コラム
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2008年 7月分 vol.2
「宇宙食の味つけ、身体に悪い?」野口先生爆笑の宇宙授業。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


 「宇宙食は濃く味つけしてあるって、身体に悪くない?」「宇宙で疲れた時、どうするの?」7月16日、講談社で行われた、野口聡一宇宙飛行士の宇宙授業。約100名の生徒達からは次々に予想外の質問が飛び出し、野口先生も大笑いしつつ軽快に答えていく。その一部を紹介すると・・・

「宇宙で一番好きな時間はなんですか?」「地球を見ている時間が幸せだったよ」 Q:宇宙食の中で好きなのはなんですか?

A:ラーメンはおいしかったよね。宇宙食って見た目はビミョーだけど、味は案外おいしいしいよ。ごはんを持っていって、おにぎりを作って食べたりもした。

Q:宇宙食の味付けは濃くしてある、と言ってましたが、身体に悪くないですか?

A:はは。健康志向だねー。確かに宇宙に行くと味覚がにぶくなるから、濃い味付けにしてあるね。でも調味料の量は同じで、加える水の量が少ない。煮詰めた感じだと思えばいい。だから味が濃く感じるけど、身体に悪くはないんだよ。

Q:野口さんは何語が話せるんですか?

A:言葉は難しいね。ぼくが話せるのは日本語と英語とロシア語の3つ。宇宙ステーションはロシア人もくらすから、コミュニケーションに必要なんだよね。でも最近はアメリカ人の宇宙飛行士も日本語の上手な人がふえているんだよ。日本に訓練に来てるからね。

Q:宇宙で疲れたらどうするんですか?

A:勝手にお昼寝してたら怒られちゃうね。宇宙ではたくさんの飛行士が一緒に仕事をしているけど、みんなが同じぐらいの疲れ具合になるように、船長が気配りして、疲れている人がいたら他の人と仕事を交換したり手伝ったりする。宇宙でもチームワークが大切ってこと。

宇宙授業であやとりを披露する野口飛行士。「あやとりって、重力を意外に使っているから、無重力の宇宙でやるとむずかしいんだよ」。子ども達もやってみるが、野口先生、四段ばしご作るの、早すぎ!  野口飛行士は2009年11月から、国際宇宙ステーションに半年間、滞在することが決定している。その頃には、日本実験棟「きぼう」にアンテナがついて、つくば宇宙センターとの交信は、NASAを経由している現在よりダイレクトになる。そこで野口飛行士はぜひ、宇宙からの授業や、宇宙と地上の子ども達との合奏をやりたいと意欲満々だ(そのためにチェロも練習しているとか! このあたりは近著「宇宙においでよ」※に詳しい)。

 子ども達の間を歩きながら「宇宙でやってみて欲しいこと」を聞いてみる野口さん。まっすぐに手を挙げた女の子が答えたのは「アゲハチョウを飼ってください」。確かに、半年間の滞在中にはアゲハチョウやアサガオの観察日記なんていいかもしれない。そして次に出た意見は「ハンバーガーを食べてみてください」これには野口さんは笑って「そうかぁ、ハンバーガーが好き? 意外にハンバーガーは宇宙に行ってないんだよね。」。宇宙で食べたラーメンを実演したせいか、食べ物のアイデアはどんどん広がったようだ。

必死にメモをとって、「あててー」と7〜8割の子ども達が一斉に手をあげる。その真剣さはプロの記者顔負け。おまけに質問やアイデアは刺激的で超楽しい。これ、宇宙と地上を結んでやったら面白そう。仰々しくなく、軽妙に。ぜひ新しい宇宙の使い方を子ども達に見せてほしい。

※:「宇宙においでよ」

写真提供:講談社