メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2011年 3月号(No.164)
  • データの全体統制に向けた標準化のための
    管理知識体系DAMA-DMBOKとは

「ヒト」、「カネ」、「モノ」と言われる経営資源に「情報」が加わり、4大経営資源と位置づけられるようになってから、すでに10年以上が経過しています。情報技術(IT)の位置付けも以前とは比べものにならないほど高まり、企業活動において不可欠なものとなりました。ITをベースに企業価値の向上を図るうえで、データ管理の知識体系「DAMA-DMBOK(Data Management Body of Knowledge)」に注目が集まっています。今回は、DAMA-DMBOKの概要と、その普及に向けた各種施策について見ていくことにしましょう。

データの全体統制に向けた
知識体系DAMA-DMBOK

 データを「ビジネス戦略に欠くことのできない企業資産」と捉え、その確実な管理を実現するための各要素、標準化の考え方、基礎となる用語の定義などをまとめた知識体系DAMA-DMBOKに注目が集まっています。
 DAMA-DMBOKは、世界各国に40の支部と約7,500名を超える会員を擁する国際的な非営利団体であるDAMA(Data Management Association)が、2009年4月に公開した800ページにも及ぶドキュメントです。そこでは、プロジェクトマネジメントの領域でPMI(Project Management Institute)が提供しているPMBOK(Project Management Body of Knowledge)と同様に、データ管理の領域で必要となる知識体系が網羅されています。
 DAMA-DMBOKがまとめられた背景には、企業のグローバル化やM&Aなどによるデータ統合や管理への要求の高まりがあります。アプリケーション統合やプロセス管理などのような、個別最適とも言える取り組みだけではなく、さらに上流にさかのぼった“データそのもの”の管理、全体統制の重要性を多くの企業が認識しつつあります。ビジネスの継続的な発展に欠くことのできない企業価値向上という命題を実現するために、データ管理は不可欠なものとなっています。

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データガバナンスを高める
9つの管理機能

 DAMA-DMBOKの考え方は、「データガバナンス」を中心に、これを取り囲む「データアーキテクチャ管理」、「データ開発」、「データオペレーション管理」、「データセキュリティー管理」、「リファレンスデータとマスタデータ管理」、「データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス管理」、「ドキュメントとコンテンツ管理」、「メタデータ管理」、「データクオリティ管理」の9つの管理機能から構成されています(図参照)。これらを強化することによって、データのガバナンスを高めることができます。しかし、DAMA-DMBOKはデータ管理のためのフレームワークであり、実際の適用にあたっては、これらすべての要素を取り込む必要はありません。むしろ、各企業の実態に合わせ、必要となる要素を見極めながら適用していくことが有効です。
 各構成要素に目を向けると、データクオリティ管理をはじめとして、すべてが「本来、企業が自己の責任において管理すべき対象」であることがわかります。提供する製品の品質保証や管理を社外にアウトソーシングするメーカーは存在し得ないように、企業活動の源泉とも言えるデータは、企業自身が責任をもって取り扱う対象なのです。

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データガバナンスに不可欠な
IT部門とデータスチュワードの協業

 DAMA-DMBOKの中心に位置付けられるデータガバナンスを達成するために重要な役割を果たすのが、「データスチュワード」です。データスチュワードは、ビジネス分野のリーダーもしくは、ビジネスの特定領域における専門家であり、次に示すような作業を遂行します。

 @当該エリアに関するデータ要求を識別
 A当該エリアに関するデータ名称の品質、ビジネス的な定義そして値の管理
 B法的規制に対する要求と適合性をデータ標準として実行
 C適切なセキュリティー管理への対応
 Dデータ品質の分析と改善
 Eデータに関する問題点の識別と解決

 従来、システムに関わる各種の管理作業はIT部門が担当してきました。データ管理についてもIT部門が担当している場合が少なくありません。このデータ管理において専任のデータスチュワードを配置し、IT部門と連携することでデータガバナンスを達成するということです。データ管理は、業務側のデータ管理責任者であり、データ生産者および利用者の側の利益を代表するデータスチュワードとIT部門が共同で責任を持つことになります。ここで留意すべきは、データガバナンスはIT領域における課題ではなく、ビジネス上の課題である点です。2009年にDAMAが掲げたスローガンが「データとビジネスのアライアンス」となっていたのも、この考え方を反映したものです。

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DAMA-DMBOKの普及に向けた
各種施策の拡充

 DAMA-DMBOKを普及させ実際のビジネスにおける活用を促進するための施策もすでに始まっています。その1つが、DAMAが主催する国際的なカンファレンスである「Enterprise Data World」です。1週間におよぶ開催期間を通じて、航空、製造、金融、保険、食品などあらゆる業種の企業から1,000人を超える参加者が、データ管理に関わるワークショップ、チュートリアル、個別セッションに参加しています。さらに一昨年からは、同カンファレンスの中で、アワードとしてデータ管理に関わる成功事例の表彰が行われるようになりました。ここでは、米国の大手半導体メーカーや政府情報の公開Webなどが受賞対象となっています。
 また、「データの成熟度診断」も重要な施策です。DAMA-DMBOKで定義される基本原則に沿って、企業等のデータ管理状況を見ていくと、その成熟度を把握することができます。成熟度を評価し、改善すべきポイントや考慮すべき適用箇所を明らかにすることで、データガバナンス達成を支援するというものです。現在は米国を中心にこのデータ成熟度診断が実施されており、日本支部においても、成熟度診断の最初の取り組みとして「簡易診断プログラム」の作成が開始されています。
 さらに、DAMAでは、教育体制と関連コンテンツの充実やデータ管理に関わる事例の収集、整理、効果測定などを実施し、DAMA-DMBOKの普及とデータ管理に関わるスペシャリストを輩出することで、データの適切かつ高度な活用を支援しています。

説明図

データガバナンスをコアにDAMA-DMBOKを構成する9つの要素
出典:「データ管理知識体系ガイト(DAMA-DMBOK Guide)」

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