています。

 「最後の最後まで力を出し切りたい」という野口さんの責任感と強い意志、そして緊張感をほぐす柔軟さがうまーくブレンドしてる感じが伝わってきたインタビューでした。ところでこのインタビュー、NASAのリリースから実現まで数日間で、NASAから取材前日に「明日の朝○時でいい?」と突然電話があったりと忙しい企画だったけどNASA担当者もとってもオープンでいい感じ。NASA全体のやるぞ! という勢いそのままの、非常に面白い企画でした。


野口宇宙飛行士に聞く『シャトル再開』(2004年2月ムービー)

NASA TV
http://www.nasa.gov/multimedia/nasatv/index.html