改正建築基準法
時代とともに変化する住宅事情やライフスタイルに合わせて、建築基準法も改正されます。
改正建築基準法と換気扇に関するさまざまな情報を掲載しております。
ぜひ、換気設備設計にお役立てください。
改正建築基準法について
2007年7月 建築基準法が一部改正されました。
建築基準法改正の目的
建物における耐震偽装対策のため、耐震構造審査の厳格化を目的とし改正されました。
建築基準法改正の内容
以下の変更より、住宅全体を考えた計画的な換気が必要になりました。
1.建築確認審査期間の長期化
3階建て以上の木造及び2階建て以上の非木造建築物について、構造計算に係る情報を記録した磁気ディスクの提出が無かった場合
- 更に35日の範囲で延長
- 構造計算を要する場合は、最大で70日間の審査期間に延長
2.構造計算適合性判定制度の導入
一定の高さ以上の建築物について従来の審査に加えて民間審査による構造計算審査が義務化
- 木造:高さ13m超又は軒の高さ9m超等、鉄筋:高さ20m超等
3.建築確認申請図書の補正禁止
誤字・脱字など軽微な場合を除き、建築確認申請図書に不備があった場合は、再申請が必要
4.着工後の計画変更申請を義務化
着工後、計画変更が生じた場合は、計画変更申請が必要となり、申請期間中は工事中断
5. 3階建て以上の共同住宅に対する中間検査の義務付け
中間検査で建築確認申請図書と施工実態が相違した場合は、工事を中断し、計画変更申請が必要
改正建築基準法は2003年7月1日から施行されています。
前回の改定はシックハウス対策が目的でした。
建築基準法改正の背景
建築基準法改正の内容
シックハウス対策のための強制力のある規制です。
- 1.クロルピリホスを添加した建材の使用禁止
- 2.ホルムアルデヒドを発散する恐れのある建材の使用制限
- 3.24時間(常時)換気が可能な換気設備の設置義務化
建築基準法改正の背景
1.高気密・高断熱住宅の普及
- 1)住宅の気密性の向上や、冷暖房の普及等、ライフスタイルの変化に伴って、 家全体の換気量が減少。
- 2)化学物質を発散する建築材料や家庭用品の普及。
シックハウス症候群が急増
2.シックハウス症候群とは
建材などに含まれる化学物質が揮発し、室内に滞留
部屋に滞留した化学物質によって、めまい、吐き気、頭痛・眼・鼻・のどの痛み等の症状が発生する。
3.住宅における化学物質の発生源
現代の住宅からはこんな化学物質が発生しています。
4.国によるこれまでのシックハウス対策
1)室内濃度指針値の設定
室内汚染物質の指針値と健康への影響 ※新築の場合は1000μg/m3
対象物質 | 室内濃度指針値 | 主な用途 | 健康への影響 |
---|---|---|---|
ホルムアルデヒド | 0.08ppm | 板、パーティクルボード、壁紙、接着剤 | 鼻、咽頭の刺激、流涙、くしゃみ、せき、吐き気、呼吸器障害、発がん性 |
トルエン | 0.07ppm | 施工用接着剤、塗料溶剤、ワックス溶剤 | 倦怠感、知覚異常、吐き気 |
キシレン | 0.20ppm | 塗料溶剤、樹脂、ワックス溶剤 | 眼・咽喉の刺激、知覚障害、吐き気 |
パラジクロロベンゼン | 0.04ppm | 防虫剤 | 眼・鼻・のどの刺激、咽頭痛、悪心、嘔吐、肝・腎機能低下 |
エチルベンゼン | 0.88ppm | 塗料、接着剤 | 眼・皮膚、気道の刺激、中枢神経への影響 |
スチレン | 0.05ppm | 発砲スチロール | 眼・皮膚、気道の刺激、喘息 |
フタル酸ジ-n-ブチル | 0.02ppm | プラスチック、塩化ビニルの可塑剤 | 吐き気、頭痛、めまい |
クロルピリホス | 0.07ppm | シロアリ駆除剤 | 倦怠感、頭痛、めまい、悪心、嘔吐 |
テトラデカン | 0.04ppm | 有機溶剤 | 皮膚刺激性 |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル | 7.6ppm | 壁紙(塩ビ)の可塑剤 | 内分泌攪乱性(環境ホルモン)の指摘あり |
ダイアジノン | 0.02ppm | 有機リン系殺虫剤 | 神経毒性 |
アセトアルデヒド | 0.03ppm | 防腐剤、溶剤 | 頭痛、動機などの健康影響 |
フェノブカルブ | 3.8ppm | 防蟻剤 | 倦怠感、頭痛、めまいなど |
トータルVOC | 400μg/m3 (暫定) |
室内に存在する全ての揮発性有機化合物の総称 |
2)ガイドライン・マニュアルの作成
健康住宅研究会が発行。
- ①「室内空気汚染の低減のための設計・施工ガイドライン」
- ②「室内空気汚染の低減のためのユーザーズ・マニュアル」
3)住宅金融公庫割増融資制度
- 室内環境に配慮した住宅の建設を支援することが目的。
- 換気設備設置工事単独で融資を受けられるようになる。(50万円/戸)
4)住宅性能表示制度
「空気環境に関すること」の中に、下記の3項目の評価を表示すること。
- ①ホルムアルデヒド対策
- ②全般換気
- ③局所換気
5)クロルピリホスの使用自粛の要請
(社)日本しろあり対策協会に対して、クロルピリホスの使用を平成14年3月までに段階的に自粛していくよう、要請した。
実態調査では約3割の住宅で、ホルムアルデヒドの濃度が、厚生労働省の定める指針値を上回っていることが判明しました。
シックハウス対策では、初めての強制力を持つ法規制として建築基準法が改正されました。
違反した場合は罰金30万円以下(建築基準法99条五)
改正建築基準法の内容
改正建築基準法に対応した「建築物のシックハウス対策マニュアル」に基づいた内容です。
改正施行後の規制
規制対象とする化学物質
- クロルピリホス※1
-
- 使用禁止:居室を有する建物には、クロルピリホスを添加した建材の使用を禁止する。
- 適応除外:建築物の部分として5年以上使用したものは除外されます。
- ※1クロルピリホスとは?
クロルピリホスとは、シロアリ駆除などに使われている有機リン系殺虫剤です。けいれん、脱力感、感覚マヒ等の神経障害を引き起こします。
- ホルムアルデヒド※2
-
- 内装仕上げの制限:居室の種類および機械換気回数に応じて、内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限をおこなう。
- 換気設備の義務付け:ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合でも、家具からの発散があるため、機械換気設備の設置を義務付ける。
- 天井裏の制限:天井裏については、下地材をホルムアルデヒドの発散の少ない建材とするか、機械換気設備を天井裏等も換気できる構造とする。
- ※2ホルムアルデヒドとは?
ホルムアルデヒドとは、非常に揮発性の高い有機化合物の一つで、合板、パーティクルボード、壁紙用接着剤等に使用されています。のどの痛み、頭痛、睡眠障害を引き起こします。
ホルムアルデヒドに関する規制の住宅のタイプ別対応方法の例
ホルムアルデヒド対策の対象となる範囲
対象となるのは全ての建築物の居室※3です。
住宅等の居室 | 住宅等の居室以外の居室(下記の建物は一例です) | |||||
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建築物 | 戸建住宅 | 集合住宅 | オフィス | 病院 | 学校 | 店舗 |
居室 |
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- ※3居室とは?
「居室」とは、法第2条第4号で「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」をいう。
住宅の居室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室、家具その他これに類する物品の販売業を営む店舗の売場をいう。
また、常時開放された開口部を通じてこれらと相互に通気が確保される廊下等も含まれる。
居室以外でも換気計画上 居室と一体にみなされる場合
通常は対象外と判断される廊下・トイレ・浴室等は、換気計画上、居室と一体的に換気を行う場合に居室とみなされます。
例:ドアに高さ1cm程度のアンダーカットがある場合等、通風が確保される建具※4を使用する場合(有効開口面積で100~150cm2程度。)
sup- ※4通気が確保される建具とは?
換気ガラリ、アンダーカットのあるドアが該当します。
また、折れ戸、引き戸、ふすま、障子はそれらの4周等に十分な隙間が存知するため、通気が確保される建具にあたります。
換気ガラリ | アンダーカット | 折れ戸 | 引き戸 | ふすま、障子 |
---|---|---|---|---|
- 換気計画上居室と一体にみなされるゾーン
収納スペースでも換気計画上 居室と一体にみなされる場合
排気経路のみの場合は、居室とはみなされません。
収納スペースでも換気計画上居室と一体的に換気を行う場合に居室とみなされます。
例:収納スペースなどで、換気計画上居室と一体的に換気を行うため居室への給気経路となる部分。
- 換気計画上居室と一体にみなされるゾーン
ホルムアルデヒド対策の内容
1.内装仕上げの制限
- 1)建材の使用区分
-
- 居室の種類および換気回数に応じて、ホルムアルデヒドを発散する内装仕上げ用建材※5の使用面積が制限されます。
- ※5内装仕上げの対象は?
- 対象:壁、床、天井とこれらの開口部に設ける建具の室内に面する部分。
- 対象外:柱等の軸材、間柱、回り縁、手すりなどの造作部分、窓台等の部分。
ホルムアルデヒドの発散速度 ホルムアルデヒドの発散建築材料 内装仕上げの制限 名称 新規格 従来規格 0.005mg/m2h以下 - F☆☆☆☆ JIS規格:E0、JAS規格:Fc0 制限なし 0.005超0.02mg/m2h以下 第3種 F☆☆☆ JIS規格:E0、JAS規格:Fc0 使用を制限 0.02超0.12mg/m2h以下 第2種 F☆☆ JIS規格:E1、JAS規格:Fc1 0.12mg/m2h超 第1種 F☆ JIS規格:E2、JAS規格:Fc2、無等級 使用禁止
- 2)第2種、第3種ホルムアルデヒド発散建築材料を用いる場合
-
- 原則として、住宅等の居室では、0.5回/h以上、その他の居室では0.3回/h以上の換気回数を確保できる有効換気量を有する機械換気設備の設置が義務付けられている。
- 第2種、第3種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積と必要換気回数※6は下記の算式が適用されます。
- ※6換気回数とは?
- 換気回数とは部屋の容積を単位とした、1時間あたりの換気能力をいう。
- 換気回数:0.5回/h → 1時間に部屋の半分の空気が入れ替わる。
- 計算方法
- ①換気設備の換気回数を設定する。
- ②ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積を調べる。(第2種は何m2?第3種は何m2?)
- ③下表から係数(第2種はN2、第3種はN3の係数)を拾い式に当てはめて計算する。
- ④算出した数値が床面積以下なら使用可能。
- N2:下記表の(N2)欄の数値
- N3:下記表の(N3)欄の数値
- S2:第2種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積
- S3:第3種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積
- A:居室の床面積
居室の種類 換気回数 (N2)第2種の係数 (N3)第3種の係数 住宅等の居室 0.7回/h以上 1.2 0.20 0.5回/h以上0.7/h回/h未満 2.8 0.50 住宅等の居室以外の居室 0.7回/h以上 0.88 0.15 0.5回/h以上0.7回/h未満 1.4 0.25 0.3回/h以上0.5回/h未満 3.0 0.50 - 天井高さと換気回数の緩和
天井高さが高い場合は、換気回数が緩和されます。
2.換気設備設置の義務付け
ホルムアルデヒドを発散する建築材料を使用しない場合でも、家具からの発散があるため、
居室には
- 1) 換気設備
- 2) 空気を浄化して供給する方式の機械換気設備
- 3) 中央管理方式の空気調和設備
のいずれかに適合する構造の換気設備の設置が義務付けられます。
- 1)換気設備
-
有効換気量(V)が次の式によって計算した必要有効換気量以上であること。
V=右表の換気回数(回/h)・A・h
- V:有効換気量(m3/h)
- A:居室の床面積(m2)
- h:居室の高さ(m)
居室の種類 | 換気回数 |
---|---|
住宅の居室等 | 0.5回/h以上 |
上記以外 | 0.3回/h以上 |
- 換気回数は、機械換気のみで必要。
- 機械換気設備の構造
-
- 給気・排気共に換気経路の全圧力損失が計算された能力を有するものとする。
- ホルムアルデヒド対策のための換気設備は、常時運転できるものとしなければならない。 このため、換気システムのスイッチは容易に停止されないものとすることが望ましい。
- 24時間(常時)換気システムの種類
-
風の流れ: …機械換気 …自然換気
換気の種類 換気の特長 注意事項 第1種換気方式 - 給気・排気とも機械換気で強制的に行う換気方法。
- 機械換気の中で最も確実な給気・排気が可能。
- 空気の流れを制御しやすく戸建・集合住宅ともに適しています。
- 各居室に給気機を設置
- 圧力損失と送風機能力の適合性の確認は給気及び排気の両方について行うことが基本。
- 給気及び排気のいずれかの風量の合計が必要換気回数以上であることが必要であり、他方の風量の合計も同程度として給気量と排気量のバランスをとる必要がある。
第2種換気方式 - 給気は機械換気で行い、排気は排気口から自然に行う換気方式。
- 建物の気密度によっては、室内の湿気が壁内へ浸入する恐れがあり、内部結露が起こる可能性が高い。
- 特に寒冷地は注意。
第3種換気方式 - 排気は機械換気で強制的に行い、給気は給気口などから自然に行う換気方式。
- 排気が機械換気のため、湿気が壁内へ侵入しにくい。
- 高気密住宅では、低コストで計画換気が可能。
- 各居室に給気口を設置
- 低気密住宅の場合、換気経路が確保されにくく計画換気ができない。
- 居室内が換気設備により減圧されるため、天井裏等より空気が流入する恐れがある。そのため、この機械換気方式を採用する場合、天井裏等にも換気設備が必要となる事がある。
- 利用時間帯が限定される居室の換気
-
居室の利用時間帯が日常的に限定される事務所等の建築物においては、夜間等の人の不在時に限って換気設備の運転を停止する運用も考えられる。ただし、停止時には相対的に高濃度化するホルムアルデヒド濃度を換気設備再稼働時に所要のレベルまで速やかに低減できるための措置を講ずることが必要である。
- 冬期の換気量について
-
- 建築基準法では、夏季の室内外の温度差が少ないときには、自然換気による換気では必要な換気量が確保できないため、機械換気のみで有効換気量が確保されなければいけないと規定している。従って、冬期等において自然換気による換気が見込める条件下では、機械換気設備による換気と自然換気による換気とを併せて必要有効換気量(住宅等の居室では換気回数0.5回/h、その他の居室では0.3回/h)以上の有効換気量が確保されていればよいとされる。
- 自然換気回数はC値※72cm2/m2以下の場合は0.1回/h、2cm2/m2より大きな場合は0.2回/hで見積もることができる。
- 例:機械換気設備の能力としては0.5回/hに相当する換気量を確保した上で、冬季においてC値2cm2/m2以下の場合は換気回数0.4回/h、C値2cm2/m2より大きな場合は換気回数0.3回/hに相当する機械換気量まで低減可能な風量調節スイッチを0.5回/h運転用スイッチに加えて設けることもできる。
住宅の相当隙間面積 | 換機械換気回数 |
---|---|
C値≦2cm2/m2の住宅 | 0.5回/h → 0.4回/h |
C値>2cm2/m2の住宅 | 0.5回/h → 0.3回/h |
- ※7C値とは?(隙間相当面積)(αA´)
- 住宅の気密度を表す値で、床面積1m2あたりどのくらい隙間があるかをいい、単位は[cm2/m2]で表します。
- C値が小さいほど高気密となります。
- 「C値」は「隙間相当面積」、「αA´」とも言いい、同じ意味を示します。
- 2)空気を浄化して供給する方式の機械換気設備
-
1)換気設備の有効換気量に相当する換気換算量(Vq)を有することを告示基準に適合するか、大臣認定を受けたものとする。
Vq=Q(1-C/Cr)+V
例:ホルムアルデヒドを除去できる空気清浄機能付換気設備
- 3)中央管理方式の空気調和設備
-
原則として次の式の数値以上の有効換気量(V)を換気する能力を有することとする。
V=10(E+0.02n・A)
例:ビル用のエアハンドリングユニット(大規模で業務用途・一般住宅には向かない。)
- V:有効換気量(m3/h)
- A:居室の床面積(m2)
- Vq:有効換気換算量(m3/h)
- Q:浄化して供給する空気の量(m3/h)
- C:浄化した空気に含まれるホルムアルデヒドの量(mg/m3)
- Cr:室内の空気に含まれるホルムアルデヒドの量(mg/m3)
- E:内装仕上げ材のホルムアルデヒドの発散量(mg/m2・h)
- n:住宅等の居室の場合は3、その他の居室は1
3.天井裏等の対策
天井裏等※8については、以下の3通りの方法があり、いずれかの対策が必要です。
- ※8天井裏等とは?
- 居室に面する天井裏、小屋裏、床裏、壁、物置その他これらに類する部分で、押入などの収納スペースもこれに該当する。
- ただし、収納スペースなどで、換気計画上居室と一体的に換気を行うため居室への給気経路となる部分は、居室とみなすことになる。
- 1) 天井裏等の下地による対策
- 第一種(F☆)、第2種(F☆☆)の建材を使用しない。
- 第3種(F☆☆☆)以上を使用する。
- 2) 気密層または通気止めによる対策
- 気密層又は通気止めにより、居室へのホルムアルデヒドの流入を抑制する。
- 参考:
- ①省エネ基準で定められた気密材料
- ②厚さ0.1mm以上の住宅用プラスチック系防湿フィルム(JIS A 6930-1997)
- ③透湿防水シート(JIS A 6111-2000)
- ④合板など
- ⑤吹付け硬質ウレタンフォーム断熱材(JIS A 9526-1999)
- ⑥乾燥木材等(重量含水率20%以下の木材、集成材、積層材など)
- ⑦鋼製部材
- ⑧コンクリート部材
- 3) 換気設備による対策
- 天井裏等は、基本的には「1.天井裏等の下地による対策」及び「2.気密層または通気止めによる対策」で対策することが望ましい。
- やむを得ず換気による対策を行う場合、換気設備の種類によって以下に示す事項の検討が必要となる。
- ①居室に第1種換気設備を設ける ただし居室内部の空気圧が天井裏等の空気圧を下回らないものであること。(給気量≧排気量)
- ②居室に第2種機械換気設備を設けること。
- ③居室に第3種機械換気設備を設ける場合は、居室が天井裏等より負圧にならないように天井裏等にも排気が必要となる。
その他
ユーザー(御施主)さまへの事前ヒヤリング
住宅・建築物の設計を行う際、入居者等との打合せの初期の段階で室内空気質やライフスタイルについて、ヒヤリングを行い、入居者等の希望、健康状況等を確認し、その内容に応じて必要な場合には対策を盛り込んでおくことが大切とされています。
ユーザー(御施主)さまへの説明
住宅やその他の建築物の供給者は、今回の建築基準法改正により達成される室内空気環境の目標について、入居者やその建物の持ち主、使用者などに対して正しく理解していただくよう、十分な説明・情報提供を行うことが大切であるとされています。
また、この内容については「住まいのしおり」等に明示し説明することが必要です。
建築基準法で達成される目標
住宅やその他の建築物の供給者は、今回の建築基準法改正により達成される室内空気環境の目標について、入居者やその建物の持ち主、使用者などに対して正しく理解していただくよう、十分な説明・情報提供を行うことが大切であるとされている。
建築確認・検査
改正建築基準法に基づくシックハウス対策について
国土交通省のホームページにて情報が公開されています。
改正建築基準法に対応した「建築物のシックハウス対策マニュアル」
-建築基準法・住宅性能表示制度の解説及び設計施工マニュアル-
発行
第2版(付録CD)
定価
7,142円(税別)
編集
- 国土交通省住宅局建築指導課
- 国土交通省住宅局住宅生産課
- 国土交通省国土技術政策総合研究所
- 独立行政法人建築研究所
- 日本建築行政会議
- シックハウス対策マニュアル編集委員会
印刷・発行
工学図書株式会社
入手方法
下記の2通りの方法があります。
- 1.電話で書籍購入申込書を依頼し、FAXで申し込んでください。
- 2.下記URLの出版物リストから申し込んでください。
財団法人日本建築センター情報事業部
TEL:(03)3432-8156
FAX:(03)5472-0302
http://www.bcj.or.jp/
適用除外となる建築物
改正建築基準法のホルムアルデヒド対策における適用除外項目の解説です。
適用除外となる建築物とは?
- 1.外気に常時開放された開口部の換気上有効な面積の合計が、床面積1m2あたり、15cm2以上設けられた居室。
参考:床面積1m2あたり、15cm2とは?
- 6畳間 :直径13.6cm相当の穴
- 8畳間:直径15.7cm相当の穴
- 10畳間:直径17.6cm相当の穴
- 2.真壁造の在来木造工法で、旧来型の木製建具を使用するもの。
参考:真壁造とは?
- 面が柱と柱の間に納まり、柱が見える壁仕上げのこと。
- 伝統的和風建築物に採用される。一般に気密確保が難しいとされている。
適用除外となる内装仕上げ材は?
建築物の部分として5年以上使用したものは除外されます。
計算例
天井高さと換気回数の緩和
天井高さが高い場合の、換気回数が下記の通り緩和されます。
換気回数0.7回/h相当の換気が確保されている居室/天井の高さ2.7m以上
天井高さ(m) | 2.7以上3.3未満 | 3.3以上4.1未満 | 4.1以上5.4未満 | 5.4以上8.1未満 | 8.1以上16.1未満 | 16.1以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
換気回数(回/h) | 0.6 | 0.5 | 0.4 | 0.3 | 0.2 | 0.1 |
換気回数0.5回/h相当の換気が確保されている居室/天井の高さ2.9m以上
天井高さ(m) | 2.9以上3.9未満 | 3.9以上5.8未満 | 5.8以上11.5未満 | 11.5以上 |
---|---|---|---|---|
換気回数(回/h) | 0.4 | 0.3 | 0.2 | 0.1 |
換気回数0.3回/h相当の換気が確保されている居室/天井の高さ3.5m以上
天井高さ(m) | 3.5以上6.9未満 | 6.9以上13.8未満 | 13.8以上 |
---|---|---|---|
換気回数(回/h) | 0.2 | 0.1 | 0.05 |
スイッチへの工夫
特に住宅の場合は、居住者が常時換気設備を適切に作動させるよう、スイッチに工夫を行うことが望ましいとされています。
例:スイッチへの工夫
- 常時運転を指示する注意書きの貼り付けのあるもの
- 切りボタン(OFFスイッチ)にカバーを設けた構造のもの
- 長押しで作動する構造の切りスイッチ
- 常時運転の浴室換気設備(暖房、乾燥機能付きを含む)で、冬季入浴時の冷気流対策として、自動復帰する一時停止スイッチ及び、風量を低減するスイッチ
- 第3種換気設備の自然給気口で、強風時用のシャッターを備え、通常時は開放状態を保持する旨を注記したもの
ユーザー(御施主)さまへの事前ヒヤリング
住宅・建築物の設計を行う際、入居者等との打合せの初期の段階で室内空気質やライフスタイルについて、ヒヤリングを行い、入居者等の希望、健康状況等を確認し、その内容に応じて必要な場合には対策を盛り込んでおくことが大切です。
事前の確認と合意は、空気汚染対策を効率的に行うための基礎となります。
1.事前の合意
- 1) 住まい手が求める室内空気質のレベルとコストについては十分な話し合いをもち、設計内容について事前の合意を得ておくことが必要であること。
- 2) 例えば、厚生労働省の指針値や建材のJISやJASについてよく説明し、住まい手の要求レベルを確認するとともに、施行後の性能確認の方法についても合意しておくことなどが考えられる。
2.事前説明
- 1) 建築基準法で定められたホルムアルデヒド対策を守れば、通常の状態ではホルムアルデヒドの室内濃度が厚生労働省の指針値を超えることはないと考えられるが、特異な気象条件(例えば異常な高温度・高湿度)やシックハウス問題への配慮を欠くような建築物の使い方(喫煙や開放型ストーブの使用、不適切な生活用品の使用等)によっては例外的にホルムアルデヒドの測定濃度が指針値を超えることがあること。
- 2) いかなる場合においても測定濃度が指針値を越えないことを保証するものではないこと。
ユーザー(御施主)さまへの説明<換気に関する注意事項>
住宅やその他の建築物の供給者は、今回の建築基準法改正により達成される室内空気環境の目標について、入居者やその建物の持ち主、使用者などに対して正しく理解していただくよう、十分な説明・情報提供を行うことが大切であるとされており、具体的には、以下のような配慮事項について「住まいのしおり」等に明示し説明することが必要です。
1.生活に伴う汚染物質への配慮
- 1) 適切な換気に心がけること。
- 2) 換気設備の維持管理に心がけること。
- 3) 化学物質の発生源となるものをなるべく減らすこと。
2.連続運転が基本
- 1) 全般換気設備は常時連続運転が基本であること。
- 2) 新築当初や増改築直後は室内の化学物質の放散量が多いので、入居してからしばらくの間は、換気や通風を十分行うことを心がけること。
3.通風への配慮
窓開けによる通風は、喫煙時など急速に換気を行う必要がある場合に有効な換気手法であり、建物の屋内全域にわたる通風は冷暖房エネルギーを節約し、室内の快適性を向上させる効果がある。ただし、一部の窓だけを開放しても窓が閉まったままの居室の空気質は向上しないことに注意する必要があること。
4.室内湿度への配慮
- 1) 住宅室内の相対湿度は、高すぎても低すぎてもいけないこと。(高:結露・カビ発生の危険性増、低:風邪をひきやすい)
- 2) 室内相対湿度の目安は、40〜70%が参考となる。
- 3) 加湿器を使用する場合は、その取扱説明書に従い、室内湿度を目安の範囲に保つ必要があること。
- 4) 知らずに室内が過度に湿気ることを防止するために、植物や水槽など様々な水蒸気発生源が室内にあることを認識する必要があること。
5.換気設備に維持管理に関する注意事項
換気設備は、機器、ダクト、室内端末(給排気グリル)、屋外端末(ベントキャップなど)および電気設備(電源、スイッチ、タイマー、センサーなど)により構成されており、これらを適切に維持管理し、その機能を発揮させることが重要であること。
- 1) 防虫網、フィルターなどの清掃 送風機ユニットの外気取入れ口に金網やフィルターを使用している場合、それらが目詰まりすると新鮮空気の供給がストップしてしまうので、定期的な清掃が必要であること。
- 2) 室内端末、レンジフードファンなどの清掃 ・室内端末の給気口にフィルターが付いている場合も定期的な清掃が不可欠であること。
- レンジフードファンは特に油で目詰まりしやすいので定期的な清掃が不可欠であること。
- 3) 家具の配置 ・給気口と排気口は室内空気が居室全体をまんべんなく流れるよう配置されているので、その気流の妨げになるような家具の配置を避ける必要があること。
- 特に室内端末をふさぐような家具の配置は絶対避けなければならないこと。
- 加湿器を使用する際は排気口付近に設置しないこと。
- 4) 発生源に関する注意事項 ・新しい家具やカーテン、じゅうたん、家具や床に塗るワックス類にも、化学物質を放散するものがあるので注意が必要であること。
- 芳香剤、防虫剤、消臭剤、洗剤、香水、化粧水、整髪料なども発生源となることがあること。
- 室内でタバコを吸うことは避けたほうが望ましいこと。
建築基準法で達成される目標
住宅やその他の建築物の供給者は、建築基準法により達成される室内空気環境の目標について、入居者やその建物の持ち主、使用者などに対して正しく理解してもらうよう、十分な説明・情報提供を行うことが大切である。
- 1) 建築基準法による規制対象物質は、 ホルムアルデヒド及びクロルピリホスの2物質である。従って建築基準法を満たせば、それで全ての室内空気汚染が防止できるわけではないということ。
- 2) 前述したように、建築基準法で定められたホルムアルデヒド対策を守れば、通常、ホルムアルデヒドの室内濃度が厚生労働省の指針値を超えることはないと考えられるが、特異な気象条件(例えば異常な高湿度)やシックハウス問題への配慮を欠くような建築物の使い方(例えば喫煙や開放型ストーブの使用、不適切な生活用品の使用など)によっては、例外的にホルムアルデヒドの測定濃度が指針値を越えることがあり、いかなる場合であっても、測定濃度が指針値を超えないことを保証するものではないこと。
- 3) 建築基準法で想定している条件とは、科学物質の室内濃度が高くなる夏季において、窓を閉めて冷房を行い(28℃)、24時間換気システムを運転している状態であること。
改正施行後の建築確認・検査のフロー
必要書類
建築確認 | 中間検査・完了検査 | |
---|---|---|
建材 | 「使用建築材料表」を申請書に添付する。
|
写真を申請書に添付する
工事管理状況表(申請書4面)に記載する
|
換気設備 | 建築設備の種類」に別紙を添付(※記載例1)
|
工事管理状況表(申請書4面)に記載する
|
天井裏等 | 「建築設備の種類」に別紙を添付(※記載例2)
|
工事管理状況表(申請書4面)に記載する
|
記載例1
確認申請書 第二号様式(第四面)建築物別概要
(略)
【8.建築設備の種類】の別紙
室名 | 床面積 m2 |
平均天井高 m |
気積 m3 |
換気種別 | 給気機器による給気量(A)※2 m3/h |
排気機器による排気量(B)※3 m3/h |
換気回数 n |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1F居間 | 24.30 | 2.50 | 60.75 | 給気機及び排気機※1 | 40.00 | - | - |
1F台所 | 8.28 | 2.50 | 20.70 | 20.00 | - | - | |
1F和室 | 17.40 | 2.50 | 43.50 | 30.00 | - | - | |
1F廊下 | 19.87 | 2.50 | 43.05 | - | 80.00 | - | |
2F洋室1 | 10.00 | 2.40 | 24.00 | 20.00 | - | - | |
2F洋室2 | 10.00 | 2.40 | 24.00 | 20.00 | - | - | |
2F主寝室 | 14.91 | 2.40 | 35.78 | 30.00 | - | - | |
2F廊下 | 14.90 | 2.40 | 35.76 | - | 70.00 | - | |
合計 | 297.55 | 160.00 | 150.00 | 0.53 |
- ※1:第1種換気の場合…『給気機及び排気機』 と記載
第2種換気の場合…『給気機及び排気口』 と記載
第3種換気の場合…『給気口及び排気機』 と記載 - ※2:第3種換気の場合は空欄でよい。
- ※3:第2種換気の場合は空欄でよい。
記載例2
天井裏等 | 室名 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1F 居間 |
1F 台所 |
1F 和室 |
1F 廊下 |
2F 洋室1 |
2F 洋室2 |
2F 主寝室 |
2F 廊下 |
|
2F小屋裏 | 気密層 | |||||||
1F天井裏 (2F床裏) |
給気機による給気量(A) > 排気機による排気量(B)により、 1F天井裏(2F床裏)は居室より負圧に措置済み |
|||||||
1F床裏 | 気密層 | |||||||
外壁 | 気密層 | |||||||
… | … | |||||||
間仕切壁1 | 通気止 | - | 通気止 | - | - | - | - | - |
間仕切壁2 | 通気止 | 通気止 | - | - | - | - | - | - |
… | … | … | … | … | … | … | … | … |
収納 | - | - | 第3種材料使用 | - | 第3種材料使用 | 第3種材料使用 | - | - |
… | … | … | … | … | … | … | … | … |