メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • エキスパートインタビュー

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 1・2月号(No.173)
  • 2012年のビジネス&ITトレンドの新潮流を
    過去のキーワードから読み解く

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彩葉(いろは)ソリューションズ
代表
澤崎 章二 氏

1980年代以降に急速に発展したIT技術は、社会や生活、ビジネスのあり方に劇的な変化をもたらしました。そして、これまでにITに関する様々なキーワードやコンセプトが作られ、そこから新たなトレンドがいくつも生まれました。こうしたキーワードやコンセプトは、姿を変えながら、また新たなトレンドを生み出しています。そうしたことから、新規ビジネスを創出するうえで、過去を見直すことはとても重要なことだといえます。今回は、100を超える官民の協議会やコンソーシアムの設立・運営に参画し、40以上の役職を歴任した彩葉ソリューションズ代表の澤崎章二氏に、ビジネスおよびITトレンドの潮流、今後の注目キーワードについてお話を伺いました。

澤崎 章二(さわざき・しょうじ)氏プロフィール
1990年より、株式会社ジャストシステムで、日本語変換、グループウェア、ナレッジマネジメント、オープンソース等の法人向けの製品企画、マーケティング、営業、テクニカルサポートまで幅広い業務を担当。1994年から2010年までは、同社社長室で、対外リレーション/市場調査、次世代技術の普及啓発を目的としたプレマーケティング戦略を担当。この一環として、100を超える官民の協議会やコンソーシアムの設立/運営に関与し、理事/委員長等を40以上歴任。2010年8月 彩葉ソリューションズを設立、ITビジネスのコンサルティング活動を開始。現在、日本OSS推進フォーラム クライアント部会メンバー、先端IT活用推進コンソーシアム 理事/運営委員、社団法人コンピュータソフトウェア協会 事務局アドバイザーを務める。

新たなビジネスチャンスは
過去に提唱されたキーワードにある

 「1990年代以降、多くの期待を集めてきたIT関連のキーワードやコンセプトが、今、ようやくテクノロジーやコストの課題を解決して、現実のものになってきたと感じています。例えば、過去に語られた“会社で1人1台のPCを”というキーワードをとっても、今では多くの会社で当たり前になっています。それどころか、従来のPCの性能を上回るスマートフォンを、ときには1人が複数台も活用するようになっています。このようにITの目覚しい進展のなかで、新たなソリューションを生み出すためのヒントの1つが、過去のキーワードやコンセプトを見直し、今の技術に適用してみることです」
 過去からの蓄積があってこそ、新しいソリューションが提供できるという意味を込めて、澤崎氏はこうした考え方を「温故知新」と表現します。近年トレンドになったキーワードも、コンセプト的にはすでに提唱されているものも少なくありません。将来を見据えるうえで、過去を見直すことはとても重要であると澤崎氏は強調します。
 「2012年は『クラウドコンピューティング』『スマートフォン』『ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)』のビジネスが、互いに連携しながら本格化する、過去20年間を通じても特筆すべき大変革の年です。東日本大震災を契機としたBCP(事業継続計画)対策が一段落する今年は、ビジネスとシステムの見直しを図る絶好の機会ではないでしょうか」

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クラウドコンピューティングで広がる
ビジネス機会とサービス選択肢

 運用コストの最適化やビジネス成長に応じた柔軟な拡張など、多くのメリットが語られる「クラウドコンピューティング」。澤崎氏は、クラウドコンピューティングのメリットについて、次のように話します。
 「2010年の4〜5月頃から、10人前後の社員で構成される小規模なソフトウェアベンダー各社が、クラウドサービス上で稼働する業務向けソフトウェアの提供を開始しました。これは大手ベンダーのクラウド環境を前提に、ある専門分野に特化したソフトウェアを開発・実装し、サービスとして提供するものです。このような専門分野だけに特化した規模の小さな会社が容易にサービスを提供できるようになったのも、また、利用者が必要となる機能だけを簡単に使えるようになったのも、クラウドコンピューティングがあればこそです」
 元来ソフトウェアの開発は、決して膨大な資金が必要なものではなかったと澤崎氏は話します。それが次第に巨大化し、潤沢な資金が必要になり、ついには、一部の大企業が大きなシェアを占める状況に至りました。しかし、クラウドコンピューティングにより、この構図はまた変化しています。幅広い機能を包括的に提供するだけでなく、単機能、それも自社の強い部分だけに特化してサービスを提供できるような環境が整いました。これは規模を問わず、多くのソフトウェアベンダーが、自社の強みを活かすことができる“新たなビジネス機会が創出された”ことを意味します。
 もちろん、利用者側にもメリットはもたらされます。従来のシステムの場合、利用する機能以外も含めた「まるごと」の購入が前提でした。クラウドコンピューティングでは、必要とする機能だけを購入することもできます。この背景には、柔軟な課金システムや、インターネット経由で簡単に利用できるサービス機能の存在があります。

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スマートフォンの登場が
ビジネスモデル創出の追い風に

 スマートフォンの登場も大きな意味を持ちます。澤崎氏は、これをビジネスモデル創出の追い風になるといいます。
 「クラウドコンピューティングは、ビジネス参入機会のハードルを下げるといいましたが、スマートフォンはビジネスモデルを考える際の可能性を広げる存在です。最近参加したセミナーで紹介されていた勤怠管理システムは、スマートフォンがなければ実現できないものでした。利用者の画面は、3つのボタンだけの非常にシンプルであり業務に十分なもので、現地に到着したら『来ました』ボタンを押します。すると位置情報と勤務スタート通知がインターネット経由で会社に届き、終了時に『帰ります』を押すとその情報が届きます。あとの1つのボタンは『取り消し』です。スマートフォンの持つ可搬性と位置情報、そしてクラウドサービスの組み合わせで、警備会社や工事現場など社外で活動するメンバーの勤怠管理を簡単かつ確実に実現できるモデルが創出されました。これ以外にもスマートフォンが適用できる領域は多く、例えば、過去にキーワードとして注目されたテレワークでの活用も可能になり、営業であればオフィスに戻らず、外回り先でインターネット経由での報告で済み、ビジネスの柔軟性や俊敏性を高めることができます。これは20年前に語られていた“BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)”そのものではないでしょうか」
 スマートフォンは、2012年の春から夏にかけて、携帯電話の出荷台数の半分以上になるとみられ、スマートフォンを活用したビジネスの加速が予想されます。

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新たな利用スタイルを予感させる
ソーシャル・ネットワーキング・サービスの拡大

 はじめはパーソナルな遊びの場と捉えられてきたSNSも、膨大なカスタマーベースを抱えるサービスが増えるに従い、様々な利用スタイルを予感させるものに変貌しています。
 「企業システムは、これまで上から与えられ、それを使用することが一般的でした。しかし、双方向性が特徴のSNSは、横展開が容易で、社員が主体的に情報交換を実現できるようになります。こうした場合、会社や経営層は、現場にある程度の自由を与え、システム維持より導入成果に注目するという形態が一般化するでしょう。『統制』や『管理』ではなく一段高い『監督』する立場が求められてきます。情報システム部門の役割も『喜ばれるツール』を積極的に社内に提供してくれる存在になることが重要となるでしょう」
 すでに多くの企業が自社のホームページ上で紹介する製品やサービス情報以外に、SNS上に関連コミュニティを立ち上げ、活用を開始しています。社員も会社内に閉じられた情報だけでなく、自ら発信や意思表明が可能なSNS上の情報も含めた、ダイナミックに連携される世界をベースに、新たな利用スタイルを追求する時代が到来したといえます。

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説明図

1990〜2010年のITキーワードと現在のITキーワードの対比
出典:彩葉ソリューションズ

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