メルトピア

経営基盤を強化するIT戦略

三菱電機メルトピア。様々な事例がご覧いただけます。

  • 巻頭特集

  • 経営基盤を強化するIT戦略
  • 2011年 4月号(No.165)
  • 人的資産の活性化を通じて組織・チームの力を最大限に高める
    ファシリテーション活用のポイント

多くの企業にとって、経営資源、特に人材の有効活用は大きなテーマの1つとなっています。様々な立場で企業活動を展開するメンバーの力を引き出し、組織・チームとして最大限のパフォーマンスを発揮できれば、得られるメリットは計り知れません。「ファシリテーション」は、合意形成や相互理解をサポートすることにより、特定のゴールを目指す複数の人々、つまり組織・チームやプロジェクトによる活動が、容易かつ円滑に遂行されるよう支援するための手法です。今回は、ファシリテーションの概要と導入によるメリット、適用する際のポイントについて紹介しましょう。

“会議の効率化”だけにとどまらない
ファシリテーションの適用領域

 ファシリテーション(Facilitation)という言葉は、本来、「促進する」「容易に・円滑にする」などの意味を持ちます。手法としてのファシリテーションは、2人以上のメンバーから構成されるグループやプロジェクトが、特定のゴールを目指して実施するプロセスを促進し円滑化することを指します。典型的な適用例としては、会議などが煮詰まった際、ファシリテーションによって進行がスムーズになり、場が活性化するといったケースをあげることができます。国内では、大手自動車メーカーが導入し成果を上げたことで、会議の効率化・円滑化=ファシリテーションというイメージが定着しました。
 しかし、本来ファシリテーションがカバーする領域は会議だけにとどまりません。日々展開されるグループによる創造活動、コミュニケーション、問題解決など広範な領域がその対象となります。活用する側の捉え方次第で、グループ、組織、地域、そして社会を変えていく原動力にもなり得るのです。ファシリテーションの価値を理解しうまく適用することで、グループで取り組むあらゆる活動において、大きな効果を創出することができます。

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外面・内面から参加者を支援する
舵取り役としてのファシリテーター

 ファシリテーションを実施するにあたって、推進役としての機能を果たすのがファシリテーターです。近年の企業研修などでは、教える側からの一方向での授業・講義スタイルではなく、参加型のワークショップ形式を取り入れた双方向型のトレーニングが実施されています。このような形式のトレーニングなどを仕切り、舵取り役となるのがファシリテーターです。
 例えば、ワークショップを実施する場合、ファシリテーターは以下の3つのポイントを押さえます。
 目的・狙いの明確化
 参加者の参加意欲 
 時間管理
 ワークショップのスコープを定め、ワークショップにおける起承転結をデザインし、これらを一定時間内で遂行できるよう支援します。ワークショップのフレームといえるこれらのポイントは、目的を達成するための外的な要素といえるでしょう。一方、内的な要素としてメンタル面で参加者を支援することもファシリテーターの重要な役割です。参加者の感情や雰囲気、モチベーション、そして場の空気を読みながら、効果的なエクササイズを組み込み、楽しく学んでいく環境を作ります。このような内的な要素に対する支援は、ワークショップが物理的にうまく進行し完結するために不可欠となります。

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「場つくり技術」による
コミュニケーションの活性化

 会議で起こりがちな状況として、「ダンマリ状態が続く」「話が平行線をたどる」「必ず話さない人がいる」などがあります。複数の人が顔を合わせて情報共有や意思決定を行おうという企画意図から考えれば、これほど残念な状況はありません。こうした状況の背景には、間違うと恥ずかしい、言ったら反対されそうだ、大勢の中では気後れしてしまう、相手が言っていることがわからない、などの理由があるかもしれません。ファシリテーターは、このような状況で会議が“凍結”してしまわないように策を講じます。具体的なテクニックには、立ち位置や座り方などの調整、アイスブレイク※1、そして、日常コミュニケーションからの話題展開などがあります。
 一見、さほど重要とは思えない立ち位置や座り方ですが、コミュニケーションを活発化するためには重要な要素になります。例えば、向かい合って座る形で話をすると緊張を感じる場合、L字型で座ると話やすくなります。10人を超える会議で話しづらい場合、5人のグループ2つに分けると参加者が会話を切り出しやすくなります。また、会議の冒頭などで、緊張感を解いて会話を切り出しやすくするためにアイスブレイクと呼ばれる手法を使います。笑いを誘うような話題やしゃべり出すきっかけを提供することで、場の雰囲気を和らげ、参加者の緊張感をほぐします。場合によっては、衣・食・住など日常コミュニケーションを会議以前にしておくことで、参加者の発言の抵抗感低減も可能です。このように、ファシリテーターは「場つくり技術」を駆使し、活発なコミュニケーションをとると良いことがあるという動機付けを促進します。

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喜びのスパイラル創出による
永続的なプロジェクト力の強化

 場つくりができたら、その場を使って共通認識や共通基盤を構築します。ここで重要となるのが「多様な価値観」があることへの理解です。例えば、会議で「ダンマリ状態」が発生する理由の1つとして「答えは1つしかない」という錯覚があります。これが、まずは多くの異なる意見、考え方を列挙したうえで、全体としての方向性をまとめていくという流れを阻害する要因となります。ファシリテーターは場をつくるとともに、多様な価値観、多くの選択肢が存在することの理解を促進し、協働・行動へ参加者を導きます。さらに、共同で特定の目標を達成した際の喜びをメンバーに理解させます。
 ファシリテーターの役割は、エンジンが動き出す際のスターターモーターに似ています。スタートを切るためのトリガーとなるのは「喜び体験」です。向かうべき目標が見えなかったり、達成することでの喜びが体感できなければ、人はなかなか動きません。しかし、長期にわたる壮大なプロジェクトを最後まで経験するには多くの負荷や時間が必要になります。このため、ファシリテーターは、小さな体験・成功体験が得られる機会を作り、メンバーに提供します。「発表したら褒められた」「皆で作ればこんなに早くできる」など、創出する体験は様々ですが、考え、発言し、やってみて、うまくいった、という一連の「喜びのスパイラル」をまずは体験されることがポイントとなります。一旦これが体感されると、プロジェクトというエンジンは自律的に回りだし、より大きな力を発揮するようになります(図参照)。

※1:会議やセミナー、体験学習でのグループワークなどの前に、初対面の参加者同士の抵抗感や参加者の緊張感、発言へのためらいを減らすために行うことの総称

説明図

ファシリテーションによる喜びのスパイラル
※出典:「NPO国際ファシリテーション協会」資料-2011/2

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