ここから本文

Factory Automation

印刷用ページ

文字サイズ変更

注目のトレンドをあなたに、
FAデジタルメディア

テクノロジーテクノロジー

三菱電機のFA技術や、ビジネスに役立つ各種レポート・コラムをご紹介します。

セミナーレポート
「日本ものづくりワールド」特別講演レビュー

「進化するモノづくりのデジタル技術活用とIoT」

2017年8月公開【全1回】

三菱電機執行役員名古屋製作所長(工学博士) 小山健一 ※講演者の所属は2017年6月時点のものです。

三菱電機執行役員名古屋製作所長(工学博士) 小山健一

「働き方改革や物流問題など、社会の環境変化が進む中、ものづくりにも進化が求められています。ITの活用はその進化の手段であり、具体的に期待されているのが、サプライチェーンとエンジニアリングチェーンをつなぐIoTの活用です。ドイツのIndustrie 4.0や米国のIIC、日本のRRI(ロボット革命イニシアティブ協議会)など国レベルでIoT活用の活動が進むだけでなく、今年3月にドイツで発表された「ハノーバー宣言」では、日独でIoT活用に関する協力を行っていくことを、閣僚級の共同声明で発表しています。

「e-F@ctory」は、ものづくりへのIT活用をいち早く2003年から提唱してきたコンセプトです。FAとITを活用し、お客様の改善活動を継続して支援しながら、一歩先のものづくりを指向するソリューションとして展開しています。

三菱電機執行役員名古屋製作所長(工学博士) 小山健一

e-F@ctoryは三層のシステムで構成されます。生産現場の情報を可視化するFAの層と、その情報を分析するITの層、そしてその間に位置するエッジコンピューティングの層です。FAから取得するデータはものづくりのIoT化により増大しており、ITの層にそのまま渡して分析することが難しくなっています。エッジコンピューティングの層は、データの一次処理を行い、リアルタイムでのフィードバックを可能にするシステムとして位置付けています。

e-F@ctoryは当社の工場をはじめ、さまざまな生産現場で効果を発揮しています。当社名古屋製作所では、基板への面実装稼働管理システムにより生産性の30%アップと品質ロスの50%ダウンを実現。セル生産でのねじ締め作業支援システムでは、作業期間の50%ダウンと新人教育工数の65%ダウンを果たしています。またはんだ付けのためのリフロー炉の稼働を最適に管理することで消費電力を削減し、建屋全体でエネルギー原単位30%ダウンも実現しています。

e-F@ctoryのソリューションを共同で展開する「e-F@ctory Alliance」パートナー約400社による事例も、全世界で180社7300件以上に及びます。NEC様との協業で実現した加工機のリモート監視サービス「iQ Care Remote4U」はその一例です。稼働状況のリアルタイムでの見える化やランニングコストの分析などを、遠隔地から可能にしています。

すべてつなぐためにオープン性を追求

IoTを本格的に活用するには、ものづくりにまつわるあらゆるデータをつなぐのが理想です。しかし現実の生産現場には多彩な機器や設備があります。それらをつなぐために、すべてe-F@ctoryのシステムに置き換えるというのは無理があるでしょう。かといって、「これだけはつながらない」という機器や設備が残ると、IoTの導入効果は減少してしまいます。またつないだとしても、データの形式が業務プロセスごとに異なると仕分けが煩雑です。集めたデータを活用するアプリケーションも開発しなければなりません。

当社は、「IoTで全てつないで活用するには何が必要か」をユーザの観点で改めて考えました。その解が、当社が今年3月に発表した「FA-ITオープンプラットフォーム」です。FAとITを容易につないで、生産現場のデータの収集・分析・改善のシステムを短期間で構築可能にするものです。

FA-ITオープンプラットフォームは、データコレクト機能、ゲートウェイ機能、データモデル管理機能、エッジアプリケーションの各機能から構成されます。データコレクト機能とゲートウェイ機能により、生産現場のさまざまな機器のプロトコルに対応することができ、ITとの接続が容易になります。データモデル機能は生産現場のデータを階層化して整理するもので、どの機器がどのようにつながっているか、どこでエラーが起きているかなどをすぐに認識可能にします。エッジアプリケーションは、プラットフォーム上で動くアプリをユーザが自由に選べる環境を用意するものです。

進化するものづくりを推進するために、三菱電機は各種ネットワーク対応のデータコレクタ開発キット、アプリ開発のためのAPIや開発キットなどを提供します。またハードウエアも、当社のコントローラに限定するようなことはせず、一般的な産業用PCも利用可能にし、オープンな環境を追求していきます。

IoTは手段であって目的ではありません。目的は生産効率向上なのか、品質向上なのか、またはコスト削減なのか、さまざまなものがあるはずです。誰のためのIoT導入なのか、競争力の源泉はどこにあるのかも確認しなければなりません。それらを明確にした後に効果的なIoT導入があり、当社もお客様と一緒に考えさせていただきながら、目的に合ったIoT導入を提案していきたいと思っております。」

製品・ソリューション紹介

e-F@ctory

FA-IT統合ソリューション e-F@ctory

e-F@ctoryは、「生産情報の見える化」「エネルギーの見える化」「安全の見える化」の実現による企業のTCO削減、企業価値向上を支援します。

「e-F@ctory」に関する詳細につきましては、お近くの支社・支店へご相談ください。
問い合わせ窓口

これまで掲載された記事はこちらから

「テクノロジー」トップページに戻る

ページトップに戻る