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星空の散歩道

2010年9月16日 vol.58

天王星を探してみよう

 前々回のこのコラム(参照:vol.56「木星に異変 縞が消えた」)でも取り上げた木星が、いまちょうど見頃を迎えている。明るい星の少ない秋の夜空で一際、明るい輝きを放っている様子は、晴れていれば誰でも気づくだろう。今月の22日には衝、つまり太陽と反対方向に位置するタイミングとなるので、日が沈むと東の空から上り、真夜中に真南にきて、明け方には西に沈むので、ほぼ一晩中見えている。木星のどっしりとした輝きは、明るさだけでなく、惑星の中の王者の風格を感じさせる。他の恒星のように瞬くことも少ないためだ。これは木星が面積を持っているので、大気の揺らぎの影響を受けにくいからである。

参考:9月19日0時の木星と天王星(視野1度)(ステラナビゲータ Ver.8/アストロアーツで作成しました)

参考:9月19日0時の木星と天王星(視野1度)(ステラナビゲータ Ver.8/アストロアーツで作成しました)

 ところで、木星は約12年で天球上の黄道、つまり太陽の通り道に沿って一周する。その間、いろいろな惑星と接近することになる。火星、土星、金星などと接近するときには、ちょっとした天文ショーとなって、人目を引く現象になる。ただ、天王星や海王星といった肉眼では見えない惑星との接近は、それほど話題になることはない。だが、天文ファンにとっては、これは絶好のチャンスである。木星を目印にして海王星や天王星を簡単に探し出せるからだ。

 土星よりも遠い惑星は、もともと暗い。天王星は6等、海王星にいたっては8等星である。この明るさでは簡単には肉眼では見えない。天王星はぎりぎり肉眼で見える明るさなのだが、誰も惑星として認識したことはなかった。そのために望遠鏡の発明以前には知られていなかった惑星なのである。これらの暗い惑星を単独で探し出すには、相当の"腕"がいる。それぞれの位置と、その周囲の8~9等星まで描かれた星図を用意し、近くの明るい星から辿っていくか、コンピューター制御された望遠鏡を使って探し出すことになる。たとえ後者の方法でも、いざ眺めてみると、同じような明るさの恒星が視野内にたくさんあったりして、どれが目指す海王星や天王星かわからない場合も結構、多い。しかし、木星などの明るい惑星と接近していると、そんな苦労はいらない。木星との位置関係さえつかめていれば、簡単に探し出せるからである。海王星の場合には、昨年に何度か、条件の良い木星との接近があり、このコラムでも紹介した(参照:vol.42「明け方の空に海王星を探そう」)。今月は、天王星の番である。しかも、今回の接近は星の少ない、うお座で起きるために、他の恒星と見間違えることもない。

 木星と天王星が最も接近するのは9月19日明け方。この時には、両者の距離は1度以内、つまり満月の2倍程度の距離にまで接近し、双眼鏡はもちろんだが、倍率が50倍程度の天体望遠鏡でも同一視野にはいるはずだ。その眺めはなかなか楽しい。木星のまわりにくっついているガリレオ衛星たち、そしてガリレオ衛星程度の明るさの天王星が一緒に眺められるのである。木星も天王星も動きが遅いので、最接近の9月19日前後1週間程度は探し出せると思うが、中秋の名月が近づくと月明かりが邪魔となるかもしれない。19日以後、両天体の間隔は次第に開いていくが、11月中旬ごろから再び近づき始め、来年1月4日には再び接近することになる。

 天王星は、珍しく自転軸が横倒しになった惑星である。ちょうどいまは赤道部分がこちら側、つまり太陽を向いている状態である。ただ、いくら倍率を上げても、天王星はやっと有限な面積をもつ円盤に見える程度。なにしろ、そのみかけの直径は4秒角程度で、木星の10分の1以下である。日本などでは気流が悪いと、たちまち円盤には見えなくなってしまうほど小さい。もちろん、その表面模様を眺めることは困難である。特徴的なのは、その色だろう。天王星の大気にはメタンガスが含まれているのだが、このガスは赤い色を吸収してしまう性質がある。太陽の光のうち、赤色が吸収されて、残りを反射して光るので、天王星は緑色から青色がかって見えることが多い。ほのかに青みがかった天王星と、黄褐色の木星との色の対比も美しいだろう。

 まずは双眼鏡で木星のそばに輝く天王星を探してみよう。天王星は6等なので、空が良ければ双眼鏡でも見えるはずである。もし天体望遠鏡をお持ちなら、引っ張り出して、50倍以下の低倍率で木星を目印に、天王星を探し出し、その色を楽しんでみたい。