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2005年 10月分 vol.2
2007年に飛ぶ「宇宙ウェア」デザイン募集!
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


松居エリ氏が宇宙をイメージしてデザインしたボディースーツ(中央)とウェディングドレス(両端)。第56回国際宇宙会議期間中の10月17日、メガスタードームでのファッションショーで披露された。  もうすぐ始まる民間宇宙旅行。特別な旅に着る服は、自分の「お気に入り」がいいし、そうすれば旅の高揚感や満足度もますますアップするはずだ。そこに大ニュース。高度100kmの宇宙まで飛行する「サブオービタル」飛行の船内で着る、宇宙ウェアの募集が11月から開始される。最優秀賞に選ばれたデザイナーは、デザイナー・松居エリ氏らとともに宇宙ウェア製作に参加。ウェアはアメリカのロケットプレーン社が2007年に予定している初フライトに採用される。また最優秀賞の副賞に宇宙旅行への招待も検討されている!

 宇宙船で着るといえば、思い浮かぶのはスペースシャトルに乗り込む野口さんが着ていたオレンジ色のフライトスーツ(パンプキンスーツと呼ばれる)だったり、ソユーズ宇宙船用の管がいっぱい着いたオーラン宇宙服だったりしますよね。宇宙飛行士感は高まるけど、旅行感覚からはチト遠い。空気がもれない「気密服」になっているから、やむをえないけど今回募集しているのは、気密服ではない。イメージは「科学とアート」が融合した宇宙ウェア。

 たとえば、コンテスト実行委員長の松居エリさんが考えたウェアは写真のようなイメージ。福岡で開催された第56回国際宇宙会議の期間中、10月17日に行われたファッションショーで披露されたもの。中央の3人が着ているボディスーツは無重力をイメージ。そして両端がウェディングドレス。全く同じパターンで作られたドレスだが、右端が地上で着ている状態。左端が宇宙の無重力で着た状態。地上でも着たいぐらいのカッコよさだ。

 リリース文によると、求められるのは「航行に伴う緊張を和らげ、宇宙旅行への夢を掻き立てる先進的なデザイン」。参加資格はプロ・アマ・学生を問わない。2005年11月1日(火)~2006年3月末日(金)までに事務局にデザイン画などを応募。2006年4月中旬、デザイン画によるウェブ投票などによりトップ10を選出。6月中旬の公開ショーでの現物作品審査を経て2006年12月末に最優秀賞を発表。パリでのファッションショーを計画中とのこと。(主催:スペース・クチュールコンテスト実行委員会他。協力;JAXA他)。

 ロケットプレーン副社長チャールズ・ラウワ氏によると、「今後アメリカやヨーロッパでも同様のコンテストを企画中。特に日本で製作された宇宙ウェアは日本人の搭乗者向けに考えているが、もちろん『着たい』と言う旅行者は誰でもOK」。世界に先駆けて日本でコンテストが行われたのは、日本のテキスタイル新素材の開発が世界で最も進んでいることが理由の一つにあげられる。コンテスト実行委員会委員長の松居エリ氏は「科学に興味をもったのは、創作に行き詰った時でした。科学ってなんてクリエイティブなんだろうと。科学の力を借りて、一人一人にあったオートクチュールのような着心地のよい服をより安価に作りたい」と語った。

 問い合わせは「スペース・クチュールコンテスト実行委員会」
(電話03-5485-0012)まで。

協力:JAXA


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ロケットプレーン社
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