ズバ暖霧ヶ峰 北国にあたたかい笑顔を届けたい…開発物語

STORY03

納得できる性能・品質を追って開発チームは外気温-25℃へ挑む。極寒の地でフィールドテストの日々を経て『ズバ暖霧ヶ峰』は誕生した。

試験室では追いきれない。
~3年におよぶフィールドテストへ。

試験室の検証では、目標数値を達成した。しかし、北国には厳しい雪と風がある。これは机上計算では弾き出せず、試験室でも再現できない要素だ。寒冷地仕様を謳うからには、現地での徹底的な検証は必須。「試験室で追いきれないものは現場で追う。」が山下の信念となった。
プロトタイプ1号機から数えて、3シーズンにわたるフィールドテストが始まった。

『日本一寒い町 陸別』だけに留まらず。
~旭川、名寄、札幌、千歳など北海道各地での試験。

テストフィールドに選んだのは北海道。
旭川、北見を皮切りにスタートしたが、中でも『日本一寒い町』といわれる足寄郡陸別町は外せなかった。2006年1月に始まった極寒の中の耐久試験では、何よりも部品の耐久性が問われた。-25℃にも達する過酷な温度条件下では、マイコンや電子部品を低温下でも確実に動作させる必要があり、耐寒性能の高い部品に変更するなど、ひとつひとつ問題をつぶしながらテストを重ねていった。だが、北国の冬の厳しさは温度だけではない。
たとえば名寄市。ここでは、外気温が-25℃まで下がる上に、積雪は2m。北西の季節風も強い。陸別の地だけでは不十分だ。その後は、条件の違う数カ所にわたってテストを繰り返した。陸別、名寄のほかにも、千歳そして札幌。ただその地で試験したというアリバイ作りのためのテストではない、より実効性の高いテストを追求した。室内環境も、住宅はもちろん、より厳しいところを選んで行った。たとえば、ペアガラスも断熱材もないプレハブ小屋など、きわめて断熱性能の低い空間でも室内温度を30℃まで上げられるのか?といった限界試験。また、一般家庭では、日常生活の中での体感的な暖かさから、霜取り運転の実態や電気代の推移までを、徹底的に検証した。セントラルヒーティングをわざわざ止めて、1シーズンをエアコンだけで過ごしてもらうという無茶なお願いもした。
多くの人の協力を得て、一切の妥協を排したテストを重ねる中で、山下たちは確実に自信を深めていった。月日は瞬く間に流れた。

■ 札幌

大容量帯機種に向け、2010年から4年間にわたり試験を実施。

■ 名寄

2月の平均最低気温-14.1℃の環境で実証試験。

真冬にTシャツでビール。
~ついに北国に特別な暖かさを実現した。

3年後。あらゆるデータを検証し、改良を加え、チューニングを行い、胸を張って『寒冷地専用』と言えるエアコンは、ついに完成を見た。「冬にT シャツでビールを飲むのが北海道の文化だよ」という地元の家庭からも「じゅうぶん暖かいね。これ一台でひと冬過ごせるよ。」と嬉しい声もいただいた。
商品名は『ズバ暖 霧ヶ峰』と決まった。『ズバ抜けた暖かさ』で極寒の地に特別な暖かさを届ける新商品にふさわしいネーミングだと、山下は思った。発売を間近に控え、過酷な日々を振り返りながら、山下は大きな達成感とともに、静かな期待に胸を膨らませた。
北国の冬に革命を起こす「寒冷地エアコン時代」の幕開け前夜だった。

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