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星空の散歩道

国立天文台 副台長 渡部潤一 Junichi Watanabe国立天文台 副台長 渡部潤一 Junichi Watanabe

 Vol.106

春の流れ星を探そう

今年の日本列島は一斉に春がやってきたようだ。星空のほうも冬の星座が西に傾き、堂々と光る木星を従えたしし座が天高く過ぎゆくようになり、まさに春の星空全開である。この季節、ぼんやりとかすむようになる夜空に、ちょっとした流星群が現れる。

まずは4月後半に現れる4月こと座流星群である。いささか知名度が低いのだが、天文ファンにとっては、新学期が始まってから最初の流星群となる。三大流星群ほど大規模ではないが、なにしろ1月上旬のしぶんぎ座流星群以降、この4月こと座流星群までの間は目立った流星群がないので、天文ファンにとって待ち遠しい流星群の一つだ。

流星群は、その放射点(流星群に属する流星が、放射状に飛び出すように見える天球上の一点)がある星座名あるいは恒星の名前で呼ばれる。同じ星座に複数の流星群がある場合は、さらに出現する月を冠する。つまり、4月こと座流星群は、放射点が夏の星座であること座にあり、4月に出現する流星群なのである。 特に、こと座は小さい星座なので、放射点は一等星ベガの近くとなる。その意味でも、ベガから飛び出すように見えるという、きわめてわかりやすい流星群である。最もたくさん現れるのは4月21日から23日にかけてで、今年の極大は4月22日午前9時頃とされている。すなわち21日から22日の明け方にもっとも多くの流星が出現すると期待される。ごくまれに出現が活発になる性質があり、いわば気まぐれな流星群として知られているが、通常は出現数は少ない。さらに今年はちょうど極大の日である22日が満月となって、その明るい月の光に邪魔されてしまうため、見られる数は少なくなってしまうだろう。朧の満月が南の空に低く浮かぶ夜空をぼんやり見ながら、散発的に飛ぶ流れ星をゆったりと探してみたい。

2016年4月22日、こと座流星群の活動が極大となる。 (提供:アストロアーツ)

もうひとつ、春の楽しみな流星群がゴールデンウィークに出現する。みずがめ座η(エータ)流星群である。みずがめ座は広い星座なので、流星群も複数あるため、放射点がある近くの恒星名をとって区別している。他にもみずがめ座δ(デルタ)南流星群、みずがめ座δ(デルタ)北流星群、みずがめ座ι(イオタ)北流星群、みずがめ座κ(カッパ)昼間流星群などがある。みずがめ座η流星群は、その中でもかなり大規模だ。三大流星群ほどではないものの、それに次ぐ出現を見せる流星群だ。放射点が高く上ってくる明け方には、観察条件さえ良ければ一時間に数十個程度の流れ星を数えることができる。その出現の今年の極大は 5月6日明け方と予想されている。6日は金曜日の平日となるのだが、今年はぜひ観察をお薦めしたい。というのも、こと座流星群と反対に、ちょうど7日が新月なので、月明かりの影響がほとんどなく観察できるからだ。みずがめ座流星群の活動は連休の後半、3日頃から目立ちはじめるので、6日明け方の極大でなくても、ある程度の数の流れ星に出会うことが出来るだろう。

みずがめ座η流星群の観察は夜半後、明け方近くがベストである。というのも、放射点が上ってくるのが、こと座流星群に比べても遅いからだ。こと座は夏の星座なので、夜半には上ってくるが、みずがめ座は秋の星座である。そのために、午前3時過ぎにならないと放射点が充分な高さにならない。放射点が高ければ高いほど流星数は増えるので、明け方がベストと言うことになる。ゴールデンウィークの休みを利用して、夜空が暗い場所でぜひ流れ星を探してみて欲しい。

2016年5月6日、みずがめ座η流星群の活動が極大となる。 (提供:アストロアーツ)