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2005年 11月分 vol.2
ポール・マッカートニーのライブを宇宙で。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


史上初めて、宇宙で音楽ライブを聞くことになるISSのクルー達。左がトカレフ飛行士、右がマッカーサー飛行士(NASA)  11月13日、全米ツアー中のポール・マッカートニーが、国際宇宙ステーション(ISS)に向けてライブ演奏を行う。ISSでは2人の宇宙飛行士が暮らしているが、彼らのウェイクアップミュージック(起床時間に流される目覚めの音楽)のために、ポールが歌う。宇宙で初めてのライブコンサートの様子は、NASAテレビで生で見ることができる。

 ライブ演奏が行われるのは、日本時間11月13日午後2時55分頃。米国カリフォルニア州アナハイムのコンサート会場から、ポール・マッカートニーが歌うのは2曲。「Good Day Sunshine」と「English Tea」。

 ポールがなんでISSに? と思うかもしれない。実は野口聡一飛行士が夏に宇宙飛行(STS-114)をした時に、「GOOD DAY SUNSHINE」は一度宇宙で流れている(ライブではなかったが)。ディスカバリー号が天候不良でなかなか地上に帰還できなかったとき、地上の管制センターが、「今日こそ天気が回復しますように」という願いをこめて、飛行15日目のウェイクアップミュージックに選んだのだ。残念ながら、フロリダ州の天気は回復せずにカリフォルニア州にシャトルは着陸したが、自分の作曲した曲が宇宙で流れたことをポールはとっても喜んで、コンサートでSTS-114の宇宙飛行のビデオを流しながら、この曲を演奏したりしていた。

 「ウェイクアップミュージック」はアポロ計画の頃から続く、NASAの伝統。クルーのお気に入りの曲や家族からの想いをこめた歌を目覚めのアラーム替わりに流すことで、「今日も一日ガンバロー!」とやる気を起こしてもらおうという、なかなか粋な計らいだ。だが、国際宇宙ステーションでは、通常は流していない。ウェイクアップミュージックの存在を知ったポールの希望で、特別にライブ演奏が実現することになったようだ。

 国際宇宙ステーションに人が滞在を始めてから5年が経った。現在滞在している、ビル・マッカーサーとヴァレリー・トカレフは12チーム目のクルー達。さぞかし宇宙初のライブ演奏を楽しみにしていることだろう。ISSにはキーボードやギターもあるから、地上と結んで、セッションができるともっと楽しいだろうね。


NASAテレビ
http://www.nasa.gov/multimedia/nasatv/index.html