メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2012年 1・2月号(No.173)
  • ビジネスに貢献するシステム活用のポイントになる「現場力」と
    注目したい2つのキーワード

ビジネス&ITトレンドの潮流を遡ると、異なったキーワードで表現されていても、その本質は同様というものが少なくないことがわかります。過去約20年間のトレンドについての再考察を試みてきましたが、ここからは、近未来に視点を移し、ビジネスに貢献するシステム活用のポイントになる「現場力」と、2012年に注目したいキーワード、「ユーザ・エクスペリエンス」と「拡張現実(AR)」について見ていくことにしましょう。

ビジネスに貢献するシステム
そのカギとなるのは「現場力」

 「クラウドコンピューティングやスマートフォン、SNSなどによる大変革と併せて、これからを考えるうえで改めて重視すべきは、世界に誇る日本の『現場力』ではないでしょうか。今回はシステム活用という範囲に限定しますが、視野を広げると、ものづくりの世界や東日本大震災が発生した後の対応などで、日本の現場力の強さを目にすることができます」
 システム活用と「現場力」の関係について、澤崎氏は、逆三角形と三角形のモデルを用いて説明します(5ページ図参照)。
 「CIO(Chief Information Officer)が全権(システムの導入/構築権限)と利用促進の責任を持つ管理形態では、逆三角形のモデルのように、先細りの構造となります。現場は要望をあげるだけの存在になり、『言われたからやる』という立場でシステムを利用しがちになってしまいます。一方、現場に権限が委譲された三角形のモデルでは、CIOはシステムの費用対効果を判断し、情報システム部門はツールなどの仕組みとインフラの提供に徹します。現場は、自らがシステムやツールの選定や利用にあたり、その権限と責任を持ち、利用者同士で連携しながら工夫を重ねます。現場力を活かしたこのような形が、これからのシステム活用のキーとなると考えています」
 澤崎氏が語る「現場力」は、現在変化しつつあるビジネス環境やそれを支えるシステムとも非常に相性のよいものです。自由度が増すとともに、個々の社員の責任も高まるSNSなどの利用を考えると「仕事の成果を生み出すのは、管理職でもCIOでもなく、個々の社員である」ということがわかります。あるゲームメーカーでは、新しいツールを積極的に導入し、社員はそのなかで自分に合ったものを使用しています。隣の課とのコミュニケーションもこれらの仕組みやSNSを活用し、単純に情報システム部門に頼るという形を取っていません。そういった「現場力」を重視した方法でしっかり成果を上げているとのことです。

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注目キーワード1
より良い利用体験を創出する
「ユーザ・エクスペリエンス」

 2012年に注目したいキーワードとして、澤崎氏が最初に挙げたのは「ユーザ・エクスペリエンス」です。澤崎氏は、ユーザ・エクスペリエンスを「利用者に提供する際に感情的な価値を重要視するソフトウェア(インタフェース)デザイン」と定義します。
 「とにかく画面を見たらすぐに役に立ちそうだとか、面白そうだとか、楽しそうだとかいう部分までが含まれたインタフェース・デザインです。従来のユーザ・インタフェースでは『使いやすい』『デザイン的にわかりやすい』などが求められますが、ここに楽しみや面白みを加味することで、より良い利用体験を創出するものです。例えば、携帯電話で天気予報を出す際『明日は雪です』と表示するのではなく、部屋から窓の外を眺めた絵があり、そこに雪が降っているのが見える。雨ならば雨のシーンが見えるというような、ちょっとした楽しみを伴うインタフェースです。逆に工事現場のような危険性がある場所では、直観的に危険を感じられる映像が見られる。さらに、スケジュールを表示するインタフェースの中で、お昼の12時になったらストレッチ体操をしているアニメーションが表示されるなど、様々なアイディアを盛り込むことができると思います」

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注目キーワード2
ビジネスの現場にも普及が見込まれる
「拡張現実(AR:Augmented Reality)」

 もう1つが「拡張現実(AR)」です。澤崎氏は、ARを「そこにある物、その場所の情報をリアルタイムかつ簡単に現実の映像と重ね合わせて表示する仕組み」と定義します。デジタルの世界で仮想的に作られた部屋や街中のシーンなどを提供するバーチャルリアリティ(VR)とは異なります。
 「例えば、TV CMなどで、ビルの間に靴が浮いているシーンがあります。Webであればそんな画像があって、靴をクリックするとその情報ページに飛ぶなどの広告・宣伝方法があります。拡張現実は、このようなシーンがTVやWebの中でなく、実際の街中で体験できるものです。もちろん直接肉眼だけで見えるのではなく、スマートフォンなどを通してそのようなシーンを見ることができる形になります」
 拡張現実の適用範囲は様々な領域に及びます。澤崎氏は、スマートフォンの普及とともに、娯楽や広告に留まらず、各種ビジネス現場に普及していく可能性が高いと話します。業務で使用される例を考えると、例えば、ルート営業の担当者が客先を訪問する際、そのビルの入り口でカメラ付きのスマートフォンをかざすと、液晶に表示された入り口の上に、直近の売上やニュースなどが表示される。さらに、部署を入力するとビルの該当階に赤い枠が表示されて見えるなどの適用が考えられます。

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これまで以上に専門的な知識や能力が
求められる時代がはじまる

 これらの新たなキーワードが普及するようになると、これまで以上に専門的な知識や能力を身につける必要があると澤崎氏は語ります。
 「例えば、理科で人体のことを教える授業において、心臓の位置にカメラを向けると、実際に動いている心臓の画像が胸の上に表示される。こうした新たな授業形態を想定すると、リアルで理解しやすい高品質の動画映像が求められます。また、より楽しいユーザ・エクスペリエンスを実現するためには、センスの良いアニメーションやデザインが不可欠です。利用者の感情をも揺り動かすためには専門家同士の幅広いコラボレーションが必要になります」
 大きな転換期を迎えると考えられる2012年。ビジネスチャンスは様々なところにあるといえます。もう一度、過去のキーワードを見直し、新たな戦略を立ててみてはいかがでしょうか。

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説明図

CIOに全権が集中した従来の管理モデルと、現場力を活かした新たなモデル
出典:彩葉ソリューションズ

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