メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2010年 11月号(No.161)
  • 企業独自の価値を創出するデータの品質向上と
    マネジメントのポイント

日々蓄積されるデータを企業の資産として事業に活用する取り組みに注目が集まっています。その手段として、データウェアハウス構築やBI(Business Intelligence)ツール導入などが行われていますが、その前提となるのがデータ品質そのものの適切な管理です。データ品質を向上させるためには、どのような施策が必要なのでしょうか。データマネジメントにおいて、企業に求められる対応のポイントや、そこで役立つテクノロジーなどについて整理してみましょう。

データウェアハウスやBIツール
活用のカギはデータそのものの品質

 企業の業務では多くのデータが扱われています。顧客や売上、収支など、様々なデータをもとに情報が生まれ、それを活用することで企業戦略が立案されます。いわばデータは、企業戦略の根源であるということができます。
 企業が所有するデータを情報活用の視点から適した構造で格納するデータウェアハウスや、データの可視化や分析を支援するBIツールの導入が増えているのは、データの重要性に対する認識が高まっていることに他なりません。こうしたデータ分析を高精度に行うためには、データそのものの品質が確保されていることが前提になります。
 ここでいう品質の高いデータとは、どのようなことを指すのでしょうか。これはデータの元となる現実を正しく反映し、ビジネスの目的達成に利用可能であるものです。具体的には、内容が正確である、最新状態に維持されている、標準化されている、整合性が取れていることです。加えて、ビジネス視点で必要とされる項目の網羅、データの変更履歴の記録なども求められています。

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顧客データなど統合効果が高い情報を選定し
そこから着実にデータを整備する

 その重要性は多くの企業で認識されているものの、企業内に蓄積されるデータの粒度や品質を整理し、情報活用に生かす取り組みは、それほど進んでいないのが実状です。なかでも、データ品質向上とマネジメントを推進するうえで問題となるのがデータの分散です。メインフレーム中心の時代はシステム化の対象が基幹業務に限られ、データも集中管理されていました。その後プラットフォームがオープン系に移行し、各種業務に導入されるようになると、システム、データもそれぞれの業務に合わせて個別最適化が進展。その結果、同じ顧客のデータが、異なる形式で複数のシステムに記録されていることもあります。
 また、各企業が扱うデータ量の増大も課題になっています。2006年に米国で公表された調査では、企業が所有するデータの量は1年から1年半で倍増すると指摘されています。
 さらに、データマネジメントを複雑化する要因が、企業の組織構造とデータの流れが異なることにあります。組織は経理や営業、製造など業務ごとに縦割りで作られ、それぞれのシステムが構築。各システムがスタンドアロンであることはまれで、多くのデータは各部門を横断します。例えば顧客から注文を受けつけた場合、データは出荷や在庫管理、請求の部門、担当者を移動します。その際、新たな情報が付加されることもあるため、その管理はより難しくなります。また、データの品質を誰が管理するか検討することも必要になります。
 このように、実際のデータマネジメントはテクノロジーの問題だけでなく、非常に複雑です。こうしたなか、教科書的な理想を追い求めると、何も成果が得られない状況に陥る可能性があります。まず顧客情報など統合による効果が大きいデータから、着実に進めていくことが求められます。

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プロセスを改善し
データの活用基盤を整備する

 データ品質の課題は「人の問題」であることを認識し、企業文化の変革を積極的に進める必要があります。こうした作業を進めるうえで、データの状態をチェックし、品質を向上する様々なツールを活用することも有効となります。その1つが、入力必須の項目が空欄になっていないかなどをチェックし、状態を「見える化」するデータプロファイリングツールです。
 また、データクレンジングツールを使うことにより、項目の形式が違うなど、違うフォーマットで作成されたデータの中から重複データを見つけ出し、標準化した形で統合できます。例えば顧客データであれば、旧字体や新字体、全角数字や半角数字、漢数字やローマ数字などの表記が違っていても、他の項目が似ていれば同一人物と判断し、標準と定めた形式に変換したうえで名寄せすることができます。さらに、常にデータ品質をプロファイリングし、データ品質の現状を定期的に報告する監視ツールもあります。
 このようなデータプロファイリングやデータクレンジングのツールは、データ品質の現状把握と維持向上に有効です。ただし、本質的な解決を図るためには、適正なデータが作成され、品質が維持管理できるプロセスに改善しなければなりません。
 例えばデータを入力する部門では、その正確性がいかに重要であるかを認識してもらうことが重要です。同時に相互チェック、二重チェックなどを必ず行うようにします。またシステム側も、入力されたデータの内容をチェックしたうえで受け付ける仕組みを入れておくなど、特にデータの発生源における総合的なアプローチが求められています。
 IT投資の平準化やシステムのTCO削減のニーズが強まるなか、SaaS化を含めたITオンデマンドサービスに対する関心が高まっています。データマネジメントにおいても、SaaS化したシステムとオンプレミス(自社管理下)環境におけるシステムのデータ連携をどのように行うのかについても検討していかなければなりません。先進的な企業の中には、トランザクションHUBと呼ぶデータ連携の仕組みを構築することで、高い接続性と保守性を実現した事例もあります。
 企業が所有する資産の中で、究極の差別化要素となるデータと、そこから産み出される情報。データマネジメントにより、データ品質を高めることで、より精度が高い戦略策定と意思決定が実現可能となります。データから最大限の価値を引き出すためには、経営層の理解と積極的なマネジメントが必要です。

説明図

常に移動しているデータ
出典: 『戦略的データマネジメント』トーマス・C・レドマン著 栗原 潔 氏訳(翔泳社)

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