Round-trip Letters
カヒミ・カリィ × Hello,AI Lab
【 Vol.09 From k.k 】
AIの今、その先の未来
それは、文通のようなメッセージ。以前からAIの可能性に注目していたアーティスト、カヒミ・カリィさんと、三菱電機の研究者集団「Hello,AI Lab」が、AIについて語り合いながら、発見や気づきをやり取りするコラムです。
期待が膨らみます
自動運転がもうすぐ日常に
Hello,AI Labさま
お返事、ありがとうございます!
前回、自動運転車についてお聞きしましたが、自動運転の最高レベル5が実現するのは2030年頃になるのではないかと言われているんですね!
あと10年足らずでそんな時代がやって来るかもしれないなんて夢のようです。実は、コロナ禍が落ち着いたら遅ればせながら運転免許を取りたいなと思っているのですが、レベル2~3でも自動運転機能のある車を選べば、初心者ドライバーの事故も今までよりも少なくなるのではないかと期待が膨らみました。
未来のようでもあり、過去のようでもある…まさに馬車との共通点を感じますね。
先日観た古いアメリカ映画で、嵐の中で気を失ってしまった主人公を乗せた馬が、旅をして家まで帰るというシーンがありました。それはまさにレベル5のようですね!そう思うとAIが頼もしい相棒のように感じてきます。
今回もどうぞよろしくお願いいたします!
幅広いAIの
適用フィールド
暮らしを豊かにするAIと、
これから
それでは、今回も質問にお答えしていきますね!
【質問1】
質問をいただいて、まず最新の家電にはどんなものがあるかな?と調べてみたのですが、すると私が思いついたアイディアはすでに実用化されているものが多くて驚きました!
例えば、冷蔵庫やエアコンはもちろん、メガネなどもAIものが出てきているんですね。
私の娘は最近視力が落ちたので「かけていると視力が良くなったり、悪化するのを予防したりしてくれるようなメガネ」があったらなと思ったのですが、AI/Glasses※という「目にいい習慣」を身につけてくれるトレーニング用のメガネがあると知りました。度付きレンズがまだ非対応なのは残念ですが、身体の歪みやいわゆる「スマホ首」から守るよう、姿勢が悪くなった時にブザーで教えてくれたり、テレビやパソコンからの距離が近かったり、部屋が暗い時などもお知らせしてくれて、専用のアプリとも連携して目の習慣をデータ化し分析までしてくれたりするのは素晴らしいと思いました。
また冷蔵庫も、保管してある食材をリストにして賞味期限などを教えてくれたり、食材の鮮度を最大限にキープしてくれたりなど、フードロス削減に役立つものがあったらいいなと思ったのですが、それに加えてレシピや特売情報までお知らせしてくれるものが既にあるんですね!
家事や料理をするのが好きなほうなので、作業自体はあまり苦にならないのですが、冷蔵庫の中に残っている食材を忘れてしまって、それを確認するのにドアを長い間開けてゴソゴソしてしまうことがあるんです。また生鮮食品や、味噌や納豆などの発酵食品は温度によって美味しさが変わりやすいので、AIがコントロールしてくれたらとても助かります。
また、それぞれの家電が連携したらより便利になりそうだと思いました。例えば、掃除機を使う時にエアコンがそれを感知して空気清浄機が作動するなど…きっとそれもどんどん可能になっていきそうですね。
その他では、室内で育てている観葉植物の管理を助けてくれるAIがあったら良いなと思いました。天気が悪い日が続くと植物育成ライトをオンにしてくれたり、湿度や成長具合に合わせて、水やりや肥料をあげるタイミングを教えてくれたりするAIです。特に、旅行時などは植物が心配だったりするので、それが可能になったら嬉しいなと思いました。
AIが普段の生活の中で省エネやフードロス削減に役立ち、私達の健康を守ってくれることで、結果的に環境などの大きな問題などにも良い影響があるといいなと思います。
【質問2】
仮にAIが自動化してくれるようになったとしても、ここは自分でやりたいなと思うところはありますか?
やはり音楽制作などのクリエイティブな作業は、ちょっと手間がかかっても自分の感覚を最優先にしていきたいなと思います。例えば音楽制作では、編集などの中には単純な繰り返しの作業などAIのほうが得意な部分もきっとあるのでそれはお任せできると思うのですが、音質や音量の調節、ノイズを取るなどの作業などは、やはり信頼できるサウンドエンジニアの方と一緒に、一つ一つ確認して作りたいなと思います。
ところで先日、アメリカのサイトで「Lost Tapes of the 27 club」※という、AIを使ったプロジェクトがあるのを知りました。「Over the Bridge」※というメンタルヘルスを扱う非営利団体が、27歳で自ら世を去ったカート・コバーン※というミュージシャンが在籍していたバンド「ニルヴァーナ」※の曲々をAIで分析して、ニルヴァーナのトリビュートバンドのボーカリストがコーラスで参加をして新曲を作ったというもので、興味深く思いました。私自身はニルヴァーナの曲はあまり聴いたことがないので、その新作を聴いても本物と印象がどう違うかは良く分からなかったんですが、その記事によると、その新作とコバーンが亡くなる直前に作られた曲の印象はそれほど違わないと書いてあったんです。その団体はその新曲を作るだけではなくて、コバーンのファンなどプロジェクトに興味を持った人達がそのサイトを訪れることで、精神的に問題を抱えている人達がオンラインカウンセリングなどを受けられる機会を作ったりしていて、ただ興味本位でやっているプロジェクトではないのですが、けれどもやはり、カート・コバーンがなぜ若くして亡くなったか、もし彼が生きていたらその新曲やプロジェクトをどう思っただろう、などと想像すると複雑だなと思いました。
やはり、音楽やアートというものはアーティスト本人の経験や感情、想いなどから出来た結晶のようなものでもあると思うので、たとえAIで本物そっくりな雰囲気で作品を作ることが出来たとしても、本質的部分は違うと思うのです。もしコバーンが今も生きていて、AIという新しい技術を使って新曲を作ったのなら、もっと素直にワクワクできそうです。
【質問3】
前のレターで、「AIが語学の勉強を助けてくれたら」とおっしゃっていましたね!語学の勉強は、カヒミさんにとって楽しいものですか?もし、AIが完璧に、しかもリアルタイムに翻訳してくれる時代が来たら、どんな風に感じられますか?それでも語学の勉強を続けて、自分でできるようになりたいと思いますか?
パリに8年、NYに9年と海外生活は長いんですが、実は語学の勉強は苦手でずっと苦戦しているんです。でもおしゃべりをするのは大好きですし、特に違う国の方々とお話しすると新しい発見や楽しさがあるのでどうにか頑張っています。ですからAIが学習を手伝ってくれたら本当に嬉しいです。
もしAIが完璧に、しかもリアルタイムで翻訳をしてくれたら…最高だと思います!!
ただ、住んでいる国の言葉は、やはり自分自身で話せたほうが良いと思うんです。同じ言葉で目を見てコミュニケーションする事はとても大切ですし、やはり翻訳ではできない心の交流もあると思うので、語学の勉強は続けたいと思います。でも例えば、緊急で専門用語を知らないと困るようなシチュエーションの時などは本当に助かると思います。それから、自分の知らない言葉の国に旅行する時などは、AIが翻訳をしてくれたら、新しい貴重な出会いや経験が増えて楽しさが倍増しそうですよね!言葉の壁を超えて様々な国の人達が話せるようになったら、国籍や文化は違ってもやはり同じ人間なのだともっと実感できるようになると思います。平和な世界への第一歩になるかもしれませんね。
期待をこめて
AIとの関わり方、
世界のAI事情、医学
いつも、とてもためになるお返事ありがとうございます!
AI技術の進化によって、子供の頃に想像していたような未来が、すぐそこにまで来ているように感じています。今回は、今後のAIと私たちの関わり方や世界的な動き、AIを医学に取り入れることでの可能性について、質問させていただきます!
質問が3つあります。
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【 質問1つ目 】
AIの研究開発をされておられる方々にとって、一般の人達はどのようにAIについて学んでいったら良いと思われますか?どんどん進化していくであろうAIと、これから先、私達はどのように付き合っていくべきだと思いますか?
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【 質問2つ目 】
AIの研究や開発が進んでいるのはどの国ですか?日本はその中でどのような位置にいるのでしょうか。
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【 質問3つ目 】
先日、唾液でがん検査ができるようになったというニュースを読みました。その検査にAIを組み合わせる事で疑われる臓器を絞り込む事ができるようになったなんて素晴らしいですね。
AIは人工知能という意味ですが、人間の脳とAIを繋げることは可能でしょうか?人間の脳に疾患があって正常に機能しない場合にAIがそれをカバーする、もしくは脳のリハビリに活用する、というようなことは可能ですか?まるで手塚治虫※のブラックジャック※のような話ではありますが、人工呼吸器など臓器を補助する機器があるので、高度なAIと医学の進化によっては可能なのか気になります。
※本文中における会社名、商標名は、各社の商標または登録商標です。
今、掃除機やエアコンなど色々なものに人工知能が搭載されていますが、家事・育児をするにあたって「ここはもうちょっとAIを使って自動化できたらありがたいのにな」と思うところはありますか?