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2005年 10月分 vol.3
10月30日、火星大接近。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


今回より近い距離で接近するのは2018年までない。是非このチャンスを逃さずに。(国立天文台天文情報センター)  東の空の赤い星「火星」が日に日に存在感を増している。火星と地球が接近中なのだ。週末の10月30日12時には火星―地球の距離6942万キロまで大接近。「アレ? 火星大接近って以前にもあったはず」と思う方もいるのでは? そう。2003年8月27日は地球―火星の距離5,576万キロで「6万年ぶり」の近さだった。地球と火星は約2年2ヶ月ごとに接近を繰り返している。今回より近く接近するのは2018年までないから、よ~く火星を見ておこう。

 火星は地球のお隣を回る惑星。直径は地球の約半分で、重力は地球の約3分の1。地球とほぼ同じ24時間で自転しながら約687日で太陽の周りを回っている(つまり1年が687日)。地軸が傾いているために四季の変化があり、ずっと観察していると北極と南極にある白い極冠(氷の広がり)の大きさが季節によって変化する。火星の軌道は少しつぶれた楕円形で、地球と火星が約2年2ヶ月ごとに接近するときの距離は近かったり遠かったり。一番近いときで約5,500万キロ、遠い時で約9,900万キロと2倍近い開きがあるのだ。

 2年前の大接近に比べて今回の見かけの火星の大きさは、約8割(上の図参照)。だが、前回の接近時より高い高度で見える。また注目は現在、火星で起こっているという大きな砂嵐。

10月30日、火星は東の空にマイナス2等星ぐらいに明るく見える。再接近後数週間も接近した状態が続いているので、11月に入っても楽しめる。(国立天文台 天文情報センター)  国立天文台のメールニュース「アストロ・トピックス(159)」によると、10月中旬になって砂嵐(ダスト・ストーム)が発生し、拡大しているとのこと。火星には二酸化炭素が主成分の大気があるが、その大気は非常に薄く、地球の100分の1以下。さらに水が少ないため、大気はからからに乾いた状態だ。強い風が吹き、砂を巻き上げるとどんどん大規模になっていき、火星全体を覆うように発達することがある。今回の砂嵐は2003年12月に起こった砂嵐と、発生の場所も火星の季節も一致しており、そのときの砂嵐は南半球中緯度を帯のように取り巻く規模になったという。

 国立天文台では、「火星接近! 模様が見えるかな」キャンペーンを実施中。いつ、どこで、どんな模様が見えたか見えなかったかウェブや携帯から連絡した人には「ささやかなプレゼント画像」を用意しているとか。火星の模様まで見るには、望遠鏡が必要になるが、この時期各地で観望会が開かれている。運がよければ砂嵐が見えるかな。観望会に行けない方も、この週末は東の空に赤い星を探して見て下さいね。

国立天文台「火星接近! 模様が見えるかな」キャンペーンページ
http://www.nao.ac.jp/phenomena/20051030/index.html

月惑星研究会ホームページ・火星の最新観測報告
http://www.kk-system.co.jp/Alpo/Latest/M_obstxt.htm