コラム
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2005年 10月分 vol.1
宇宙旅行がヒートアップ!
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


10月11日に、無事帰還したグレッグ・オルセン氏。『It’s nice and roomy』(ここはいいよ、広くて)と生中継で伝え、宇宙旅行に何億円も払った価値があった!と大喜び。だが沢山写真を撮ったデジカメが漂って行方不明に。残念!(NASA)  10月に入ってから、宇宙飛行のビッグニュースが続いている。3人目の宇宙旅行客、米起業家で科学者のグレッグ・オルセン氏(60)が国際宇宙ステーション(ISS)を旅して帰ってきた。そしてロシアが4人目の宇宙旅行最有力候補者は日本人Dice-k(榎本大輔)氏だと発表。12日には中国が神舟6号で2人の宇宙飛行士を打ち上げ。そして堀江貴文氏が新しい宇宙事業を発表するという。(ニュースが多すぎて目立ってないけどオルセン氏と一緒に帰還したロシアのクリカレフ飛行士は通算803日9時間39分の世界最長宇宙滞在記録を樹立! 火星に往復できるほどの期間を宇宙で過ごしたことになる。)

 楽しくなってきたじゃないですか。宇宙へ行く手段は多い方がいいに決まっている。投資家でアーティストのDice-k氏は以前から宇宙旅行を目指して医学検査を受けていたが、ついに宇宙行きの権利を手にしたわけですね。2回ほど話を伺ったが「宇宙を文化的空間として使いたい」と、宇宙旅行の自由度(=わがまま度)を広げてくれそうだし、飛行後はさらに様々な宇宙旅行ビジネスを考えているようだ。できれば宇宙遊泳をしてくれないかな、と期待しています。

 ところで、今まで大金持ちが「秘密裏」に手続きをしていた感のある宇宙旅行が、ついに一般の旅行会社のカウンターで相談できるようになった。これは画期的ではありませんか? JTB丸の内支店では10月3日から宇宙旅行の販売を開始。店舗奥には「スペースラウンジ」という特別スペースが設けられ、スペースプロジェクトマネージャー、森谷博実さんが旅の実現まで優しくサポートしてくれる。JTBは米スペースアドベンチャーズ(SA)社と提携し、月旅行(約110億円)、国際宇宙ステーションへの旅(約23億円)、高度100kmの弾道飛行(約1100万円)などの商品を扱う。店内には、国内・海外旅行のパンフレットに混じって、宇宙旅行パンフレットが並ぶ。

JTB丸の内支店「スペースラウンジ」前で。右から森谷博実さん、中村範男支店長、宇宙旅行推進室の中村豊幸室長。  森谷さんは10年以上接客を続け、世界一周クルーズなどの高額商品も扱った豊富な経験と幅広い知識をもつ。丸の内と言う場所柄、顧客には近辺で働くビジネスマンが多いが、退職してからもわざわざ彼女をご指名で旅行の相談にくるファンが多いという素敵な女性。宇宙旅行の不安も優しく受け止めてくれそうだ。

 オルセン氏のソユーズロケット打ち上げを射点から800mという近距離で見てきたJTB宇宙旅行推進室の中村豊幸室長に様子をたずねると、「想像以上に感動しました。バリバリという音と、発射台から吹いてくる風を肌で感じた。ロケットに旅立つ前のオルセン氏は『崇高な人』に見えた。これから宇宙に旅立つ人なんだなと。」一緒にバイコヌール宇宙基地に行ったDice-k氏もかなり興奮していた様子。無理もない。あのロケットに近いうちに自分が乗り込むことになるのだから。

 10月17日から福岡で宇宙関係では世界最大級の会議「第56回国際宇宙会議(IAC)」が開催される。その前日の16日、堀江貴文氏が新しい宇宙プロジェクトを発表する。1970年代のロシアの宇宙船を使い、宇宙旅行を低価格で提供するという情報は以前からあったが、正式な発表が楽しみだ。今は23億円するISSの旅よりぐっと安く、地球を周回する旅が実現できれば魅力的だ。宇宙旅行商品に新しいメニューが加わることになる。宇宙船の展示もあるそうなので「居住性」がどうか、チェックしたい。


宇宙飛行士 榎本大輔ブログ
http://www.dice-k.com/

JTB宇宙旅行
http://www.jtb.co.jp/space/