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REALで堪能する「京の彩り」REALで堪能する
「京の彩り」

季節のうつろいで様々な表情を見せる古都京都。
その『彩り』を京都に生まれ京都を知り尽くしたフォトエッセイスト 星野佑佳氏がご紹介します。

フォトエッセイスト /
星野佑佳

フォトエッセイスト / 星野佑佳

京都市生まれ、在住の女性フォトエッセイスト
00年 海外放浪の撮影旅へ出発、帰国後は日本の自然風景を求め、全国を旅しながら撮影。05年頃から、旅のかたわら、地元である京都の風景や祭を撮影、現在に至る。
写真を担当した一般書は「京都12ヶ月 年中行事の楽しみ方」「京暦365日」他多数。全国の風景写真はクラレグループの企業カレンダーやJR北海道のキャンペーンポスターなどにも起用されている。

夏の夜の夢夏の夜の夢

「水無月の夏越の祓する人は~」
大祓の詞を唱えながら茅の輪をくぐり半年分の穢れを祓うと、いよいよ京都の夏・本番だ。
蒸し暑さで知られる京都だが、夏の夜はこのうえなく魅力的。
祇園祭や五山送り火など、京都を代表する伝統行事をはじめ、毎晩のように市内のあちこちで、灯り綾なす歳時が行われる。
山鉾の提灯、絵描き行灯、千日詣の山道を照らす豆電球・・・明かりの美しい景色は、8月のお盆が近づくと益々増えていく。
お盆と聞くと古めかしい印象があるが、社寺の万灯会や供養の灯は思いのほか幻想的で、ゆらゆら揺れる光に現実と非現実が交錯する浮遊感すら感じる。

昔ながらのオレンジ色の炎だけでなく、最近は青く輝くLEDも、夜の彩りに加わった。
旧暦、新暦の7月7日前後には、願い事を託した短冊を結んだ笹が、LEDを浴びて夕闇に涼しげに浮かび上がる。金銀の紙飾りがキラキラ光って美しい。
そういえば、七夕は一年に一度、織姫と彦星が天の川を渡って逢瀬を叶えるロマンチックな夜だった。

「あそこに座ってみたい。」
まだ私が学生の頃、日が暮れてしのぎやすくなった鴨川に一組また一組と座りはじめる二人組を、四条大橋からうらやましそうに眺める友人に「どうしても」と頼まれ、空いているスペースに座ったことがある。
川べりに等間隔で並ぶカップルは、すでに「京都名物」として全国的に有名だったらしく、京都に来たからにはと憧れていたそうだ。
けれど恋人でもない私にとっては居心地悪く、早々に立ちあがったのを覚えている。

あれから何年がたっただろう。納涼床がたち始めた初夏、久しぶりに川岸に座ってみた。川を渡る風が頬を撫でる感触に、今は音信の途絶えた友人を思い出す。
元気にしているだろうか。
ふと顔をあげると、座る場所を探している浴衣の二人連れが目に入った。
私はそっと立ち上がり、どこに向かうでもなく、歩き始めた。

  • 灯篭流し(広沢の池 8月16日撮影

    8月16日。嵯峨野の遍照寺では広沢の池に精霊流しの灯篭を浮かべ、お盆の間に帰郷していたお精霊さん(故人の魂)を送る。五山送り火のひとつ、嵯峨曼荼羅山の鳥居形を背景に、ゆらゆらと水面を漂う灯りは幻想的だ。

  • 京の七夕(鴨川 8月上旬撮影

    8月1日~10日の10日間にわたり開催される「京の七夕」は、6年前から始まった新しい夏の風物詩。鴨川右岸には竹籠で作った「風鈴灯」や願い事を書いた短冊を結わえた「光の笹」が並び、浴衣姿のカップルが花を添える。

  • 京の七夕(堀川 8月上旬撮影

    堀川沿いに七夕飾りの笹が連なる「京の七夕」堀川会場は、LEDライトをちりばめた「光の天の川」のほか、二条城の城内ではアートな光の映像を映し出すプロジェクションマッピングが催され、見所満載だ。

  • 夏越大祓(上賀茂神社 6月30日撮影

    夏越祓の6月30日は、市内各社に設置された茅の輪をくぐり、半年間の穢れを払う。上賀茂神社では、かがり火の御手洗川で神事が行われ、参拝者の人形(ひとがた)を流し、残り半年間の無病息災を祈願する。

「水無月の夏越の祓する人は~」
大祓の詞を唱えながら茅の輪をくぐり半年分の穢れを祓うと、いよいよ京都の夏・本番だ。
蒸し暑さで知られる京都だが、夏の夜はこのうえなく魅力的。
祇園祭や五山送り火など、京都を代表する伝統行事をはじめ、毎晩のように市内のあちこちで、灯りあやなす歳時が行われる。
山鉾の提灯、絵描き行灯、千日詣の山道を照らす豆電球・・・明かりの美しい景色は、8月のお盆が近づくとますます増えていく。
お盆と聞くと古めかしい印象があるが、社寺の万灯会や供養の灯は思いのほか幻想的で、ゆらゆら揺れる光に現実と非現実が交錯する浮遊感すら感じる。

昔ながらのオレンジ色の炎だけでなく、最近は青く輝くLEDも、夜の彩りに加わった。
旧暦、新暦の7月7日前後には、願い事を託した短冊を結んだ笹が、LEDを浴びて夕闇に涼しげに浮かび上がる。金銀の紙飾りがキラキラ光って美しい。
そういえば、七夕は一年に一度、織姫と彦星が天の川を渡って逢瀬を叶えるロマンチックな夜だった。

「あそこに座ってみたい。」
まだ私が学生の頃、日が暮れてしのぎやすくなった鴨川に一組また一組と座りはじめる二人組を、四条大橋からうらやましそうに眺める友人に「どうしても」と頼まれ、空いているスペースに二人で座ったことがある。
川べりに等間隔で並ぶカップルは、すでに「京都名物」として全国的に有名だったらしく、京都に来たからにはと憧れていたそうだ。
けれど恋人でもない私にとっては居心地悪く、早々に立ちあがったのを覚えている。

あれから何年がたっただろう。納涼床がたち始めた初夏、久しぶりに川岸に座ってみた。川を渡る風が頬を撫でる感触に、今は音信の途絶えた友人を思い出す。
元気にしているだろうか。
ふと顔をあげると、座る場所を探している浴衣の二人連れが目に入った。
私はそっと立ち上がり、どこに向かうでもなく、歩き始めた。

REAL 開発者による技術解説REAL 開発者による技術解説

京都製作所
AVディスプレイ製造部
技術第2グループ
志水 浩二

暗闇に浮かび上がる色彩豊かな灯篭、燃え上がる炎、七夕風景。
うっとりするほど美しい写真ですね。しかしこういった夜景は黒が深くなるほど撮影が難しい、カメラマン泣かせの風景でもあります。

それはテレビでも同じ。
暗部の引き締まった黒とディテール、明部の色彩とこまかい階調の表現、相反する要素のバランスが非常に難しい。

そんな夜景の表現もREAL 4Kは得意としています。
レーザーで高度に色を再現し、エリアごとにバックライトの明るさを制御してコントラストをコントロール、夜景の美しさをリアルに映し出します。

心を動かすシーンとの出会いは一期一会。REAL 4Kで鑑賞すれば、いつでもその時の感動がよみがえります。

  • 春がゆく
  • 夏の夜の夢
  • 実り色
  • 紅の記憶
  • 今年もよい年
  • 溢れ