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南の島で星を見よう!~石垣島の星文化を探して~ 日本最南端の天文台がある石垣島。なぜここに天文台が?南の島の星空の魅力は?この夏DSPACE取材班は、石垣島天文台をはじめ、石垣島と星との関わりをご紹介します!

『星の島』石垣島の星文化を探せ!

古くから星と関わってきた八重山の人々

石垣島は星が「くっきり」見えて、南にあるから「見える星が本州と違う」だけではない。大きな魅力は『星文化』だ。八重山の人々は歴史的に星と親しむ理由があった。南西諸島最南端で亜熱帯に属することから四季の移ろいがはっきりせず、時節を知るのに星や月が重要な役割を果たしてきたのだ。だから星にまつわる古謡や民話が多い。

八重山博物館(石垣市)には18世紀頃の「星図」が保存され、八重山各地には星を見るために使った「星見石」がある。そこで取材チームは石垣島のお隣、竹富島へ向かった。目的は「星見石」と、星の形の砂=星砂があり星砂の民話が残るという「星砂の浜」だ。

18世紀頃のものと思われる星図。左側に天の川、中央やや左寄りに「六ツ星」と あるのがすばる。(石垣島天文台で撮影)

石垣島からフェリーで約10分。竹富島は昔ながらの木造赤瓦屋根の家を珊瑚石灰岩の石垣で囲む集落が並ぶ。目指す星見石は、集落のど真ん中、赤山公園内にあった。高さ約1m。「星見石ノ由来」と大きく文字が刻まれている。欠けているところはあるが「・・星ノ出没ノ模様等デ春夏秋冬ノ季節ヲ定メ以テ作物ヲシタト言フ」と読め、星で季節を知り作物を育てたことが伺える。さらに石の真ん中に穴があいている。この穴から星を観測したのかとのぞいてみるが、星を見るには穴の位置が低い?! この石は元々島内の畑にあったものを運んできたもので、どうやって星を観測していたかははっきりしないという。

竹富島の赤山公園にある星見石。この石で、むりかぶし(すばる)の高さを測ることで季節を知り、作物の収穫などに役立てていた。

次の目的地、通称「星砂の浜」こと「かいじ浜」へ自転車を走らせる。浜に出ると、白い砂浜と透明度の高いエメラルドグリーンの海が。その白砂すべてが星形をしていると思ったら大間違いだった。実際は、手のひらに乗せた砂を一粒ずつより分ける・・という根気のいる作業が必要。それだけにわずか数ミリながら確かに星形をした砂に出会う感動は大きい。

この星砂は海藻などに付着した有孔虫の一種パキュロジプシナの死骸が砂浜に打ち上げられたもの。幸福をもたらすと言われているが、「海の大蛇に食べられた星の子供の骨が流れついた」という民話がある。可愛そうに思った東美崎の御嶽(うたき)の神司(つかさ)が星砂を集めて香炉に入れ、祭りの時に線香の煙と共に母星の元に昇らせたというのだ。今でも竹富島では年に一度の東美崎の御嶽の祭りの時には、香炉の星砂を入れ替えているそうだ。

八重山ならではの星の名前。「はいむるぶし」は実は…

星と共に暮らした八重山では、独特の星の呼び名がある。代表的なのは群れている星を意味する「むりかぶし」で「すばる」のこと。もっとも多くの呼び名があるのが金星だ。例えばシカマ星。シカマは八重山の方言で「仕事」のこと。シカマ星が輝きだすと、農作業を終えて、帰路についた。また夕飯時に現れるから「フォイダマー(食いしん坊の意)ブシ」とも。そして石垣島に来て知ったのが「はいむるぶし」という呼び名。南十字星のことと思っていたが造語だった。八重山ではあまり目立たない南十字星より、その横にあるケンタウルス座α、β星を「ぱいがぶし」と呼び(パイは南の意味)、稲の収穫の目安にしていたという。一方、北の星・北極星は干支の子(北)の方角にあることから「にぬふぁぶし(子星)」と呼ばれ、夜、船が「にぬふぁぶし」を目当てに航海するように、親を手本に生きなさい」と、教訓歌「てぃんさぐの花」で謡われていることで、よく知られています。

石垣島=「星の島」としての知名度は年々広がっている。ちなみに今年の「南の島の星まつり」は台風が接近し、ライトダウン星空観望会&夕涼みライブは市民会館に場所を変更した。「八重山星の会」の通事さん曰く「1時間前から大勢の人の長い行列ができ、約1000人収容のホールも立ち見席が出来るほど大入り満員」だったそう。(野外での開催時は、5千~1万人も集まるという)3日前に撮影した天の川を投影したところ大歓声があがり、音楽ライブは市民会館を熱狂の渦に巻き込んだとか。また、今年は、7月に石垣島に漂着したHIIBロケットのフェアリング部分の展示とJAXA職員の解説もあり、星へ宇宙へと市民の関心が高まった。皆さんもぜひ、星の島へ!

photo Snap

  • 竹富島にフェリーで移動。

  • 天気にも恵まれて、ハイビスカスも鮮やかです。

  • 竹富島名物の牛車。時間の流れが違うように感じます。

  • 星見石。昔の八重山の人々はどうやって星の位置を知ったのでしょうか。Dスペェスケも試行錯誤中。

  • 竹富島を一望できる展望台から。昔ながらの赤瓦の風景が広がります。

  • 海まで自転車を走らせます。風が気持ちいいです!

  • かいじ浜で、星砂探し!

  • 星の砂は有孔虫の殻が堆積したもの。手前の大きな星砂はカルカリナという有孔虫で、地元では太陽砂と呼ばれているそうです。

  • 八重泉酒造の泡盛「群か星(むりかぶし)」石垣島天文台にちなんで命名されたそうです。お酒と星が好きな人のお土産にピッタリですね。