メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • エキスパートインタビュー

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2011年 1・2月号(No.163)
  • プロジェクト・マネージャーは経営への理解と「真摯さ」を持って
    リーダーシップを発揮しなければならない

人物写真

MANAGE FOR GOOD
経営コンサルタント 藤田 勝利氏

近年の企業活動はプロジェクトで遂行されるケースが増えています。そこで、重要になるのがプロジェクトのマネジメントです。その役割は「スケジュール管理」「品質管理」「コスト管理」の3つにとどまりません。プロジェクトを進めるうえで、リーダーにはどのような役割とリーダーシップが求められるのでしょうか。P.F.ドラッカー経営大学院で学び、ドラッカーの著書にも造詣が深い経営コンサルタントの藤田勝利氏にお伺いしました。

藤田 勝利(ふじた・かつとし)氏プロフィール
1972年生まれ。上智大学経済学部経営学科卒業。住友商事(鉄鋼部門業務企画グループ)、アクセンチュア(業務・組織変革を手がける「チェンジ・マネジメント・グループ」)などを経て、2002年米国クレアモント大学院大学 P.F. ドラッカー経営大学院に留学。専攻は「経営戦略」ならびに「リーダーシップ論」。2004年、経営学修士号を取得(MBA/成績優秀者表彰)。現在、経営コンサルティングおよび新規事業立ち上げの分野で幅広く活動中。

プロジェクト型業務の増大により
重要性が増すプロジェクト・マネジメント

 「企業の多くの業務がプロジェクト型で遂行される時代を迎えました。ソフトウェア開発やコンサルティングだけでなく、販促プロモーション、キャンペーンやイベント、広告制作、Webデザインなどにおいても、固定的な組織ではなく、プロジェクトとして実行されることが増えています。プロジェクト・マネジメントの成否は、いまや企業活動を左右するといっても過言ではありません」と藤田勝利氏は語ります。
 事業活動のプロジェクト化が進展し、重要性が増すプロジェクト・マネジメントにおいて、現場のプロジェクト・マネージャーは多くの課題を抱えています。なかでも多く聞かれる声として、「プロジェクトが本来の目的から外れていないか」「メンバーがいきいきと働けていない」「顧客とのコミュニケーションが円滑ではない」「メンバーのスキルを活かせていない」などがあります。
 こうした課題の解決を図るうえで参考になるがドラッカーの考え方です。
 「多くの組織の成功に貢献してきたドラッカーの知恵には、プロジェクト・マネージャーの業務に役立つ視点が数多く含まれています。広く深い洞察から導き出されたドラッカーのマネジメント理論は、本質的かつシンプルです。また、ドラッカー自身が『理論よりも実践』を重視していたために、すぐに業務で使えるものです」と藤田氏は語ります。

▲ ページトップに戻る

プロジェクトの成功の条件として
不可欠となる経営への理解

 現在、経営コンサルタントとして活動し、講演や著述業にも精力的にこなしている藤田氏が、クレアモント大学院大学P.F.ドラッカー経営大学院に入学するきっかけも、プロジェクトを推進するなかで大きな疑問に直面したことでした。「高性能なITシステムを提案・導入しても、必ずしも会社がよくなっていると実感できないのはなぜか」と考えるようになり、マネジメントについて興味が深まったからだといいます。
 そこで、藤田氏は組織全体をマネジメントする観点から、財務、会計、戦略といった各論を学びました。
 「プロジェクト・マネジメントについても同様なことがいえます。今やプロジェクトは経営の縮図になっており、プロジェクト・マネージャーは経営の視点と知識が不可欠であると確信しました。プロジェクト・マネージャーには、技術用語と経営用語をともに理解し、経営者と技術者の橋渡しとしての役割が求められます」

▲ ページトップに戻る

既存のものと未知のもの双方に取り組み
成果を生む出すことが「マネジメント」

 一般的にマネジメントは日本語では「管理」と訳されています。そのため、マネジメントとは「管理」のみと捉われがちです。これに対し、ドラッカーは「マネジメント」には以下の役割があると語っています。

 @自らの組織に特有の使命を果たす
 A仕事を通じて働く人たちを活かす
 B自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある

  さらに、ドラッカーはマネジメントについて、次のように語っています。「いまやマネジメントは、既存のものの最適化に加え、新しいものの創造に関わらなければならなくなっている。マネージャーは起業家でなければならない。イノベーションのための組織を作り、動かすことを学ばなければならない」
 これを整理すると次のようになると藤田氏は解説します。
 「かつては決められたことを決められたスケジュールで、トラブルなく進めることに注力すればよかった時代もありました。変化が常態化している現在において、既存のものだけでなく未知のものにも取り組んでいかなければなりません。プロジェクトの現場でも、これまでのどおりのやり方に固執せず、リーダーシップを発揮して問題解決ができるマネージャーが、求められています」

▲ ページトップに戻る

「真摯であること」が
マネージャーにとって不可欠な資質

 ドラッカーは、「真摯さ(Integrity)」がマネージャーにとって不可欠な資質であるとしています。カリスマ性があることや、偏差値的に頭がよいことでも、学歴が高いことでも、前職での業績でも、人付き合いのよさでもなく、『真摯さ』が重要であると強調しています。
 では、「真摯さ」とはいったい何を意味するのでしょうか。ドラッカー自身も「真摯さ」の定義は難しいと語っていますが、マネージャーとして失格とすべき真摯さの欠如を定義することは難しくないとして、5点を挙げています。

 @強みよりも弱みに目を向ける者をマネージャーに任命してはならない
 A何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネージャーに任命してはならない
 B真摯さよりも、頭のよさを重視する者をマネージャーに任命してはならない
 C部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない
 D自らの仕事に高い基準を設定しない者をマネージャーに任命してはならない

 藤田氏は次のように解説します。「真摯さは資質(生まれつきの性質や才能)であるとドラッカーはいっていますが、それは独特の言い回しで、すべての人が持っているという前提に立っての言葉だとされています。1番目に書かれていることは「弱み」でなく「強み」に目を向けなければならないというメッセージです。個人の弱みは組織によってカバーできます。マネージャーはメンバーの強みを生産性に変えなければなりません」
 最後に藤田氏に、ドラッカーの著書の読み方についてアドバイスしていただきました。
 「ドラッカーは極めて広範囲の内容で、多くの著書を残しています。そこで、自分の抱えている課題に触れている書籍から読み進めることで、興味を持って読み進めることができます。『もしドラ』を読んで共感した人であれば、必ず参考になるはずです。自ら問題意識を持ち、小さくても何らかの改善案を実行することが課題解決につながると思います」

参考文献:P.F.ドラッカー(著)上田惇生(訳)『マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]』ダイヤモンド社

説明図

マネジメントの機能
出典:藤田 勝利 氏

▲ ページトップに戻る