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星空の散歩道連載100回&10周年 特別企画

特別企画 第2弾 後編

特別企画 第2弾 後編

DSPACE 星空の散歩道 連載100回&10周年 特別企画「宇宙に夢中の座談会」 これから先の10年を予測しよう!「宇宙に夢中の座談会」 これから先の10年を予測しよう!

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お待たせしました!国立天文台副台長、渡部潤一先生の「星空の散歩道」連載100回&10周年記念、「宇宙に夢中の座談会」後編です。宙ガール代表の篠原ともえさん、宇宙大好きで大変宇宙に詳しいミュージシャンACIDMANの大木伸夫さんと渡部先生の3人は、宇宙のことを話し出すと、まるでビッグバンのように話が膨らみ、とどまることを知りません。
前編では「この10年を振り返ってみよう」をお届けしましたが、後編のテーマは「これから先の10年を予測しよう!」。さて、これからの10年、宇宙を舞台にどんなわくわくする発見が期待できるでしょうか?そして私たちは宇宙に行けるのでしょうか?

  • 国立天文台 副台長 渡部 潤一国立天文台 副台長渡部 潤一
  • 篠原ともえ篠原ともえ
  • ACIDMAN 大木伸夫ACIDMAN大木伸夫

超大型望遠鏡TMTで「第二の地球」発見?超大型望遠鏡TMTで「第二の地球」発見?

篠原ともえさん(以下、篠原)今回は、今後10年がテーマですが、先生が注目されていることはなんですか?

渡部潤一先生(以下、渡部)2014年からハワイ島マウナケア山で口径30mの望遠鏡TMTの建設が始まりました。TMTができると「第二の地球」がどんどんみつかって、その大気の成分がわかってくると期待していますね。

大木伸夫さん(以下、大木)うわー、すごいなぁ・・

渡部そうすると大気の成分の中に生命がいる証拠、たとえば酸素とかオゾンとかがみつかったり、もしかすると葉緑体の兆候が見つかってくる可能性がある。

篠原葉緑体、ですか?

渡部そう。植物の光合成の要で、多くの葉緑素が含まれています。もしこれが他の惑星に見つかると、地球型の生命が進化しているのだろうなとわかってくるんですね。おそらく10年後には、TMTだけじゃなく、ヨーロッパは口径約40mの望遠鏡E-ELTを作ろうとしていますし、米国・韓国などの大マゼラン望遠鏡計画もあって、合計3台の超巨大望遠鏡ができるでしょう。

篠原3台も!?

渡部そう。3台できると、こっちの惑星には地球型の生命がいる、こっちの惑星にはいないという「地球型生命の発生率」が分かってくると思いますね。

大木すごいわ・・

篠原わくわくします!

渡部そうなると、その先を考えるわけですよ。発見した惑星の大気中の酸素や二酸化炭素を調べて、どうも二酸化炭素が増えてる、みたいなことがわかれば温暖化が進んでいるとか、その惑星の「文明のフェーズ」がわかってくる可能性があるんです。そういう文明をもつ惑星を狙って、電波で手紙を送って返事を待つ(笑)

大木なるほど、今まではどこにどんな生命がいるかわからずに送っていたのに、確実に宇宙文明がありそうなところに出すと。

渡部そうですね。既にオーストラリアでは20光年先の惑星に向けて送っています。それから約5年経っているから、もし向こうから返事が来るとしたらあと35年・・。35年って結構近いよねぇ。

篠原へー!すごい!35年後に宇宙人から返事が来るかもしれない!

大木まだぎりぎり生きているかも(笑)。

日本の技術がTMT国際プロジェクトで大活躍!日本の技術がTMT国際プロジェクトで大活躍!

篠原そのような未来の物語に、やっぱり日本は貢献しているんですか?

渡部はい。TMTは国際プロジェクトで、アメリカ、カナダ、日本、中国、インドという、政治的には絶対結びつきそうにないパートナーシップで行っているんです。天文学の特性ですね。

篠原それぞれの国が分担しているわけですか?

渡部望遠鏡本体はどこの国が作る、鏡はどこの国が作りたいと、それぞれの国はやりたいことがあります。あらゆる技術検証テストをやった結果、望遠鏡本体は日本が作ることになりました。精度は日本が一番、高かったんです。

篠原わぁ!

渡部それは三菱電機さんなんですけどね(笑)

大木すごいな、三菱電機(パチパチパチ)

渡部鏡もね、本当はものすごくやりたがっていた国がありましたが、テストの結果、日本が鏡のほとんどの部分を担当することになりました。これはオハラさんとキャノンさん。492枚の鏡を合わせて口径30mの巨大な鏡を作りますが、予備の鏡を合わせると五百数十枚作るんです。

大木そうなんだ!

渡部ついこの間、100枚目ができたんです。着々とできていますね。

篠原未来を知る架け橋に日本の技術が力になれているという。

渡部こういう世界貢献はいいですね。

日本人は宇宙人と仲良くなれる?!日本人は宇宙人と仲良くなれる?!

篠原TMTで、「第二の地球」がみつかるかもしれないというお話ですが、その先に先生が期待することはなんですか?

渡部やっぱり、第二の地球に酸素がみつかって、生命がいることがわかることでしょうね。もしそうなれば、大きな「コペルニクス的転回」というか、思想にも影響を与えるんじゃないかと思いますね。

大木かなり変わるでしょうね。宗教観も変わるでしょうし、一つの地球としての価値観がまとまると思います。日本も数百年前までは地方同士で争っていたじゃないですか。今は東京から関西や九州にふつうに行けるけど、かつては敵同士だった。でもたった数百年で日本は一つになった。地球でもいずれ内戦や戦争が終わるだろうと思いますね。

渡部文明が進むとね、好戦的にはならないはずなんです。文明を維持するためにエネルギーを有効に使うことを考えると、戦争って非常に無駄が多いんでねぇ。

大木宇宙人が馬鹿にしていると思いますよ。「争ってるよ。人間って面白いな~」って。

渡部たぶん我々は、文明としてはひよっこなんですよね。いろんな技術も思想的にもまだ未熟だと思うので、大人の文明になるために、今は失敗したり挫折している段階なんですね。でもいずれ他の文明とコンタクトして相手の言語を理解し、価値観を学び、技術を学んでいくことになるでしょう。これは私の意見なんだけど、その時に活躍するのはたぶん、日本人なんですよ!

篠原え、日本人が?そうなると嬉しいですが、どうしてですか?

渡部日本人は他の文化に対して寛容で、あっという間に自分のものにしますよね。非常に柔軟なんです。だってクリスマスの一週間後に神社に初詣に行くような国ってないよ(笑)

大木最近はお化けとともに収穫祭もやってましたね(笑)。

渡部もちろん一神教でも柔軟な人もいるけど、今宗教的な戦争をしているような人たちには、地球外の文明と交流するのはちょっと難しいんじゃないかな。そういう意味では、日本は八百万の神の国ともいわれてますし。他の価値観を認め合いながら共存する点で、日本人の寛容で柔軟な思想がマッチしていると思うんですよね。

篠原じゃあ、宇宙文明と交流するときは、日本の出番ですね!

ダークマターの正体をキャッチしてノーベル賞?ダークマターの正体をキャッチしてノーベル賞?

大木気になって仕方がないことを聞いていいですか?

渡部どうぞ(笑)

大木この宇宙の9割以上をダークマターやダークエネルギーが占める、とわかってきたのがこれまでの10年ですよね。これから先10年でその正体がわかる目途ってありますか?

篠原大木さんの大好きなジャンルですよね(笑)

渡部ダークマターのほうは、アプローチの仕方がわかりつつあって実験を始めていますけどね。ダークエネルギーの方はねぇ・・どうやっていいか、わからない。

大木宇宙のことが色々わかってきて、望遠鏡もすごく発達したのに、宇宙のたった数パーセントしかわかっていないって、宇宙ってどれだけ謎に満ちている存在なのかと思いますね。でも僕は、そこにワクワクするんですよ。宇宙の95%はわからないものでできていたことに、ひとつの感動を覚えたんです。結局、決められていることなんて何もないんだ!という気がして。

渡部そうだね・・1990年代の半ばぐらいは、宇宙のことはほとんどわかっちゃったんじゃないかという思い込みが(天文学者の間に)あってね。でもその後、宇宙背景放射をしっかり調べて行ったら、どうもまだまだわかっていない。我々が知っているのは広大な宇宙の氷山の一角だとわかったのが、ここ10年から15年ぐらいですね。

大木しかも、わかっていることがたった5%という比率!

篠原圧倒的ですよね。ところでダークマターは具体的にどうやってわかるんですか?

渡部ダークマターの正体は素粒子の一種だと狙いをつけて、実験をしている人たちがいます。

大木それはいわゆるアクシオンですか?

渡部その種の素粒子ね。ニュートラリーノでもいいと思うんだけど。

篠原え?ニュートラリーノ?

大木あるんだよぉ。

篠原ニュートラリーノをご存知なの?(笑)

大木うん。好きなんだよ、ニュートラリーノ。素粒子全体が好きなんだけど。

渡部はっはっは(笑)ニュートラリーノが好きだという人はあんまりいないよね。そういった素粒子を岐阜県の神岡鉱山の地下でとらえようという「XMASS(エックスマス)」実験が始まっています。

大木なんでXMASSをクリスマスって呼ばないのかなと思って。XにMASSって書いてあるからクリスマスって読めるでしょ。洒落てるな~と思うのに、エックスマス(笑)

渡部神岡は日本の物理学にとって非常に幸運な場所で、ノーベル物理学賞が二人出ているでしょ。おそらくXMASSで素粒子をとらえたら、確実にノーベル賞です。

篠原すごい!今後10年でダークマターの正体がわかっちゃうんですか?

渡部彼らは「この素粒子」と決めて狙っているので、もしダークマターが別のものだったら検出しないですが・・まぁわからないですね(笑)それから、今、国立天文台などが神岡鉱山の地下に作っている重力波望遠鏡KAGRA。これが重力波をとらえたら、確実にノーベル賞。神岡の地下で日本の実験物理学は成り立っているようなところがある(笑)

大木重力波は見つかりそうですか?

渡部これはおそらく確実。僕らはとらえられると思っていて、その後のことをシミュレーションしているんです。

大木えぇ、マジ!?すげぇー!

渡部重力波をKAGRAとアメリカの施設で受信して(重力波を出した)方向が出たら、すぐにあらゆる望遠鏡がパッとそっちに向くようにプログラムを作っています。そういう意味ではもう準備万端です。

篠原それは楽しみ!

大木ところでダークエネルギーの方は何か方法はないんですか?

渡部正体はわからないし、どうアプローチしていいかもわからない。そのアプローチ方法を今みんな必死に考えています。ただ、ダークエネルギーが存在するという一番確かな証拠を掴むことができるのが、天体望遠鏡なんです。具体的には、宇宙の膨張が過去からどんな風に減速や加速してきたかを調べることですね。今後TMTやすばる望遠鏡の観測でわかってくると思いますよ。

篠原天体望遠鏡で宇宙の膨張の歴史を観測すると、ダークエネルギーについて、少しわかってくるかもしれない?

渡部そう。膨張の歴史を細かく調べることで、ダークエネルギーが何かというヒントが得られてくる。そのヒントを使って物理学者の先生方が、いろいろなモデルを作ると思います。

宇宙旅行への期待、宇宙のどこで何を見る?宇宙旅行への期待、宇宙のどこで何を見る?

篠原ずいぶん難しい話になりましたが(笑)、宇宙の事をいろいろ考えているとやっぱり宇宙に行ってみたくなりますよね。宇宙旅行は身近になるでしょうか?

渡部ほとんど時間の問題だと思いますよ。それこそ100年前は飛行機に一般の人が乗るなんて考えられない時代でしたよね。でも今や誰でもある程度お金を出せば、どこにでも行ける時代になって、地球は小さくなりました。次は宇宙ですよね。技術的な困難はありますが、だんだん技術も進んで、値段もどんどん安くなると思います。

篠原宇宙から地球を眺めてみたいなと思って・・

大木どこに行きたい?何を見たい?

篠原地球の周りのオーロラですとか、特に地球の色をこの目で見てみたい。私が星を好きになったのは星に色があるからなんです。ベテルギウスの赤とかリゲルの青とか。だから地球の色ってどんなに美しいのだろうと興味がありますね。

渡部上から見るとすごいでしょうね・・大木さんは?

大木宇宙には行きたいけど、行くんだったらもっと遠いところへ行かないと。

篠原どこですか?

渡部片道切符で火星に行くとか(笑)?

大木シリウス・・

篠原遠いですよ~! あ、でも星の中では近いか。

渡部8光年ですね。なぜシリウスへ?

大木シリウスに興味があって。アフリカのマリに住むドゴン族の方々が、ずっと昔から伝承している歌があるんです。「我々はシリウスの星から来た」と。当時はまだ観測されていなかったはずなのに、シリウスが楕円軌道を描く連星であることを歌っていて。諸説あるんですが、僕は信じているんですよね、ドゴン族の歌を。だから行ってみたい。いろいろな地域で星にまつわる伝承ってありますよね。

篠原私もフィンランドのラップランドのサーミ民族を訪ねたときに聞きましたよ。カシオペアが弓になって打ってはいけない北極星を打ったら、そこから人が舞い降りてきてそれが自分たちのご先祖だと今でも信じているんです。僕らは星の子供だと。

大木なるほど。とにかく僕は違う価値観のところに行きたいんです。地球はもちろん見たいけど、点で見たい。「うわぁ、こんな小さいところなんだ」と。

篠原どんな曲ができるんでしょうねぇ

大木もうそこはたぶん、「ららら~♪」じゃないかな(笑)。言葉は意味ない!

渡部はっはっは(大笑)。

篠原渡部先生はどこに行きたいですか?

渡部僕は研究対象がほうき星(彗星)だからね。ほうき星の近くに行きたいよね。

大木ほうき星に乗りたいですか?(笑)

渡部乗るのはちょっと危険だから(笑)。近くで見たいよね。

篠原でも、ダスト危なくないですか?

渡部うん、危ないね(笑)

宇宙旅行で行きたい場所を話す3人の瞳はキラキラと、まるで星のように輝いていました。本当に「宇宙に夢中」なんですね。これからの10年、宇宙でどんな大発見があるのか、宇宙をどんな風に楽しめるのか、「星空の散歩道」での連載にご期待ください。3人には連載200回記念でまた語り合って頂きましょう!?
これからもご愛読よろしくお願いします☆

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構成: 林 公代
掲載

※ 「宙ガール」は、株式会社ビクセンの登録商標です。