コラム
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2005年 9月分 vol.1
マレーシア人宇宙飛行士 選抜テストはランニングから
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


2007年10月にマレーシア人が訪れる予定の国際宇宙ステーション。この10月に米国人のオルセン氏が3人目の旅行者として訪問。ツーリストも今後増えるでしょうね。(NASA)  マレーシアは、2007年10月にロシアのソユーズロケットに宇宙飛行士一人を乗せて国際宇宙ステーションに打ち上げる計画だ。現在、約900人近くいる応募者をこれから選抜していくが、最初のテストは3.5kmを20分で走ること。2006年初めには5~10人まで候補者を絞り込み、ロシアでの医学検査を受けることになる。

 宇宙飛行士に応募するための条件は、21歳以上で大学の学位をもっているか、プロのパイロットのライセンスを持っていること。2003年末には11,275人が登録した。だがその大部分は条件を満たしていなかったという。現在残っている候補者の98%は40歳以下で女性も約120人いる。「エリートよりもむしろ、様々な人と交流し若者に影響を与えるような人物が好ましい」と考えているそうだ。

 8月下旬に選抜テストは開始されたが、最初のテストはマレーシアの東海岸、クアンタンにある軍基地でのランニングから始まった。3.5kmを20分以内に走る条件をクリアするために、参加者の中には毎日10kmの走り込みをして備えた人もいたという。9月にはマレーシア内の5箇所で同様のテストが行われる。その後、心理学的なテストや医学検査などを経て5人から10人を2006年初めにロシアに送り、約3週間の詳細な医学検査を受ける。

 最終的には2人の宇宙飛行士が選ばれるが、国際宇宙ステーションに行くのは一人で、もう1人はバックアップクルーになる。約1週間の科学ミッションを予定している。この宇宙計画は2500万ドルと見積もられるが、2003年8月にマレーシアはロシアから9億ドルで18機の30MKM型戦闘機を購入する契約を結んでいて、その取引の一環としてロシアはマレーシア人を宇宙に送る。

 選ばれた宇宙飛行士は、約1週間の科学ミッションに、マレーシアのポピュラーな朝食「roti canai(ロティ・チャナイ)」(小麦粉と卵で作った生地にバターを加えながら折りたたんで焼くパン)と「the tarik(テ・タリ)」(甘いミルクティ)を持っていって食べたり、バティック(インドネシアのろうけつ染めの布)を着たりする。

 マレーシアの科学技術大臣は、最近「2020年までにマレーシア人を月に送りたい。」という発言もしている。そのためには、何人かのマレーシア人宇宙飛行士を宇宙に送りたいと考えているようだ。2003年に続いて、中国の2度目の有人宇宙飛行もこの9月に行われるという情報もあるし、アジア人が今後どんどん宇宙に進出していくことになる。